Web音遊人(みゅーじん)

ピアノを安心して長くお使いいただくために、気持ちに寄り添うアフターサービスを

美しい音色を奏でるために必要な楽器の調整。複雑な構造をもつピアノは、ほかの多くの楽器とは違い、調律などのメンテナンスが演奏者自身ではできません。それだけにアフターサービスが果たす役割は重要といえるでしょう。
ヤマハのアコースティックピアノやハイブリッドピアノの調律をはじめとするメンテナンスの窓口は、全国にあるヤマハ楽器特約店。そして、それをサポートしているのがカスタマーサポート部ピアノ技術サービス課です。
今回はその業務についてピアノ技術サービス課の鵜飼淳さん、勝間創太さん、山口文華さんに伺いました。

ヤマハピアノ技術者ネットワークを構築し、スキルアップを

特約店では、店に所属する技術者がお客様からの相談や依頼に対応。2011年から国家資格となったピアノ調律技能士資格のほか、技術者を養成するヤマハピアノテクニカルアカデミーのヤマハ認定グレード取得者も多く、お客様の大切なピアノと向き合っています。
「ピアノ技術サービス課の基本となる業務は、レベルの高い技術対応力や豊富な情報で臨める技術者ネットワークを維持していくことです」と鵜飼さん。これにより、お客様へのより正確かつスピーディーなサービスを図っています。
「自分たちが直接お客様のところへサービスに行くというよりも、特約店技術者と共に技術力向上のための情報共有をしたり、特約店全体のサービス体制を整えたりすることが仕事のメインです。ですから、技術者との信頼関係はとても大切なのです」(山口さん)
そのサポートのひとつとして開催しているのが、技術研修会です。研修内容は調律、調整、整音、外装修理、ハイブリッドピアノの取り扱いなどさまざま。東西の研修センターでの開催や、特約店や現地に出向く現場研修なども行っています。
ところが、コロナ禍でその研修はやむなくストップ。一方で、全国の若手技術者を対象としたオンラインとリアルを同時に行う研修など、新たな試みも始まりました。若手技術者の研修会では、技術だけでなくお客様とのコミュニケーションに関する勉強会なども行っています。

「お客様にとって、技術者はいわばまったくの他人。でもご自宅に訪問して、大切なピアノに触れて調整をするわけです。お客様が安心し、ご満足いただくためのサービスとして、コミュニケーションは非常に重要なポイントだと考えています」(山口さん)
さらに、ヤマハピアノテクニカルアカデミーや特約店と連携を取りつつ、ヤマハ認定グレードの取得を進めるなど技術者のさらなるスキルアップに努めています。

若手技術者を対象としたキャリアアップ研修の様子。オンラインにて全国同時の技術研修、ディスカッションを実施。

研修メニューは多岐にわたり、必要に応じた内容で行われる。

製品だけでなくアフターサービスにも安心感を

ピアノ技術サービス課では、技術者が閲覧できる専用サイトも開設。新しい技術情報や調整事例をいち早く伝えています。2020年からは動画の配信も開始し、よりわかりやすい情報を提供できるようになりました。
また、難易度の高い問題が発生した際は、技術者とともに解決を図るため、ピアノ技術サービス課のスタッフが全国の現場へ出向くことも。技術者とのコミュニケーションを大切にし、全国どこでも同じサービスを提供できるよう力を注いでいます。
さらに、お客様のご意見を直接聞くことができる技術者から寄せられた声は、本社、工場ほか関連部門にフィードバック。これらの情報は、製品の品質向上や開発に活かされています。
一方で、全国の技術者と強いつながりを続けるため、自らの技術や知識のブラッシュアップも忘れません。
「ピアノは長く使われるお客様が多く、昔のピアノを現役で使っている方もいらっしゃいます。我々若手は、そうしたものについても先輩技術者からしっかり情報を吸収するよう心掛けています」(勝間さん)
「ピアノは一台一台個性があります。基準に合わせてきっちり調律するだけでなく、その前後でどう変化したかを自分で言葉にして理解するようにしています」(山口さん)

製品としてだけでなく、アフターサービスでも安心と信頼感を──。
「お客様には、製品と一緒に調律などのアフターサービスをご購入いただいていると思っています」(鵜飼さん)
そんな気概と矜持で、業務に臨んでいます。
「私の実家にも母が子どものときに買ったピアノがあり、いろいろな思い出があります」と勝間さんが話すように、使うほどに思い出も多くなるピアノ。安心して長く愛用していただくため、常にお客様の気持ちに寄り添ったサービスを目指しています。

photo/ 坂本ようこ(1、3、4枚目)

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