今月の音遊人
今月の音遊人:山下洋輔さん「演奏は“PLAY”ですから、真剣に“遊び”ます」
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エレクトーンという楽器を触ったことはないが、取材で見る機会が何度かあり、とても自由な楽器だな、と思った記憶がある。鍵盤が操れて、さまざまな音色やリズムを使いこなせることができれば、自分の思うような音世界が描けるのだから。アレンジャーとか、プロデューサー向けなのかな、と思ったりもした。とにかく、一人でなんでもできてしまう楽器だという印象だった。
だから、エレクトーン・プレーヤーの作品では、編曲などが素晴らしいのは当然として、どれだけ「音楽」として輝きを放つか(別にそれはエレクトーンに限らず、すべての音楽にいえることなのだと思うけれど)が特に重要なカギになるのではないかと思っている。
そこで、安藤禎央の新作『mindscape<<5』である。
1996年にインターナショナルエレクトーンコンクールで1位を獲得し、以来国内外でのライブ活動やテレビ、ゲーム音楽の分野でも活躍している彼が、2001年から続けていて、自らの心象風景を表現するプロジェクト「mindscape」。本作で5作目となる。
さすがだなぁ、と思う。
曲を追うごとに表情を変えていく楽曲たち。ピアノをはじめ、バイオリン、ギター、ドラム、二胡といったアコースティック楽器との共演によって、スリリングなセッション感覚もプラス。以前「エレクトーンだけ(つまり、ひとりだけ)ではなく、違う楽器とアンサンブルするのがいい」と語っていたある奏者の言葉を思い出した。
それにしても、安藤禎央という人は、なんてピュアなんだろう。どこまでも爽やかなアルバムを聴き終えて、そう想像する。
聴くほうも、エレクトーンやら何やらとか考えずに、まず心をピュアにしてから臨むべし、と考え直したのだった。
『mindscape<<5』安藤禎央
販売:ヤマハ特約楽器店
価格: 2,700円(税抜)
発売日:2014年7月25日
詳しくはヤマハ音楽振興会「安藤禎央」ページをご覧ください。
文/ 日暮尚実
tagged: mindscape<<5, ニューアルバム, 安藤禎央
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