今月の音遊人
今月の音遊人:村治佳織さん「自分が出した音によって聴き手の表情が変わったとき、音楽の不思議な力を感じます」
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謎の指揮者が“負け組”楽団員たちの運命を動かすオーケストラ・エンターテインメント『マエストロ!』
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2014.12.17
tagged: オーケストラ, 映画, 佐渡裕, ベルリン・ドイツ交響楽団, マエストロ, 松坂桃李, miwa, 西田敏行, 小林聖太郎
古くは『オーケストラの少女』や『オーケストラ・リハーサル』から、2009年公開になったそのものずばりのタイトル『オーケストラ!』まで、オーケストラの再生を描いた作品は意外に多い。かつて大ヒットした『のだめカンタービレ』にも確かそんなエピソードがあった。
言うまでもなくオーケストラは、プロの集団だ。才能と強い個性・自己主張を持った人間が集まれば、当然のように軋轢が生じる。それをまとめあげねばならない指揮者の苦労もひとしおである。だから、群像劇としておもしろくなるのだ。『マエストロ!』もまた、そんな〈オーケストラもの〉の作品だ。
出演は、若手実力派俳優の松坂桃季、若者から絶大な支持を集めているシンガーソングライターmiwa、そして、俳優として確固たる地位を築いている西田敏行。
解散した名門オーケストラに復活のチャンスが巡って来るが、その環境はかつてのものとは比べものにならない。練習場は、廃工場。集まった奏者は、解散後に再就職が決まらなかった人々ばかり。いまひとつモチベーションの上がらない彼らの元にやって来た謎のマエストロ(指揮者)天道徹三郎(西田敏行)は、なぜか鳶職人のような格好で指揮棒の代わりに金槌を振り回しながら、彼らの演奏を罵倒し倒す。当然、反発する奏者たち。しかし不思議なことに、演奏のレベルはどんどん上がっていくのだ。
素人が聴いていても〈あらあら〉な演奏が、ストーリーの進行に沿って少しずつ〈ほうほう〉に変わっていくのが実感できるのは、チーフ音楽プロデューサー中島浩之の仕事ぶりと、指揮指導・指揮演技監修、コンサートシーンの演奏録音で実際に指揮棒を振った佐渡裕の力が大きい。
ラストで流れる『運命』と『未完成』の録音は、ドイツの名門、ベルリン・ドイツ交響楽団が、佐渡の指揮で演奏されている。しかもホールは、かつてカラヤンがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と録音を行った、ベルリンのイエス・キリスト教会だ。その本物の音が、クライマックスを迎えた演奏シーンに重なったとき、観客はストーリーとしての感動もさることながら、最上の音楽に触れたときに味わえる感動も享受することになる。
「人間は、誰でも死ぬ。音と一緒で、一瞬や」
「お前ら、これが最初で最後の演奏やと思って弾いたことあるか」
破天荒なマエストロから飛び出す言葉は、音楽を志す者への鋭く根源的な問いと言えるだろう。
『マエストロ!』
2015年1月31日(土)より全国ロードショー
出演:松坂桃李 miwa / 西田敏行 ほか
監督:小林聖太郎
脚本:奥寺佐渡子
原作:さそうあきら「マエストロ」(双葉社刊)漫画アクション連載
指揮指導・指揮演技監修:佐渡裕
エンディングテーマ:辻井伸行「マエストロ!」(エイベックス・クラシックス)
配給:松竹、アスミック・エース
詳しくは『マエストロ!』公式サイトをご覧ください。
文/ 明石柚美
tagged: オーケストラ, 映画, 佐渡裕, ベルリン・ドイツ交響楽団, マエストロ, 松坂桃李, miwa, 西田敏行, 小林聖太郎
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