今月の音遊人
今月の音遊人:さだまさしさん「僕にとって音楽は、最高に好きなものであり、最強に嫌いなもの」
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「音楽を遊びのように感じてほしい」。そんな願いを凝縮した、三歳から使えるピアノ教則本『まいぴあの ぷれ①、②』が出版された。ピアノを弾くことと同時に、想像する、音を聴く、音で表現する、音楽のルールを理解するといった要素を、発達に合わせ、バランス良く学べるオールインワン教材として、各方面から高い評価を受けている。
著者は三十八年の指導歴をもつピアノ教師、石黒加須美。長年、「ピアノ教室でソルフェージュ、楽典、アンサンブルなどを総合的に指導すべき」との信念をもって実践してきた。その理念が随所に反映されている。
「想像すること」に重点を置いた『ぷれ①、②』では、挿絵を見て会話したり歌ったりしながら、先生の弾く曲に黒鍵のクラスター(グーやパーで音を鳴らす奏法)を入れることから始める。曲名、調性、拍子、テンポを石黒が指定し、複数の作曲家、指導者が作詞、作曲して生み出された曲の中で、生徒は独自の世界を広げていく。
「最もこだわったのは、さまざまな雰囲気をもつ絵や曲、響きを感じることで、子どもが自由に空想の世界に入れるようにすることです。想像の世界に飛ぶことで、子どもは先生から独立し、自分が主体となって音楽を発信できる子に育つのです」
たとえば、日暮れどきの山裾に羊の群れが描かれている曲『かねがなるよ』では、「羊はどこへ行くのかな?」「日が沈むとどんな色になる?」「遠くの鐘はどんな音がする?」などと語りかけてみる。子どもは「お星さまも出てきたよ!」と物語を広げるかもしれない。そしてピアノで鐘の音を鳴らしてみる。物語を変えれば響きのニュアンスは無限大。音色やタッチの要素までもが短い曲に詰まっているのだ。
全曲に短い前奏をつけたのもこだわりのひとつ。前奏からイメージを広げるためだ。また全曲とも伴奏音源がダウンロードできるので、自宅練習用だけでなく、レッスンで活用すれば先生もクラスターで響きを加えることができる。もちろん、仕上げでは生で演奏することが必須だ。
「音楽を遊びのように楽しむ体験がピアノを弾く習慣へ、そして音楽的自立へと発展し、子どもは進んで練習するようになります。この教則本が、先生たちが自分流のレッスンを実現する素材になれたら、というのが私のいちばんの願いです」
色や個数、高い、低いなどの概念を遊びながら学べる『まいぴあの』シリーズの関連教材『おんがくあそび』も同時発売。また、『ぷれ①、②』の続刊は今秋以降に出版予定だ。
監修:石黒加須美
発売元:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
発売日:2018年4月15日
石黒加須美(いしぐろ・かすみ) 名古屋市立大学卒業。「かすみミュージックスクール」主宰。全日本ピアノ指導者協会評議員。ピティナ・ピアノコンペティションやショパン国際ピアノコンクールin Asia ほか、多数のコンクールにおいて指導者賞受賞、審査員を務める。著書に『ピアノの先生に知ってほしい 乳幼児の発達とレッスン 1歳・2歳の指導法』『同3歳・4歳の指導法』『ブルクミュラー25の練習曲 ロマン派の作品の指導法』(ヤマハミュージックメディア)ほか。 |