今月の音遊人
今月の音遊人:押尾コータローさん「人は誰もが“音で遊ぶ人”、すなわち“音遊人”なんです」
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今月の音遊人:清水ミチコさん「ピアノをちょっと絶ってみると、どれだけ自分に必要かわかります」
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2015.6.1
曲じゃなくてアルバムになるけれど、矢野顕子さんの『JAPANESE GIRL』ですね。LP版を、それこそ擦り切れるほど聴きました。
実家がジャズ喫茶をやっていて、家族はその店の上に住んでいたので、物心ついたころから聴こえてくるのはモダンジャズ。小学校低学年で初めて買ってもらったレコードは『モンキーズのテーマ』という感じの子どもだったんですが、高校1年のとき深夜番組の『11PM』で矢野顕子さんが弾き語りをしているのを見てびっくりしたんです。私も独学でピアノをやっていたんですけれど、自分で自由にアレンジして弾くなんていう発想はまったくなかったですからね。それで、近くのレコード屋さんに「矢野顕子さんっていう人のレコードが出たら教えてください」ってすぐ電話したんです。そうしたら、最初は間違って和田アキ子さんのレコードが届いたんですけどね(笑)。
そのアルバムが『JAPANESE GIRL』。聴いてみると、それはもう衝撃的でした。20歳そこそこの女の子がアメリカのミュージシャンと一緒にやっているんですよ。矢野顕子になりたくてしょうがなかったですね。とにかく真似して、自分の演奏を録音して聴き比べるくらいハマりました。
今もステージでは、必ずピアノを置いてもらっています。歌モノのネタができることは、自分にとって強みだと思いますね。
ピアノは幼稚園のころからずっと続けているんですが、18歳のときに短大に進学して上京したら自分のアパートにはピアノがないわけです。そのとき、ものすごく弾きたいことに気が付いたんです。それで、ヤマハ音楽教室に頼んで、生徒さんたちが帰った後に部屋を借りてピアノを弾いてました。教室がお休みの日に弾きたくなると、こんどは中古ピアノ屋さんに行って「どれにしようかしら」って試弾するふりをしたり。節電とか断水と同じで、そんなふうにピアノをちょっと絶ってみると、どれだけ自分に必要なのかがわかりますね。
音楽を聴くときは、“こんなふうにしたら面白いかも?”という仕事的な考えがいつも頭の片隅にあるかもしれません。まったくのプライベートでいえば、音楽はジョギングのお供。1時間の苦しみが、音楽を聴きながらだと半分ぐらいに感じちゃいます。あと、悲しいときや落ち込んだときには明るい曲を聴くんじゃなくて、暗い曲を聴くといいということに最近気付きました。おすすめは、鬼塚ちひろさんです(笑)。頑張るぞ!という気持ちになります。
ふたつあって、ひとつは、私も含めて“遊びで音楽をやっている人”。もうひとつは、“音楽や楽器で遊べる人”。後者は特別な遊びで、うらやましい才能だと思います。ピアノでもドラムでも歌でも、無邪気に延々と遊んでいられるし、自分のイメージ通りに音が出せる。それが私の夢なんですよね。
清水 ミチコ〔しみず・みちこ〕
1987年フジテレビ系『笑っていいとも!』で全国区デビュー。同年『幸せの骨頂』でアルバム・デビュー、2014年12月にリリースした『趣味の演芸』が10枚目のアルバムとなる。テレビやステージなどで幅広く活躍し、2015年1月には初の武道館ソロライブを開催。
清水ミチコオフィシャルウェブサイト http://4325.net/
文/ 福田素子
tagged: ピアノ, インタビュー, 今月の音遊人, 清水ミチコ
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