今月の音遊人
今月の音遊人:葉加瀬太郎さん「音楽は自分にとって《究極のひまつぶし》。それは、この世の中でいちばん面白いことだから」
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2021年10月、ASKAの「アンコール公演」がついに始動する。
2019年12月にスタートしたツアー「ASKA premium ensemble concert -higher ground-」は、ASKAバンド×ビルボードクラシック・ストリングス(弦楽アンサンブル)という新たな試みに挑み、ファンを熱狂させた。
しかし、コロナ禍で2020年2月を最後にツアーは延期、そして中止に。今回、新たに「ASKA premium ensemble concert -higher ground-アンコール公演」を掲げ、開催が叶わなかった熊本・大阪を含めた各地に究極のサウンドと熱い歌声を届ける。
コロナ禍で、世界は変化を余儀なくされた。
「こうなるものは仕方がない。でも、仕方ないで終わっていいものと終わらせてはいけないものがあります。今回のツアーは絶対に終わらせてはいけないので、『秋からのツアーに変更はありません』とブログに書き続けているんです。言葉にすれば、それが現実になっていくという哲学的思考がありますから」
そんなASKAの強い意思のもと、さらに進化を遂げたASKAバンドと15人のストリングスのメンバーたちが集結する。
「ストリングスにピックアップをつけることで、バンドの音に消されることなく、重みのあるしっかりとした音が出せます。ストリングスを入れようと考えた当初は、それを楽しみにしていました。そして今回、リハーサルを観客席から観ているときに、気づいたことがあるんです。バンドのメンバーはそれぞれの動きをしますが、ストリングス15人は全員の動きが見事にシンクロしている。彼女たちが意識しているかどうかはわかりませんが、これがステージを彩っていたのか!と思いましたね。僕にとっては新たな発見でした」
輝きに満ちたサウンドとともに、シンクロの美しさを備えた視覚上の音も見どころのひとつになりそうだ。
アンコールと名打った今回は、前回のツアーの見どころを織り込みながらも、新たな作品群を選曲。前回同様、ソロアーティストとしての楽曲にCHAGE and ASKAの曲も織り交ぜた贅沢な内容になる予定だ。
ASKAの言葉は、あくまでも力強い。
「前回ご覧になられた方も、再現されて楽しかったなんて思ってくれるなよ、超えるよ!という意気込みです」
2021年7月14日には、『歌になりたい』以来、約1年8カ月ぶりとなるシングル『笑って歩こうよ』もリリースされた。
ASKAが強くこだわったのは、1970年代をイメージしたメロディーだ。
「若い世代の子たちが、1990年代の音楽を聴き込んでいるという話を耳にします。僕らは、そのど真ん中にいたわけです。そして、そんな僕らが聴いて育ったのが70年代の音楽です」
コンピュータもなく、人間の演奏とメロディーで勝負しなければならなかった70年代。80年代前半はコンピュータが登場し、音楽が転換期を迎える直前にあって、すばらしいメロディーにあふれていた。
「ある程度音楽業界で長くやっているので、きっと70年代に戻る方法論を自分のなかに持ち合わせているだろうと思って。70年代を意識して書いたのがこの曲です」
詩は、ラブソングとして綴り始めた。しかし、それはラブソングだけに止まらない意味をもたらすことになる。
常に楽曲をつくり続けているASKAだが、実はこの曲を最初につくったのは7~8年前。
「巡り合わせってよく言いますが、この曲をリリースするまで時間がかかって良かったと思っています。今、コロナ禍でも自分は大丈夫だと思っている多くの人も、実は毎日一生懸命修正をかけて自分をコントロールしていると思うんです。そんななかで、希望を持って笑顔を持ち続けなければいけない」
この曲からそんな男女のラブソング以上のストーリーとメッセージを受け取ったひとりが、ミュージックビデオ(MV)に出演した尾野真千子だ。
「歌詞とメロディーという脚本を渡されて、その裏に隠れたものを表現する。それを見事に演じ切った彼女はすごいと思いましたね」
テレビドラマはほとんど見ないASKAだが、尾野が出演していたNHK連続ドラマ『カーネーション』は欠かさず観ていたそう。
「ものすごく魅力的な演技をしていたし、そこから放つものを感じていたんでしょうね」
とはいっても、尾野をチョイスしたのは、アイスランドで撮影したと前作『歌になりたい』の壮大なMVを手がけた映像監督の石井貴英だ。ASKAの思いも知らずに。
「考えてもみなかったです。でも彼女がこの曲を、より“作品”にしてくれました」
カップリング曲『プラネタリウム』も、6~7年前につくったキュンとするラブソング。
「つくっては見たものの、その当時は50代で恥ずかしくて歌えなかった。でも、還暦とはよく言ったもので還るんですね。純粋に恋愛というものを表現できるようになりました(笑)」
今後も、自分のなかのこれぞと思った楽曲をリリースしていく予定だという。「アンコール公演」で、ASKAが刻む新しい軌跡に期待は高まる。
発売元:DADA label
発売日:2021年7月14日
価格:1,430円(税込)
詳細はこちら
2021年
10月9日(土)府中の森芸術劇場(東京都)
10月16日(土)熊本城ホール(熊本県)
10月24日(日)静岡市民文化会館 大ホール(静岡県)
11月5日(金)岡山市民会館(岡山県)
11月6日(土)広島文化学園 HBG ホール(広島県)
11月10日(水)相模女子大学グリーンホール(神奈川県)
11月16日(火)LINE CUBE SHIBUYA(東京都)
11月17日(水)LINE CUBE SHIBUYA(東京都)
11月23日(火・祝)高崎芸術劇場(群馬県)
11月26日(金)東京国際フォーラムホール A(東京都)
11月30日(火)フェスティバルホール(大阪府)
12月9日(木)ロームシアター京都(京都府)
12月17日(金)仙台サンプラザホール
12月22日(水)名古屋国際会議場センチュリーホール
12月28日(火)福岡サンパレス ホテル&ホール
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文/ 福田素子
photo/ 阿部雄介
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