今月の音遊人
今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」
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演奏もお喋りも満載!清塚信也が初の生配信ライブ/清塚信也Xタイム online LIVE
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2021.1.8
ピアニストの清塚信也が、お笑いコンビ・かまいたちをクラシックやオリジナル音楽で「おもてなし」。レギュラーラジオ番組「清塚信也Xタイムラジオ」(TBS、日曜19時)の公開イベントに2人を招いて、自身初の生配信ライブを行った。トークの合間に、視聴者投稿をタブレットで確認&紹介も。記念すべき約1時間半を振り返る。
舞台には、ヤマハコンサートグランドピアノCFXが2台。清塚のソロ演奏&トークだけでなく、デュオの相棒・高井羅人(たかい・らんど)との演奏や、羅人を「狂言回し」にした演出で盛り上げる算段。つまり清塚&羅人でかまいたちに「応戦!?」する趣向なのだ。清塚は本番3分前から舞台でスタンバイし、やる気満々。しかし繊細な羅人は、舞台裏で最高に緊張しているようで……。
19時30分、オンタイムでかまいたちが1階席後方扉から登場。清塚は笑顔でステージに迎え、下手のピアノの傍に座らせて「癒やしのベートーヴェンをどうぞ気軽に」と、早速『ピアノソナタ第23番』第3楽章をソロ演奏。ベートーヴェン生誕250周年にちなんだ選曲だが、『熱情』の通称名で知られる激しい曲で、特に第3楽章は、緊張感の伴う長いパッセージを早弾きしたり、両手を交差させて弾いたりする。クラシック初心者のかまいたちは「どこが気軽やねん」「何個か熱々の鍵盤がある、熱ッ!」などとブーイング。
清塚は策略が成功して上機嫌。彼らのレギュラーラジオ番組「かまいたちのヘイ!タクシー!」(TBS、月曜21時30分)にプレゼントした曲が使われてない不満をわざと大げさにこぼしたりして、場を温めていく。そんなとき羅人が下手からすうーっと現れ、上手のピアノの椅子に静かに着席。清塚とあうんの呼吸で、アクティブなオリジナル曲『agitato!』を見事に演奏するので、彼をよく知らないかまいたちはビックリ! 羅人は音楽大学卒業後7年間ドイツ留学するも帰国後就職。幼なじみの清塚に説得されてピアニストを兼業している。2014年に2人の連弾アルバム『キヨヅカ★ランド』をリリース後、デュオや清塚のサポートバンドで活動を共にし、今や「相方」と呼び合うまでに。しかし「緊張しい」で口数も少なく、口八丁のエンターテイナー清塚とは対照的で、案の定この日もトークでオチを言い忘れ、清塚に突っ込まれる。
ショパン、リスト、シューマンらロマン派の音楽家の名曲を、清塚&羅人のトークとピアノ演奏で紹介するコーナーでも、清塚がほぼ1人でボケとツッコミをする格好に。しかし羅人は、シューマンの『トロイメライ』をピュアな音色でソロ演奏したり、TBSドラマ「半沢直樹」のテーマ曲『テーマ・オブ・半沢直樹』や、『チャールダーシュ』と『カルメン』をミックスした十八番の『チャルメン』をドラマチックにデュオしたり……。2人の「絶妙の演奏」と「微妙な掛け合いトーク」で、かまいたちを何度も「神妙な面持ち」にさせながら、配信ライブを和やかに遂行するのだった。
20時48分、清塚がTBSドラマ「コウノドリ」に作った『For Tomorrow』を情感たっぷりにソロ演奏。「コロナ禍で命の大切さや生きる尊さを改めて知り、以前より深く表現できるようになった気がする」などと語って、新曲『つながる心』を東京都交響楽団のヴァイオリニスト山本翔平とのコラボで締めくくった。暗転後、羅人が舞台に再登場してオチを言ったが、声が小さく「あらら……」の出来。だが、これぞ彼ならではの芸当!? かまいたちにとって「一生忘れられないクラシックコンサート初鑑賞」だったに違いない!
原納暢子〔はらのう・のぶこ〕
音楽ジャーナリスト・評論家。奈良女子大学卒業後、新聞社の音楽記者、放送記者をふりだしに「人の心が豊かになる音楽情報」や「文化の底上げにつながる評論」を企画取材、執筆編集し、新聞、雑誌、Web、放送などで発信。近年は演奏会やレクチャーコンサート、音楽旅行のプロデュースも。書籍「200DVD映像で聴くクラシック」「200CDクラシック音楽の聴き方上手」、佐藤しのぶアートグラビア「OPERA ALBUM」ほか。
Lucie 原納暢子
文/ 原納暢子
tagged: ヤマハホール, 清塚信也, 音楽ライターの眼, 高井羅人
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