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今月の音遊人:挾間美帆さん「私は音で遊ぶ人のために作品を作っているのかもしれません」
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弛まぬ進化を続ける、3人のAKIRAによるスーパーサウンド/AKIRA’S Special Live Vol.5
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2020.5.8
年に一度の楽しみがやってきた!井上鑑、神保彰、岡沢章という日本のミュージックシーンを牽引する3人の“AKIRA”が2020年2月、ヤマハ銀座スタジオに再び集結。昼夜2回にわけて行われたライヴでは、昼の部から早くも熱いアンサンブルが繰り広げられた。
今回で5回目となるAKIRA’S Special Liveの1曲目は、神保作の「Urban Safari」。井上が軽快に鳴らすピアノと神保の密度の高いドラム、そこに岡沢のほどよくグルーヴィーなベースが加わり、濃密で心地よい音世界を創出。続く「Waltz For Lady」は井上作のバラードで、一転してリリカルな世界を追求する三者の繊細な音色に心奪われるが、岡沢が用意した楽曲、ボブ・ディランの「Watching the River Flow」でさらに一転、ブルースベースのワイルドな演奏で、会場を強烈な熱気で埋め尽くす。見事なまでに異なる方向性を持った3曲だが、一丸となって楽しそうに弾きこなす3人の姿に、あらためてAKIRA’Sのスーパーバンドぶりを実感するのである。
そんな音楽好きを唸らせるステージングの一方で、AKIRAたちはMCでも楽しませてくれる。今回はそれぞれが初めて手にした楽器の話をしているうちに、岡沢が初めて加入したバンドが“スーパーショックコレクション”という強烈な名前だったことや、神保が知人の結婚式でワンマンオーケストラを披露したが、激し過ぎて“崩壊”を予感させてしまったなど、いつしか笑い話になっていて、会場は大いに盛り上がった。
井上の「このお話と演奏のギャップを楽しんでいただければと思います」というMCどおり、再開したステージは「The Light」のピアノが奏でるやわらかいメロディとリズム隊の力強い演奏で、タイトルどおり光を目指すような前向きさを感じさせ、続く「Klein Blue」でも穏やかさと懐かしさを感じさせるサウンドで、AKIRA’Sの奥深い音楽世界へと観客を引き込んでいく。
「OPUS2.2」で黒々としたファンキー・フュージョンを奏で、続く「Tokyo skyline」では海岸線が目に浮かぶ爽やかなドライブミュージックを聴かせ、さらにAKIRA’Sのライヴでお馴染みとなったトラフィックのカバー「Feelin’ Alright」では、珍しく岡沢がスタンディングで熱唱。井上のソウルフルなピアノと神保のダイナミックなドラムをバックに、ブルージーでワイルドな歌声を披露する岡沢の姿がカッコよくて、会場からは熱烈な声援と拍手が贈られた。
本編最後は、これも定番となった「Kick It Out」を披露。プログレッシヴロック的な複雑なリズムが展開するパートと、井上のけだるいボーカルが独特なポップさを生む歌パートのハイブリッドな融合に興奮した観客は、メンバーがステージを去るやいなやすぐにアンコールを唱える。再びステージに登場した3人は、神保のラテンを取り入れた作曲スタイルに井上が影響を受けて書いたという「SENA」を演奏。これまでのAKIRA’Sにはなかった、ブラジルのMPBを彷彿させる洗練されたサウンドに、会場のすべての人がこのバンドの弛まぬ進化を確信。はやくも来年のライヴが待ち遠しくなった。
飯島健一〔いいじま・けんいち〕
音楽ライター、編集者。1970年埼玉県生まれ。書店勤務、レコード会社のアルバイトを経て、音楽雑誌『音楽と人』の編集に従事。フリーに転向してからは、Jポップを中心にジャズやクラシック、アニメ音楽のアーティストのインタビューやライヴレポートを執筆。映画や舞台、アートなどの分野の記事執筆も手掛けている。
文/ 飯島健一
photo/ Koichi Morishima
tagged: 神保彰, 井上鑑, 岡沢章, AKIRA’S
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