今月の音遊人
今月の音遊人:小林愛実さん「理想の音を追い求め、一音一音紡いでいます」
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連載2[多様性とジャズ]マスク着用率が高い日本で“音楽と個人主義”が語れるのかを考えてみた
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2022.1.28
2022年正月、コロナ禍において外出の際や公共の場でのマスク着用が求められる状態が続いている。
マスク着用率と新型コロナウイルス感染症罹患率との相関は科学的に示されているとは言えず、「マスクをしているからコロナにはかからない」と言い切れないのが実状だ。そしてまた、日本では法令による強制には至っていない。
本稿はその相関を論じることが目的ではないのでこれ以上触れないが、問題にしたいのは「日本には、マスクをしたほうがよいという同調圧力がかかりやすい“集団主義”的な国民性」があって、それによってマスク着用率が高く、コロナの新規感染者数を低く抑えられているという論調のほうなのだ。
こうした「日本は集団主義的で、欧米は個人主義的」という先入観がもたらす認識を俎上に載せることから、“個人主義”を考える手がかりとしてみたい。
辞書で“個人主義”の意味を調べてみると、「1 《individualism》国家・社会の権威に対して個人の意義と価値を重視し、その権利と自由を尊重することを主張する立場や理論。→全体主義 2 『利己主義』に同じ」とある(引用:小学館『デジタル大辞泉』)。
どうやら、14世紀にイタリアで始まり欧州へ広まったルネサンス=古代ローマ・ギリシャ文化の復興運動における多様性を尊重する気運のなかから生まれ、16世紀の宗教改革で聖職者と俗人(つまり一般ピープル)の身分的区別などが否定されたことが引き金となって「個人の意義と価値を重視」するようになり、さらに19世紀にかけて開花した資本主義のなかで「個人の自由競争」が追求されることで確立した考え方のようだ。
ちなみに日本国憲法(1946年公布)でも第13条で「すべて国民は、個人として尊重される」と規定している。
少なくとも第二次世界大戦後の日本は、個人を尊重する“個人主義”の国として歩んできたはずだった。
なのに、反対語である“集団主義”的な国民性であるかのような言説が飛び交うのはなぜなんだろう?
という疑問に対する答えを、“孤高のジャズ・ピアニスト”と冠され、2022年初頭に2本のドキュメンタリー映画(「MONK モンク」「モンク・イン・ヨーロッパ」)が日本で公開されるセロニアス・モンクの『セロニアス・ヒムセルフ』(1957年)を聴きながら、次回は考えてみたい。
富澤えいち〔とみざわ・えいち〕
ジャズ評論家。1960年東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる生活を続ける。2004年に著書『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)を上梓。カルチャーセンターのジャズ講座やCSラジオのパーソナリティーを担当するほか、テレビやラジオへの出演など活字以外にも活動の場を広げる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。『井上陽水FILE FROM 1969』(TOKYO FM出版)収録の2003年のインタビュー記事のように取材対象の間口も広い。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。
富澤えいちのジャズブログ/富澤えいちのジャズ・ブログ道場Facebook
文/ 富澤えいち
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