Web音遊人(みゅーじん)

砂川涼子インタビュー - Web音遊人

可憐な一輪から聴き手の心を包む名花へ、転換期を迎えて新しい役に挑戦するソプラノ歌手/砂川涼子インタビュー

 「音楽の先生になりたくて音楽大学を受験したのですが、いろいろな先輩方の歌を聴くなどして広い世界があることを知り、もっと勉強して上手になりたい、そしてたくさんのお客様に喜んでいただきたいと思うようになったのです」

所属する藤原歌劇団での公演をはじめ、新国立劇場などさまざまなオペラに出演して透明感のある歌声を披露している砂川涼子。これからの日本オペラ界になくてはならないソプラノ歌手であり、その歌はまだまだ多くの可能性を秘めている。
「大学在学中も先生になるつもりでしたが、初めて本格的なオペラ公演を観て感動したという経験や、たくさんの素敵な歌に出合えたことなどで心境に変化が生じ、もっと歌を勉強したいという欲求が生まれましたので大学院へ進みました。そうしますと今度は、コンクールを受けてみたいという思いが強くなるといった向上心が生まれ、学内のオペラ公演に出演したときには多くの先輩方と共演する中でお客様から拍手をいただけるといった、これまでにない経験ができたのです。そうしたこともすべて、歌うことが好きだというシンプルな気持ちが、自分を支え続けてくれたからでしょう」

砂川は、過去に『ラ・ボエーム』のミミを演じて、歌唱・容姿ともに“理想のミミ”と絶賛され、ほかにも『魔笛』のパミーナ、『カルメン』のミカエラといった可憐なキャラクターが似合う歌手として評価されてきた。しかし、今はさらに幅広い役を歌ってみたいという気持ちが強くなってきたという。
「これまでは、ミミやミカエラのような、一歩下がっているけれど実は芯が強いという女性を歌うことが多かったのです。そうした中、舞台での経験を重ねて声も成長し、さらに多くの役が歌えるのではないかと思えるようになりました。少し前でしたら、自分にいちばん合っている役をたずねられると迷わず『ミミです』と答えていましたが、声にパワーが出てきましたので、『トスカ』『蝶々夫人』の主人公や『オテロ』のデズデモナといった、歌声にドラマ性を求められる役にも挑戦したくなったのです」

砂川涼子インタビュー - Web音遊人

円熟期を迎えつつある彼女の変化や自信は、2017年4月22日(土)にヤマハホールで行われるリサイタル『砂川涼子 ソプラノ・リサイタル~愛歌(カンツォーネ・ダモーレ)~』のプログラムにも反映され、ファンであっても驚くような曲も並ぶ。
「これまではオペラ公演が多かったため、ソロのリサイタルについては積極的になれませんでした。歌いたい曲や役が少しずつ増えてきたこともあり、久しぶりに本格的なリサイタルへ取り組もうと思ったのです。ドナウディやロッシーニといったシンプルで美しいイタリアの歌曲も歌いますし、『オテロ』で歌われる『柳の歌』、『トスカ』の『歌に生き、恋に生き』など、自分の可能性を広げるオペラ・アリアもあります。こうした曲では、歌われるまでのドラマ性や心情の変化なども大事ですし、お客様にもオペラの雰囲気を味わっていただきたいですから、アリア前後の音楽も含めたひとつの場面としてお楽しみいただけるよう工夫をするつもりです」

そうしたアイデアや心配りも今までの舞台経験から生まれたものであるし、音楽家としての見識やセンスも垣間見える。仕事とプライベートの切り替えははっきりしているということだが、それでも日常の中で楽しんでいるファッションや香りが仕事に結びつくこともあるようだ。
「ある女優さんが、演じる役によって香水を変えるというお話しをされていて、オペラの役作りにも通じるなと共感したことがあります。そうした何気ないことでもヒントになりますし、楽しみながら次の仕事への扉を開くことができそうですね」

次はどういった役、そして歌を魅せてくれるのか注目を集める砂川涼子の活動は、これからのオペラ界にもほどよい刺激を与え、多くのファンを楽しませてくれるに違いない。 

■砂川涼子 ソプラノ・リサイタル~愛歌(カンツォーネ・ダモーレ)~

日時:2017年4月22日(土)14:00開演(13:30開場 )
場所:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14 ヤマハ銀座ビル7F)
料金:5,000円(税込)
曲目:ヴェルディ/歌劇『オテロ』より『柳の歌~アヴェ・マリア』、プッチーニ/歌劇『トスカ』より『歌に生き、恋に生き』ほか

公演の詳細はこちら

 

特集

坂本龍一さん

今月の音遊人

【プレゼント】今月の音遊人:坂本龍一さん「かつて観たテレビアニメの物語は忘れたけど、主題歌は鮮明に覚えている。音楽の力ってすごいよね」

11217views

音楽ライターの眼

連載39[ジャズ事始め]佐藤允彦の目から鱗を落とした東欧記者のジャズに対する見識

494views

Disklavier™ ENSPIRE(ディスクラビア エンスパイア)- Web音遊人

楽器探訪 Anothertake

ピアノのエレガントなフォルムを大切にしたデザイン

4807views

楽器のあれこれQ&A

エレクトーンについて、知っておきたいことや気をつけたいこと

19286views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若手サクソフォン奏者 住谷美帆がバイオリンに挑戦!

5211views

オトノ仕事人

オーダーメイドで楽譜を作り、作・編曲家から奏者に楽譜を届ける/プロミュージシャン用の楽譜を制作する仕事

10548views

アクトシティ浜松 中ホール

ホール自慢を聞きましょう

生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール

9375views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

5667views

ギター文化館

楽器博物館探訪

19世紀スペインの至宝級ギターを所蔵する「ギター文化館」

10131views

われら音遊人 リコーダー・アンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:お茶を楽しむ主婦仲間が 音楽を愛するリコーダー仲間に

5207views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は人前で演奏してこそ、上達していくものなのだろう

5494views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

6542views

おとなの楽器練習記:岩崎洵奈

おとなの楽器練習記

【動画公開中】将来を嘱望される実力派ピアニスト、岩崎洵奈がアルトサクソフォンに初挑戦!

8449views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

15779views

音楽ライターの眼

連載29[ジャズ事始め]“ジャズは難しい音楽じゃない”とアメリカ帰りの渡辺貞夫は言った?

623views

オトノ仕事人

ピアノを通じて人と人とがつながる場所をコーディネートする/LovePianoプロジェクト運営の仕事

12581views

われら音遊人:バンド経験ゼロの主婦が集合 家庭を守り、ステージではじける!

われら音遊人

われら音遊人:バンド経験ゼロの主婦が集合 家庭を守り、ステージではじける!

5779views

Venova(ヴェノーヴァ)

楽器探訪 Anothertake

やさしい指使いと豊かな音色を両立させた、「分岐管」と「蛇行管」

1views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

5862views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

だから続けられる!サクソフォンレッスン10年目

3031views

ピアノの地震対策

楽器のあれこれQ&A

いざという時のために!ピアノの地震対策は大丈夫ですか?

22200views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

3572views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

23058views