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連弾で人気のピアノデュオがそれぞれの個性を発揮した楽譜集を発表/レ・フレール、斎藤守也&斎藤圭土インタビュー
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2018.2.7
tagged: ピアノ, レ・フレール, 斎藤守也, 斎藤圭土, MONOLOGUE, THE BOOGIE WOOGIE PIANO SCORE
1台のピアノを2人で同時に弾く、4手連弾で人気の兄弟ユニット、レ・フレールの斎藤守也と斎藤圭土が、それぞれ楽譜集を発表した。兄・守也は2017年に出したソロアルバムを全曲収録したアルバムと同タイトルの『MONOLOGUE』、弟・圭土はレ・フレール以前より活動を続けてきたブギ・ウギの楽曲を中心とした『THE BOOGIE WOOGIE PIANO SCORE』。即興演奏でも魅せるレ・フレールとはまた違うソロ活動の個性がそのままに表れた楽譜集について、おふたりに話をうかがった。
「楽譜を読むのは苦手だけど、書くのは好きなんです」と、笑顔で話す斎藤守也。時間を見つけては自作曲を楽譜に起こしているというだけに「今回アルバムが丸々、楽譜に残るのは、僕自身にとってもうれしいことなんです」と喜びをあらわにする。レ・フレールとしてプロデビューして10年目に、満を持してスタートしたソロ活動。4手で次々と華やかなフレーズを繰り出すレ・フレールとは趣を異にするラインナップで、新たな一面を見せている。実は、アルバム制作時から楽譜発表を視野に入れていた。その真意は「ピアノを身近に感じてほしい。曲を弾いて楽しんでほしいから」だ。
「近所を散歩して、子どものピアノ練習の音が聴こえてくるのがとても好きなんです。『MONOLOGUE』はそんなシーンをイメージして作り、素朴で音数の多くない楽曲を入れています。簡単なフレーズから、少し練習すれば弾ける曲もある。ピアノの前で『何を弾こうかな』と、ワクワクするあの気持ちを大切にしました」。
楽譜集はアルバムと同じ曲順で構成。アルバムを聴きながら楽譜を読めば、彼の曲作りのエッセンスを感じ取れそうだ。さらに弾いてみることで新たな発見もあるという。
「弾きやすい曲がある一方で、アルバムを聴いた印象では簡単だけど、弾いてみると意外と難しい曲もあると思います」。バラエティに富んだ内容で初心者から上級者まで、斎藤守也の音を弾ける楽譜集となっている。
ソロ活動を経て、レ・フレールを見つめ直した彼の一言は「なんて、連弾って弾きにくいんだろう(笑)」。そう笑いながらも、1台のピアノを2人で弾くがゆえの音の立体感や、ライブでのパフォーマンスにレ・フレールの唯一無二の個性を再認識した。
「今後はさらに違う音楽ジャンルの方とのコラボも積極的にトライしていきたいですね」
1人になったからこそ見えてきた、2人で奏でる音の無限の広さ。少年の頃に抱いたピアノを弾く楽しさを今も持ち続け、その楽しさを全身全霊で表現し続ける。
斎藤守也『MONOLOGUE』
発売元:ヤマハミュージックメディアホールディングス
発売日:2018年2月23日
価格:3,024円(税込)
機は熟した。日本で唯一のブギ・ウギ・ピアニストとして活躍する斎藤圭土は、自身の活動を通してブギ・ウギ・ピアノへの興味、ニーズの高まりを感じていた。「ブギ・ウギ・ピアノにもっと触れたい」。そんな声の高まりを受けて作ったのが今回の楽譜集『THE BOOGIE WOOGIE PIANO SCORE』だ。これには20年以上活動を続ける彼の切実な経験が活かされている。
「僕自身、ブギ・ウギ・ピアノの楽譜を探してもなかなか入手できなかったんです。ヨーロッパでも出版されていませんし、あったとしてもクオリティがいまひとつ。僕の師匠の出した楽譜を含め3、4冊を大きなツールとして活用してきました。耳で音を採るだけではわからない部分もありますから、楽譜は大きな助けになると思います」
自身のソロアルバムから、ブギ・ウギやブルースのオリジナル曲を選んで収録。特にブギ・ウギ・ピアノの特徴である左手の反復にバラエティが出るようにした。採譜はすべてアルバムの演奏通りに。指を滑らせるなどブギ・ウギ・ピアノ独特の奏法については、装飾音符を使用するなど書き方を工夫し、わかりやすい表現にした。
「ブギ・ウギ・ピアノは決して簡単ではありません。ですが、クラシックピアノを続けてきて、新しいジャンルにも挑戦してみたいという人が増えています。まずは聴いて。そして楽譜を見ながら弾いてみる。きっと、新しい音楽の扉が開けると思います」
こう語る自身にとっても、ブギ・ウギは新しい音楽への扉となった。レ・フレールの曲作りにも、大きく影響しているという。
「ふたりそれぞれに違うタイプの音楽を持っているからこそ、レ・フレールの音楽に広がりが出ているのだと思います。結成して15年、オリジナルの楽曲を作り続けてきました。楽曲が増えるということは、聴いてくださる方の思いの積み重ねでもあるんです。最近は、オーケストラや和楽器の方との共演もありますが、こうしたコラボを通して、ユニットとしての活動をさらに広げていきたいですね」
一人で歩み、ともに歩む−−−−斎藤圭土の道はさらに広く深く、のびてゆく。
斎藤守也『THE BOOGIE WOOGIE PIANO SCORE』
発売元:ヤマハミュージックメディアホールディングス
発売日:2018年2月23日
価格:3,024円(税込)
日にち:2018年2月21日(水)
時間:昼の部 13:30開演(13:00開場)/夜の部 19:00開演(18:30開場)
場所:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:前売り 4,000円/当日 4,500円(税込・全席指定)
詳細・購入についてはオフィシャルサイトでご確認ください。
文/ 佐藤雅子
協力/ベーゼンドルファー・ジャパン
tagged: ピアノ, レ・フレール, 斎藤守也, 斎藤圭土, MONOLOGUE, THE BOOGIE WOOGIE PIANO SCORE
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