今月の音遊人
今月の音遊人:三浦文彰さん「音を自由に表現できてこそ音楽になる。自分もそうでありたいですね」
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演奏に集中したい!くしゃみや鼻のムズムズに悩まされる季節に心掛けたいこと
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2017.3.17
日本人の約3割に発症しているともいわれる花粉症。その原因物質や症状は様々だが、多くの人を悩ませるのが目のかゆみや鼻水、鼻づまりではないだろうか。楽器演奏者は、その不快感により演奏に集中できないほど支障をきたしてしまうこともあるのでは?今回は、そんな花粉症の症状をやわらげるための対策や体質改善について、鍼灸師の竹村文近先生にお話を伺った。
「花粉症の症状を防ぐために、外出時にはマスクと眼鏡を着用し、帰宅してすぐに手洗いとうがいをするのが基本中の基本。窓の開閉は最小限にとどめ、洗濯物は室内に干し、リビングや寝室には空気清浄機と加湿器を置くのがよいでしょう。鼻の不快感により口を開けて寝てしまうと、喉のみならず気管支を痛めてしまうこともあります」
花粉症による鼻水の症状が出ると、よくすすってしまう人も多いが、それは避けてほしいという。
「洟(はな)をすすってばかりいると、後頭部や首すじに強張りやつっぱりが出て、肩背部が凝り、脳圧が上がって集中力が低下します。鼻づまりなどの不快感は憂鬱になりストレスもたまる。柔らかいティッシュで優しく、こまめにかむようにしてください」
花粉症の緩和にはツボの刺激も効果的だそうだ。鼻のトラブル全般に効くツボは小鼻の脇の“迎香(げいこう)”と眉間の中央の“印堂(いんどう)”で、市販のパッチ鍼を貼って寝ると鼻の通りがよくなりやすい。また、万能のツボといわれる、手の甲にある“合谷(ごうごく)”に刺激を与えるのもよいという。
「リハーサルや演奏会の前は、髪の生え際の中心から指一本分ほど上の“上星(じょうせい)“と、頭頂の“百会(ひゃくえ)”を、つまようじを輪ゴムで束ねたもので刺激するといいでしょう。頭のツボは即効性があるとされるので、ポンポンと数十秒間軽く叩くだけで違ってくると思います。目に不快感があるなら、額の両端の“頭維(ずい)”と耳の真上の“角孫(かくそん)”を叩いてください」
また、花粉症を軽くするには「3年くらいかけて自分の身体とじっくり向き合い、アレルギーに対応できる体質に改善することが大切です」と竹村先生。
「体質を改善するためには食生活を見直し、暴飲暴食は避け、腸内環境を整えること。腹七分目が大切です。また、呼吸を意識しながら20~40分ほどゆっくりと歩くと、腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、血液やリンパの働きが高まります」。水やお茶などは多めに摂ってもOK。その際は、常温または温かいものがよいそうだ。
「ウォーキングは心肺機能が鍛えられるだけでなく、全身の筋肉がほぐれ新陳代謝がアップし、自律神経も整ってストレスが和らぎます。自分の身体の変化を一つ一つ確かめながらセルフケアを行ってみてください」
花粉症は個人個人によってアレルゲンが違うため、自覚によって緩和することができるという。「長丁場でもめげずに取り組めば、対応できる身体が作れるはずです。その心構えが、より良い演奏を自然にこなせる秘訣ではないかと思っています」
くしゃみや鼻のムズムズに悩まされる季節でも、最高のパフォーマンスをするために、そしていつでも心身ともに健康でいるために、花粉症に負けない身体づくりをはじめてみてはいかがだろうか。
鍼灸師。ライフワークはチベット、ヒマラヤ、南米アンデスなどの辺境地を歩き、先住民や僧侶たちに鍼灸治療を施すこと。主な著書は『はり100本 鍼灸で甦る身体』(新潮新書)、『はりは女性の味方です。』(平凡社)、『打てば響く 音(おと)の力、鍼(はり)の力』(NHK出版/大友良英・共著)など。最新刊は『鍼灸 本当に学ぶと云うこと』(医道の日本社)。ヤマハの会員誌「音遊人」でエッセイ「カラダに効く音楽」を連載中。