今月の音遊人
今月の音遊人:佐渡裕さん「音楽は、“不要不急”ではない。人と人とがつながり、ともに生きる喜びを感じるためにある」
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“ワクワクと好奇心”をキーワードに、新鮮な音楽を創造するマルチプレイヤー/東儀秀樹インタビュー
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2017.8.4
tagged: インタビュー, 東儀秀樹, 雅楽, 篳篥, ひちりき, Hichiriki, Hichiriki Café, TFC
「篳篥(ひちりき)や笙(しょう)といった雅楽の楽器は、非常に個性的な音がしますので存在感はありますけれど、まだまだ知られていないと実感しています。ですから常にコンサートでは楽器の紹介をしますし、雅楽の鑑賞教室などでは高校生が好きなヒット曲なども演奏するなど、いろいろな方法で『雅楽ってこんなに素晴らしいんですよ』と広くアピールしたいのです」
約1,300年前の奈良時代より雅楽を伝承してきた東儀家に生まれ、宮内庁の式部職楽部で演奏活動を行った後にソロ・ミュージシャンへ転向。伝統的な雅楽をベースにしながらも、多彩な音楽とレパートリーで独自の音楽を創造してきた東儀秀樹。約20年で20枚以上のアルバムをリリースする中、洋楽のヒット曲などを篳篥で演奏する『Hichiriki』シリーズも注目の的になっている。その最新作『Hichiriki Café』は、『As Time Goes By』『Yesterday Once More』ほか多くの人に愛される曲や、映画『君の名は。』の挿入歌であるRADWIMPSの『なんでもないや』、そして東儀によるオリジナル曲も収録。まさに心地よいカフェ気分が味わえる一枚だ。
「篳篥は人の声そのものであり、歌う楽器としての魅力にあふれています。ですからこれまでも、メロディが美しい曲や気軽に歌いたくなる曲は、ジャンルを問わずレパートリーに加えてきました。子供の頃から家庭にはクラシックや映画音楽などが日常的に流れていましたし、ビートルズや最新のポップスなどにも親しんでいたのです。小学生から中学生にかけてはアメリカの反戦フォークやブルース、ディープ・パープルやレッド・ツェッペリンといったハードロックなど、気になった音楽は積極的に聴いていましたので、それが結果的には現在の自分に通じているのでしょう。いま10歳の息子が、T.レックスやドゥービー・ブラザーズなど70年代のロックを好んで聴いていますけれど、家庭における音楽環境は人間形成に大切だということを、あらためて実感しているところです」
多様な趣味を楽しみ、その息子さんとのエピソードなどがテレビや雑誌などで披露されることもある中、親子の関係が作曲におよぶことも多いという。
「今回のアルバムに収録した『Little Bicycle』『君の夢を守りたい』といった曲は、息子との日常なくしては生まれませんでした。彼の未来に期待しながら、楽しい想い出を音楽として残しておきたいという気持ちもあります。作曲については日常のひらめきがすべてですし、自分が見たりリアルに出くわしたりしたことがヒントになっていますね。たとえばコンサートツアーなどでいろいろな場所を訪れた際には、その街を歩き回ることでいろんなものに出会いたいですし、流れてくる音楽にアンテナを刺激されることも多いです。若い世代のバンドを知り、音楽の作り方に新鮮な驚きをおぼえることもありました。日頃から“ワクワクと好奇心”を忘れずにいれば、新しいものに出会える喜びがありますし、それが自分の音楽を生み出していく原動力になっていくはずです」
さらには、2017年8月から11月にかけ、バイオリニストの古澤巌、アコーディオン奏者のcobaとのトリオ「TFC」による全国ツアーも行われる。それぞれがジャンルを超越した曲を自在に、そして個性豊かに演奏するプレイヤーであり、楽しさも満載のコンサートになるはずだ。
「何度共演しても未知の部分があるため、演奏はステージごとに新鮮。この3人だからこそ生まれる音楽がありますので、僕自身も楽しみながらの4か月になると思います」
デビュー20年を超えるベテランだが、好奇心のアンテナはまだまだ高感度。私たちは雅楽器の音色を気軽に、そしてじっくりと味わいながら東儀ワールドを堪能できるだろう。
■ アルバムインフォメーション
『Hichiriki Café』
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2017年8月2日
価格:3,240円(税込)
■東儀秀樹×古澤 巌×coba 全国ツアー2017
2017年8月5日(土)よりスタート
文/ オヤマダアツシ
photo/ 後藤泰宏
tagged: インタビュー, 東儀秀樹, 雅楽, 篳篥, ひちりき, Hichiriki, Hichiriki Café, TFC
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