今月の音遊人
今月の音遊人:出口大地さん「命を懸けて全力で取り組んだ先でこそ、純粋に音楽を楽しむ心を忘れてはいけない」
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デザイン性が高く、電気的に音を増幅することでパワフルな音量が表現できるエレクトリック(電気)バイオリン。新しく発売された4弦タイプの「YEV104」と、ビオラの音域もカバーする5弦タイプの「YEV105」は、どの方向から見ても曲線を描く木製のフレームデザインがなんとも独創的で、思わず目を奪われてしまいます。
去る2016年6月18日(土)にヤマハ銀座ビルで、2台の「YEV105」と、クロマチックハーモニカ(♯や♭の半音階も鳴らせるハーモニカ)によるミニライブを開催。多数のエフェクターを駆使した即興演奏や、2台の「YEV105」+クロマチックハーモニカのセッションは、エレクトリックバイオリンの新たな一面を感じさせてくれました。
出演者のひとりである中西俊博さんは、日本におけるエレクトリックバイオリンの第一人者。国内外のエレクトリックバイオリンに対する造詣が深く、ヤマハの楽器開発へのアドバイスも行っています。
「エレクトリックバイオリンは高い音が強くなりがちで、耳にキツイ音になりやすいけど、この楽器は低音弦がしっかり鳴ってくれるので音色を作りやすいですね。一般的な肩当てがほぼ使えるので、アコースティックバイオリンから持ち替えても違和感がないし、バッテリーを内蔵しないシンプルな設計も好感が持てます」
なおバイオリンというとクラシックのための楽器という印象が強いですが、音楽の多様化にともない、エレクトリックバイオリンの活躍の場が増えています。
「昔はエレクトリックバイオリンを手に入れることが難しくて、海外から個人輸入したり、電気配線好きの僕は楽器を自作したりしていました。なので、手に入れやすくて、手の出しやすい価格で、かつアフターサービスにも対応してもらえる楽器はすごく心強い存在で、エレクトリックバイオリンの裾野をますます広げてくれるんじゃないかと期待しています」
さらにバンド演奏でも、エレクトリックバイオリンはギターやドラムに負けないパワフルな音量やインパクトを放ち、ステージ上で圧倒的な存在感を発揮してくれます。
「ライブ会場の環境や設備は本当に様々なので、アコースティックバイオリンの音をマイクで拾うより、エレクトリックバイオリンならハウリングも少なく、音の芯もしっかり出しやすいので、ジャンルによってはアコースティックバイオリンより、ほかの楽器との音のなじみもいいです。何より、エフェクターを使って音を自由に作れるのが魅力ですね」
アコースティックバイオリンの代わりではなく、ひとつの楽器として、新しい表現が見出されてきているエレクトリックバイオリン。「YEV104」「YEV105」によって、バイオリンの枠を超えた新たな音楽が生まれるかもしれません。
「僕はずっと、エレクトリックバイオリンにしかできない音楽を追求したいと思ってきました。音楽に決まったルールはないんですから、みなさんも新しい奏法を考えたり、エフェクターを使っていろいろ実験したりして自分だけの音楽表現を探してほしい。一緒にエレクトリックバイオリンを盛り上げていきましょう!」
ステージでのパフォーマンスを念頭に開発されたヤマハエレクトリックバイオリン。さまざまなジャンルの音楽に対応できるパワーと表現力を備えています。
文/ 武田京子
photo/ 宮地たか子
tagged: YEV104, YEV105, エレクトリックバイオリン, 中西俊博
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