今月の音遊人
今月の音遊人:岩崎宏美さん「中学生のころ、マイケル・ジャクソンと結婚したいと思っていたんですよ」
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「リサイタルは、あくまで演奏活動の一部分。ピアノ作品は膨大にあり、好きな曲だけを演奏しても一生終わらないくらい。ですから、ある日のコンサートだけが特別なんてことはないのです」。
演奏会に臨む自身の思いをきっぱりと語るピアニスト、清水和音。とかく聴き手はプログラムの背景や選曲意図などを深読みしがちだが、もっと無心に、理屈抜きに音楽を楽しんでほしい、という核心を突くメッセージだ。
弱冠20歳でロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門に優勝し、翌年、輝かしいデビューを飾った。以来、国内外の世界的な指揮者やオーケストラとの共演をはじめ、室内楽シリーズやリサイタルシリーズなど、独自の演奏活動を精力的に展開している。「ベートーヴェンもモーツァルトもショパンも、ロシアの作曲家もみんな好き」というレパートリーの多彩さと共に、「毎年、三大ピアノ協奏曲を弾くコンサートも続けていますし、一公演に協奏曲を5曲弾いたこともあります」という脅威のバイタリティ。その源を知りたいところなのだが……。
「今、こうして弾けるのは、もともとピアノに向いている身体能力があるからだと思います。でもそれは、難しいパッセージをそれほど練習しなくても弾けるというような表現の世界。子どもでもときどき、そういう例があります。ピアノはスポーツと違い、最高速や最大音量を競うわけではありませんから、体力とか筋力には関係ありません」ときっぱり。でも、「そろそろ年齢的にも60歳近くなったから、本音を言えばプログラムはモーツァルトやシューベルトを中心にしたいところ」と冗談ぽく笑う。
コンサートでの演奏回数は決して多くないというシューベルト演奏についての分析も実に興味深い。
「私自身もシューベルトは大好きです。演奏家はみんなシューベルトが好きなのですが、聴く側にとって退屈なイメージがあることは否めません。日本でシューベルトが不人気なのは演奏家に責任があると思っています。そうなる理由は、演奏へのアプローチが似ているから。まるで自分のために書かれた曲であるかのように、音楽を親密に捉え過ぎる演奏が多い。これは大いなる勘違いです。演奏家が片思いするだけでは聴衆は面白くありません」
では、どのように演奏すべきと考えているのだろう。
「多くの作曲家はいろいろな手法をこらして曲を作るのに、シューベルトはいいメロディを思いつくだけで曲ができてしまう天才です。ひとつのモチーフを大きく膨らませる天才がワーグナーだとすれば、シューベルトは素材だけで音楽を生み出した人。その才能は圧倒的です。ですからシューベルトを演奏する時は、ピアニストが意図的に参加し過ぎることなく、シンプルに音を並べるだけで美しく弾かなくてはならない、と私は思っています」
そのシューベルトを聴けるのが2019年6月の「ヤマハホール 珠玉のリサイタル&室内楽シリーズ」。ベートーヴェンの『ピアノ・ソナタ』2曲とブラームス『3つの間奏曲』、そして「ピアノ作品のなかでも至高の名曲」とするシューベルト『ピアノ・ソナタ』第14番を弾く。美しく研ぎ澄まされた清水和音の“今”を聴くことで、リサイタルの醍醐味を味わいたい。
日時:2019年6月25日(火)19:00開演(18:30開場)
場所:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:6,000円(全席指定・税込)
曲目:L.v.ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第17番 ニ短調『テンペスト』Op.31-2/ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 Op.109、J.ブラームス/3つの間奏曲 Op.117、F.シューベルト/ピアノ・ソナタ第14番 イ短調 Op.143,D784
本公演の優待チケット(優待価格5,500円)を20名様分ご用意しました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
応募締切:2019年3月17日 (日) 23:59
文/ 芹澤一美
photo/ 宮地たか子
tagged: ピアノ, ヤマハホール, ピアニスト, 清水和音
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