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鍵盤とペダルでプッシュできる!ピアノデザインの消毒液スプレースタンド
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2020.8.5
tagged: ピアノ, 消毒液スプレースタンド, イノベーションロード, ハーモニープラザ
新型コロナウイルス感染拡大防止のために欠かせないものとなった、感染防止のための消毒液。施設や店舗などいたるところに設置されているが、ヤマハならではの消毒液スプレースタンドが誕生した。
ヤマハの代名詞ともいえるピアノをモチーフに作られたこのスタンドは、下部に設置されたペダルを踏んでも、上部の鍵盤を肘などで押してもシュッと消毒液が出てくるしくみ。鍵盤のそばには、ヤマハ音楽教室のキャラクターとしておなじみの「ぷっぷる」がちょこんと乗っていて微笑ましい。
誕生のきっかけは、ヤマハ本社内にある社員用図書コーナーの責任者である関根聡さんの依頼だった。
「感染防止でクローズされていた図書コーナーを再開するにあたり、入り口付近に消毒液を置く必要がありました。ところが、当時は市販のスプレースタンドが品薄で手に入らない状態。そこで、社内の試作室に製作をお願いしたんです」
依頼はいたって普通のスプレースタンドだったが、これを受けた研究開発統括部の吉永憲市さんは、どうせ作るならヤマハらしいものを、と提案。さらに、感染リスク低減のために足で操作できるようにすること、ポンプを手の平でなく肘で押せるようにすることなどを念頭に試作を開始した。
ピアノ型というアイデアが生まれたとき、吉永さんの頭に浮かんだのは子どもたちの姿だったという。
「図書コーナーに設置するスタンドの依頼ではありましたが、たとえばピアノ工場見学ができるヤマハ掛川工場のハーモニープラザに設置すれば、見学に来た子どもたちも喜んで消毒してくれるのではないかと思いました。子どもは、消毒液を嫌がりますよね。でも、積極的に手指消毒してくれればいいな、と」
そこでこだわったひとつが、ペダル部分の構造だ。通常、スプレースタンドのペダルの多くは、手前を床面に固定しかかとを支点にしてつま先でペダルの奥を踏み込むしくみになっている。これは椅子に座った際は楽な動作だが、立った姿勢ではペダルの奥側を踏まなくてはならないためやりづらい。ましてや、足の小さい子どもにとっては大変。スプレーボトルの形状によってはそのノズルの先端の位置より奥を踏む場合もあり、消毒液が身体にかかってしまう可能性もある。そこで、ペダルの奥側を固定し、ペダルの手前側をつま先で楽に踏み込める構造にすることで、身体とノズルの距離も保てるようにした。
スプレースタンド本体は木材を使用し、ピアノをイメージして黒い塗装を施した。鍵盤とペダル部分には電子楽器用のパーツを応用。ペダルを踏むとピアノ線をイメージしたワイヤーをとおしてスプレーがプッシュされる。スプレーボトルの台座部分は高さの調節が可能で、さまざまな形状の容器に対応できる。
「試作品からどんどんブラッシュアップしていき、納得できるものになりました」(吉永さん)
ヤマハだからこそ作り得たこのスタンドの第1号は図書コーナーへ。さらに、そのオリジナリティと完成度の高さから、ヤマハの多彩な製品と楽器づくりの歴史などを展示する企業ミュージアム「イノベーションロード」、ヤマハピアノのふるさと、掛川工場の玄関口となる施設「ハーモニープラザ」にも設置されている。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため休館していた両施設は、2020年7月1日から再開。来館者は入口でこのアルコールスタンドに迎えられ、思わず笑顔に。大人も子どもも楽しみながら手指消毒ができ、さっそく感染予防対策にひと役買っている。
※この消毒液スプレースタンドは非売品です
文/ 福田素子
photo/ 澤島宏明
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