今月の音遊人
今月の音遊人:NOKKOさん「私の歌詞の原点は、ユーミンさんと別冊マーガレット」
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1970年代前半に作られていたFGシリーズの高級手工モデル〈FG2000〉が独立するような形で、1974年に誕生したLシリーズ。「L」という名は、高級品を意味する「ラグジュアリー(Luxury)」から付けられています。その名の通り、厳選した素材を贅沢に使い、熟練した職人たちによって丁寧に作られたLシリーズは、石川鷹彦、吉川忠英、南こうせつ、さだまさしといった一流アーティストたちから愛用され続けています。そしてまた、彼らをはじめとするミュージシャンたちの意見を取り入れながら、時代に合わせて進化してきました。
発売30周年の2004年には大きなモデルチェンジがなされ、現在もそのモデルをベースにしつつ、音質や弾き心地のさらなる向上をめざしてマイナーチェンジを重ねています。そして、2014年に発売40周年を迎えたLシリーズ。ここでは、長きに渡り愛され続けているLシリーズの魅力を探ってみましょう。
現在、Lシリーズは〈LL86 Custom ARE〉を頂点として、〈L56 Customシリーズ〉、〈L36シリーズ〉、〈L26シリーズ〉、そして比較的入手しやすい〈L16シリーズ〉、〈L6シリーズ〉まで展開しています。〈LL86 Custom ARE〉を除いた各シリーズにはLL、LS、LJという3つのオリジナルボディシェイプが用意され、演奏スタイルによって選ぶことができます。
LLは、ドレッドノートというアコースティックギターの一般的なボディよりも少し大きめのサイズです。ダイナミックレンジが広く、深い音がします。きらびやかな倍音が特徴で、コードストロークにピッタリです。
LSは、LLよりも小ぶりなボディで、明るく立体的な音で中音域が豊かに際立ちます。アルペジオやソロプレイに適しています。
LJは、LLとLSの中間サイズで、倍音を抑え、クセがなくプレーンでバランスの良い音。ストローク、アルペジオ、リード・プレイでもオールマイティに使えるのが特徴です。プロの奏者にもよく使われています。
次に、ネックを見てみましょう。
弾きやすさに直接影響してくるネックは、ギター選びの中でとても重要な要素。木は、気温や湿度、弦の張力によって反ったり、ねじれたりするデリケートなパーツです。Lシリーズのネックは5層構造で、強く安定しています。
さらに、ネックの太さも、特に初心者にとっては大事です。太すぎると弦を抑えるのが大変ですし、逆に細いと握った時に安定しません。実際にLシリーズのギターをお店で試奏してみたのですが、ネックは太すぎず細すぎず、安心して演奏に集中できる握り具合。指板エッジが丸くカットされているので手馴染みが良く、ネックのバインディングも滑らかに加工されていて、指さわりが心地よいのが印象的でした。細部にまでこだわっているのがよくわかります。
音の面では、まるでヴィンテージ・ギターのような温かいサウンドが印象に残りました。これは、今年からLシリーズの全モデルに採用されたA.R.E.処理をしたボディ材によるものではないでしょうか。
A.R.E.(Acoustic Resonance Enhancement)とは温度、湿度、気圧を高精度に制御し、経年変化と同じ変化を短時間で生み出すヤマハオリジナルの木材処理技術です。これにより、豊かな鳴りやサステイン(音の伸び)が得られます。ちなみに、A.R.E.技術を施した木材は銀座のヤマハホールのステージにも採用されています。
また、ブレイシングというボディ内部の力木も、ギターの鳴りに影響する大事な部分ですが、新たにミリ単位の細かい修正を加え、より低音に迫力が出るようになりました。こうした奏者の目に直接触れないような部分にも、よりよい音に向けてのこだわりが詰まっています。
初心者が手にしやすい〈L16シリーズ〉と〈L6シリーズ〉には、ナチュラルやサンバーストなどのカラーバリエーションが用意されているのに加え、パッシブタイプのピックアップを搭載しています。ピックアップというのは簡単にいうとマイクのことで、アンプと接続してスタジオやライブなどでも使えるようになっています。最初の一本目のギターを探している方にはとても嬉しい機能ではないでしょうか。
ネックの話でも触れましたが、木で出来ているギターは温度や湿度の変化に敏感で、たとえば暖かいとことから寒いところへ、乾燥しているところから湿ったところへ、といったふうに環境の急変や保存状況によっては、ネックが反ってしまったり、時にはボディが割れてしまったりするケースもあります。
ヤマハでは耐候試験を行い、こうした変化の激しい日本の気候でも安定した状態が維持できるよう品質を高めています。耐久性が良いということも楽器を選ぶ際の大切な要素ではないでしょうか。そしてまた、プロからの信頼が厚い理由のひとつでもあります。
ギターを始めてみたいと思っている方、また昔バンドをやっていたけどもう一度やってみようかと考えている方など、どんな方にも対応できる幅広いラインナップのLシリーズ。お店で見かけたら、ぜひ手にとってみてください。そして、フラッグシップならではのこだわりを、随所に感じてみてください。
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