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今月の音遊人:古澤巌さん「ジャンルを問わず、父が聴かせてくれた音楽が今僕の血肉になっています」
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サクソフォン・レジェンドによる新シリーズ「トルヴェール・ディスカヴァリーズ!」が始動/トルヴェール・クヮルテット
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2019.9.9
tagged: ピアノ, インタビュー, サクソフォン, トルヴェール・クヮルテット
1987年、須川展也(ソプラノサクソフォン)、彦坂眞一郎(アルトサクソフォン)、新井靖志(テナーサクソフォン)、田中靖人(バリトンサクソフォン)の4人によって結成されたサクソフォン四重奏団「トルヴェール・クヮルテット」。 “吟遊詩人”を意味する“トルヴェール”を名乗り、クラシックのサクソフォンや、豊かな響きと技巧の面白さにあふれる四重奏の魅力を伝えてきた。
2016年、新井が急逝した後は、門下生である神保が新メンバーに。さらに、クヮルテットでありながら5人目のメンバーといっていい小柳美奈子(ピアノ)も結成間もないころからアンサンブルを支えている。
結成30周年という節目を迎えた2017年を経て、2019年はトルヴェールの過去・現在・未来をともに発見していく新たなコンサートシリーズ「トルヴェール・ディスカヴァリーズ!」が始動。11月30日には第1弾となるコンサートが東京文化会館で開催される。
現在、日本では若手奏者の活躍が目覚ましいが、その道筋をつけ、クラシック・サクソフォン界を常にリードしてきたのが、世界トップレベルで活躍するこの四重奏団だ。
「アカデミックな世界だけになってしまうと聴いていただく方にとって遠い存在になってしまうので、ジャズのテイストを組み込んだり、クラシック曲をサックス用にアレンジしたり、現代の作家にサックス用の楽曲を委嘱したりと、これまでレパートリーを広げてきました。結成当時の1980年代は斬新だったのではないかと思います」
須川はそう語る。一方、結成時にはまだ生まれていなかった神保がサクソフォン四重奏を初めて聴いたのは「トルヴェール・クヮルテット」のCDだったとか。
「何がすごいのかもわからなかったけれど、とにかくすごい!という感じでした。今、一緒に演奏するようになって思うのは、クヮルテットとしても本当にすばらしいですし、一人ひとりの演奏もキャラクターも濃い。みなさんそれぞれの活動をしていますが、トルヴェールにいるときにはまた違った一面を見せてくださり、そこで生まれるエネルギーが魅力だと思います」(神保)
個性と融合──それが結成以来のモットー。個々の驚異的な技巧と音楽性、そしてそれぞれの持ち味が融合する高度なアンサンブルは、30年以上にわたって多くの人々を魅了してきた。それが、彼らが“サクソフォン・レジェンド”と称されるゆえんだ。
今回掲げた「トルヴェール・ディスカヴァリーズ!」は、その歴史のなかで“発見してきたもの”“これから発見するもの”がテーマ。
「お互いから受ける刺激やそこで教えてもらったことが、これまでの“発見”です。それが僕たちの財産であり、僕の宝物です。そして、これからも“今日が初めて”という発見があり、それがどんどん増えていくのではないでしょうか」と彦坂。田中もそれに賛同する。
「慣れているレパートリーも、演奏するたびに“こういうことをすると面白い”という発見があるんです。そして、メンバーそれぞれの発見が融合したとき、ものすごいエネルギーが生まれるのだと思います」
11月30日のプログラムは、膨大なレパートリーのなかから、「過去のトルヴェール」「クラシックの伝統」「サクソフォンの伝統」「新しいトルヴェール」の4つをコンセプトに選曲。
結成当時からのオリジナル・レパートリーである長生淳作曲「デューク・エリントンの時代から」、クラシック作品の編曲ピースであり、神保がアレンジしたドヴォルザーク作曲「弦楽四重奏曲第12番」ヘ長調 作品96<アメリカ>、サクソフォン四重奏のためのクラシカル作品、A.ベルノー作曲「サクソフォン四重奏曲」、新作の石川亮太作曲「ストライク・アップ・ザ・シュトラウス」の4本柱で構成される。「サクソフォン四重奏曲」はやや難解な部分があるため、わかりやすく解説するトークコーナーも設けられる予定だ。
「ピアノというより、バスサックス的な存在として背景を広げる役割を常に意識している」という小柳。「今まで大切に温めてきたもの、そして心踊るように新しく変化していくもの。その両方を楽しんでいただけたらと思います」とコンサートへの意気込みを語る。他メンバーも、コンサートにかける思いは強い。
「サックスは作品数が少なく、だからこそクラシックの新時代のような感じで拓いていける楽器だと思います。サックスを聴いたことがない方にも、ぜひ足を運んでいただきたいです」(神保)
「本番は我々も何が起こるかわからないので、“事件”を楽しんでいただければ(笑)」(田中)
「サックスはしゃべるように操れる楽器であり、メンバーが出している音も声のように感じています。それが集まったアンサンブルの音をぜひ楽しんでいただきたいです」(彦坂)
「僕たちが全力で夢中になり、のめり込んで楽しんでいる姿を観て、聴いてもらいたいですね」(須川)
圧巻のパフォーマンスのなかに、レジェンドが紡いできた伝統と新しい一面を“発見”してみてはいかがだろう。
日時:2019年11月30日(土)14:00開演(13:30開場)
会場:東京文化会館 小ホール(東京都台東区上野公園5-45)
料金:S席5,000円 A席4,000円 学生3,000円(いずれも税込。学生券はコンサートイマジン電話受付のみ)
出演:トルヴェール・クヮルテット/小柳美奈子(ピアノ)
曲目:長生淳作曲/デューク・エリントンの時代から(1999年トルヴェール・クヮルテット委嘱作品)/ドヴォルザーク作曲/弦楽四重奏曲 第12番 へ長調 作品96<アメリカ>/A.ベルノー作曲/サクソフォン四重奏曲/石川亮太作曲/ストライク・アップ・ザ・シュトラウス(2018年トルヴェール・クヮルテット委嘱作品)
詳細はこちら
文/ 福田素子
photo/ 阿部雄介
tagged: ピアノ, インタビュー, サクソフォン, トルヴェール・クヮルテット
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