今月の音遊人
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歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」
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2015.12.28
tagged: フォルテピアノ, 楽器博物館探訪, 民音音楽博物館, ワルター, コンラート・グラーフ, ピサ・チェンバロ, バルバラ, プレイエル, エラール
楽器をはじめ、国内外の楽譜や図書、録音・録画資料など、30万点を超える音楽資料を収蔵する民音(みんおん)音楽博物館。館長の上妻(こうづま)重之さんに、同博物館のみどころや自慢の楽器についてうかがいました。
1963年10月18日、音楽文化の向上や、音楽を通じた文化交流を目的に設立された民主音楽協会(通称:民音)。民音が運営する民音音楽博物館の原点は、協会の創立10周年を記念してつくられた民音音楽資料館にあります。
「当初はクラシック音楽の専門図書館として出発し、主に明治・大正期の楽譜や、西洋音楽について書かれた図書(和書)を中心に収集していました。ですが、民音が主催するコンサートに出演した海外のアーティストが民族楽器を寄贈してくださり、少しずつ楽器も収集するようになりました」
そして2004年5月18日、民音音楽博物館と名称を改め、広く一般に向けて収蔵品を公開するようになりました。
収蔵品のなかで特に出色なのが、16~19世紀につくられたチェンバロ、フォルテ(古典)ピアノ、モダンピアノのコレクション。そのうちウィーンの名工だったアントン・ワルターによる1795年製のフォルテピアノは、日本で見られるのはこの1台のみ。
「ワルターのピアノは、1790年末の“ANTON WALTER in WIEN”と1800年代に義理の息子が経営に参画したころの“ANTON WALTER und SOHN”の2種類があります。後者は比較的流通していますが、前者は世界に23台しかないとされ、当館のものはそのうちの1つです」
来館者に人気があるのは、5本のペダルが付いたコンラート・グラーフ。一番右のペダル(トルコ式ペダル)を軽く踏むとベルが鳴り、深く踏み込むとベルと一緒にバチが響棒を叩き、太鼓のような役割を果たします。
そのほか、1580~1600年にイタリアで製作されたピサ・チェンバロ、ボディや屋根に中国の庭園が描かれた、ウィーンのピアノ職人ティモティオ・シュトロームによるフォルテピアノは、どちらも世界に1台しかないもの。
「貴重な楽器はまだまだあります。ベートーヴェンの愛弟子のひとりだった、ウィーンの伯爵令嬢バルバラが所有していたヨハン・フリッツや、ヴェルサイユ宮殿を建てたルイ14世の時代の様式を持っている特注のエラール・グランド・ピアノなど、貴重な楽器をご覧いただくことができます」
歴史的な鍵盤楽器が揃う民音音楽博物館ですが、実は単に展示をしているわけではありません。同博物館の最大の特長については、次ページで詳しくお伝えします。
文/ 武田京子
photo/ 宮地たか子
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