Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」

今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」

宝塚宙組元トップスターの姿月あさとさん。2017年、舞台生活30周年の節目を迎え、記念アルバムの発売やコンサート開催など精力的に活動しています。『Web音遊人』恒例の3つの質問の答えには、ご家族の豊かな愛情に育まれてきたことや、歌の道をひたすら極めようとする“求道者”のような姿勢が感じられます。 

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

たぶん、子守歌じゃないでしょうか。生まれた時から、母親がずっと歌ってくれていたでしょうから。自分が好きな歌手の歌を聴いたとしても……例えば100回ぐらい聴いたとしても、子守歌は毎日365日聴かせてもらったわけですから、それには及ばないですよね。もちろん、覚えているわけではないですけれど。
母も、音楽が好きなんです。楽しいとき、いつも鼻歌を歌っています。私のコンサートの後で、何かしら印象に残った曲を歌ったりしていることもありますね。
父もジャズやブラックミュージックが好きで、ダイアナ・ロスなんかを聴いていました。だから家ではいつでもレコードがかかっていたんです。
両親はいま大阪に暮らしていますが、私が東京でコンサートを開くときは二人で来てくれます。もしかしたら、小さい頃のバレエやピアノの発表会の延長のような感覚なのかもしれませんね。

Q2.姿月さんにとって「音」や「音楽」とは?

姿月さんにとって「音」や「音楽」とは?
私は、3つの名前を持っているといつも思っているのです。「姿月あさと」という芸名で活動しながら、本名もあって、舞台で演じる役名もある。だから、私にとって音楽は、本名の私じゃない自分になれる時間ですね。本名の自分で歌うのは、プライベートで親しい友人とカラオケに行く時ぐらいですが、それも私にとって大事な時間です。
職業病と言うのでしょうか。宝塚歌劇団にいたときは、お芝居やショーで演じる役柄に合わせて、さまざまな歌を歌ってきました。だから、今でも歌の内容によって、自分とは異なる役柄を演じるかのように表現していますね。
それと、音といえば、今のこの取材中でもカメラのシャッター音やピントが合うピッピッという音が聞こえるし、向こうではラジオが流れているし、そうした一つ一つの音を意識してしまいがちですね。オーケストラやバンドでも、その編成を構成するそれぞれの楽器の音を一斉に聞いてしまうタイプです。
それにしても、器楽奏者の方が楽器をメンテナンスして音を鳴らすように、私のような歌い手は自分を共鳴させるために、自分自身という安定しない楽器を常に調律しなきゃいけないのが、大変なところでもあります。鼻水が止まらない日もあるし、精神的にのらないこともありますしね。

今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

鼻歌を歌っている人!人って辛いときは、おそらく鼻歌は出ないですからね。「鼻歌」=「楽しい」。いいなぁって思います。鼻歌って「歌ってください」とか「今から鼻歌どうぞ」ということでもないですよね。マイクの前で歌うものでもないでしょう。自然とメロディーが出てくるもの。言葉はいらないですしね。シェフの方でも鼻歌を歌いながらお料理する方もいますね。
私自身は、鼻歌は出ないですね。たま~にあったとしても、無意識に起こる現象です。自分が音楽に向き合うことは、やっぱり辛いこともありますからね。
でも、聴くことは好きで、癒やされます。ジャンルはいろいろです。クラシックのようなマイクを使ってない生の音は、自分の耳を調律することにもつながり、体が浄化されるような気分になります。バーの片隅でジャズを聴くのも好きです。自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思いますね。

姿月あさと〔しづき・あさと〕
1985年、宝塚音楽学校入学。1987年3月、宝塚劇団に入団し、「雪組」で初舞台を踏んだ後、同年5月に「花組」に配属。1993年、「月組」に組替えを経て、1998年、65年ぶりに誕生した新組「宙組」のトップスターに抜擢される。2000年に、宝塚歌劇団退団後、アルバムリリースやコンサートツアー、ミュージカルなど、ソロボーカリストとして活躍し、現在に至る。2017年にはデビュー30周年を記念して、アルバム『Treasure〜私の宝物〜』をリリースするほか、アニバーサリーコンサートも開催。
姿月あさとオフィシャルサイト  http://www.shizukiasato.net/

 

特集

三浦文彰

今月の音遊人

今月の音遊人:三浦文彰さん「音を自由に表現できてこそ音楽になる。自分もそうでありたいですね」

4120views

音楽ライターの眼

オペラ、シンフォニーの指揮&ピアニストとしても活躍する沼尻竜典が第51回ENEOS音楽賞洋楽部門本賞を受賞

2838views

STAGEA(ステージア)ELB-02 - Web音遊人

楽器探訪 Anothertake

エレクトーンで初めてオーディオファイル録音機能を装備

13469views

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法 - Web音遊人

楽器のあれこれQ&A

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法

15974views

ぱんだウインドオーケストラの精鋭たちがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ぱんだウインドオーケストラの精鋭たちがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

13636views

重田克美

オトノ仕事人

スポーツやイベントの会場で、選手やお客様のためにいい音環境を作る/音響エンジニアの仕事

9822views

アクトシティ浜松 中ホール

ホール自慢を聞きましょう

生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール

14886views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

9065views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

専門家の解説と楽器の音色が楽しめるガイドツアー

8637views

われら音遊人

われら音遊人:アンサンブルを大切に奏でる皆が歌って踊れるハードロック!

5111views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

すべては、あの日の「無料体験レッスン」から始まった

5479views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10382views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

9974views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

専門家の解説と楽器の音色が楽しめるガイドツアー

8637views

音楽ライターの眼

ロシアン・ピアニズムに育まれた異彩を放つイタリア出身の俊英/エマニュエル・リモルディ ピアノ・リサイタル

2571views

オトノ仕事人

深く豊かなクラシックの世界への入り口を作る/音楽ジャーナリストの仕事

5073views

横浜レンタル倉庫(YRS)

われら音遊人

われら音遊人:目指すはフェス! 楽しみ、楽しませ、さらなる高みへ

1880views

楽器探訪 Anothertake

目指したのは大編成のなかで際立つ音と響き「チャイム YCHシリーズ」

11189views

ホール自慢を聞きましょう

歴史ある“不死鳥の街”から新時代の芸術文化を発信/フェニーチェ堺

8876views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

6908views

ピアノやエレクトーンを本番で演奏する時の靴選び

楽器のあれこれQ&A

ピアノやエレクトーンを本番で演奏する時の靴選び

47277views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

3303views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

26143views