今月の音遊人
今月の音遊人:新妻聖子さん「あの歌声を聴いたとき、私がなりたいのはこれだ!と確信しました」
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小・中学校の音楽の授業で習うリコーダーは、誰もが一度は演奏するなじみ深い楽器。「誰が吹いても音が出る」という点で学びやすい一方、豊かな表現力をもつ楽器であり、子どもたちの情操や感性を育む。
身近であるがゆえに、“なんとなく”選んでしまいがちなリコーダーだが、およそ70年にわたってリコーダーを手がけてきたヤマハから、画期的なニューフェースが登場した。
子どもたちの将来のために、できることはないだろうか。そんな思いから生まれたソプラノリコーダー「バイオマス由来樹脂製リコーダーYRS-401、YRS-402B」。本体に使われているのは、東レが開発したポリ乳酸系樹脂「エコディア®」(植物由来のポリ乳酸を一部使用したバイオマス由来樹脂)(※)。この素材を採用することにより、二酸化炭素の排出量を100万本のリコーダーで約230トン削減できるという。これは、自動車が走るときに排出される二酸化炭素量に換算すると、なんと地球約25周分に相当する。
「環境」をキーワードに、その構想が始まったのは10年も前のこと。さまざまな素材で試行錯誤を繰り返し、ようやく完成したリコーダーは、『世界で初めてバイオマス由来樹脂を使用した楽器』となった。ケースも植物材料で、捨てるときにも有害物質を出さない。子どもたちの身近にあるリコーダーは、音楽だけでなく、環境教育の入り口にもなりそうだ。
もちろん、楽器としての性能も向上した。吹きごこちが良く、出しにくいといわれる高音もコントロールがしやすい。さらには木製リコーダーに近い芯のあるまろやかな音色を実現。現場の先生方からは、「集合音が非常にきれい」という声も聞かれる。「子どもたちがこの楽器からリコーダーを始めたら、その先の伸びが違ってくるのではないでしょうか」。プロの奏者もそう太鼓判を押す。
18世紀に製作された木製リコーダーの銘器「ロッテンブルグ」の格調高いデザインを採用しながらも、カラーはあくまでもポップ。緑色のケースのファスナーを開いてリコーダーを取り出せば、まるでトウモロコシが皮から顔をのぞかせたよう。教室全体の雰囲気が明るくなる。
現在、小学校の音楽教育では、音楽を楽しむ力を育成することに、力を注いでいるようだ。子どもたちが好き、楽しいと思える楽器を選ぶ。「バイオマス由来樹脂製リコーダー」は、その新しい選択肢になりそうだ。
※2023年に、従来使用していたバイオマス由来樹脂の生産終了に伴い、新たにユニチカ製「テラマック」を採用しました。
地球にやさしく音楽的にも優れた素材、東レのポリ乳酸系樹脂「エコディア®」を採用したヤマハバイオマス由来樹脂製リコーダー。
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