今月の音遊人
今月の音遊人:荻野目洋子さん「引っ込み思案だった私は、音楽でならはじけることができたんです」
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佐野史郎と中原仁が解き明かす魅惑の「ブラジル音楽」の世界
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2015.6.22
tagged: ポータル, 佐野史郎, ヤマハ銀座, 音座銀座, On The Gin Za, トークショー, 中原仁, ブラジル音楽
毎回多彩なゲストを招いて、大人の音楽の愉しみ方を発見する人気のトークショー『音座銀座(On The Gin Za)』。ホストである俳優の佐野史郎が5回目のテーマに選んだのはブラジル音楽。そこで、ブラジル音楽通として知られる音楽プロデューサーの中原仁を招いて、ディープな音楽夜話が繰り広げられた。中原仁といえば、J-WAVEの長寿番組『サウージ!サウダージ』の選曲・制作を手がけていることでおなじみだ。
さて、ブラジル音楽としてまずはどの曲がセレクトされるのだろうか。来場者の期待が高まるなか、佐野が1曲目に選んだのは、セルジオメンデス&ブラジル‘66の『マシュ・ケ・ナダ』。曲が流れると、納得のうなずきが会場に広がった。軽快なリズムとメロディは、誰もが聴きなじんでいるだろう。そういえばこの時代の洋楽はロックだけでなく、フレンチもイタリアンポップスも、そしてブラジルも普通にかかっていたことを思い出した。
「あの頃のヒットチャートは今よりもワールドミュージックを聞くことができた」と中原が語り、当時ヒットしたブラジルの曲を次々と紹介。「同じ時期に流行ったもので、別にブラジルを意識したわけじゃないと思うけど」と、佐野が長谷川きよしの『別れのサンバ』を出すと、中原が「実は長谷川きよしのギターって、バーデン・パウエルのギタースタイルなんですよ」と話題は意外な展開に。会場が興味津々になったところで、バーデン・パウエルの『トリステーザ』と聴き比べたりして、ブラジル音楽談義はさらに深まっていった。
「『イパネマの娘』の作詞家は外交官としてパリに勤務していた」「リオデジャネイロの街づくりはベル・エポック期のパリを手本にした」など、歴史的背景にも詳しい中原ならではのマニアックな話が続けば、「ブラジルには明治以降に日本からの移民が多く渡っていることもあり、日本人は細胞の奥深くでブラジル音楽に惹かれるのかもしれない」と、佐野独自の音楽感も披露されたりと、多彩な話が飽きさせない。
そして話題は70年代、フュージョン、クロスオーバーの時代に。これまでの盛り上がりで残り時間がなくなったと苦笑しつつ、佐野がアイアート・モレイラ、ミルトン・ナシメントに出会った思い出話から、どちらのアーティストも参加していたチック・コリアやウェイン・ショーターのアルバムへと話が広がった。
この日取り上げられた曲は全部で29曲。曲を聴けば、ほとんどのものは知っていたのが意外でもあり、佐野が言うようにブラジル音楽は知らず知らずのうちに日本人の心にフィットしていたのかも、と感じさせられた、心地よい夕べだった。
さて、次回の音座銀座は、小説家・翻訳家・博物学者・妖怪評論家と、枠に収まりきれない活動を繰り広げる異才・荒俣宏さんをお迎えして、ハワイアンやサーフロックはもちろん、その背景にあるハワイ独自の民族音楽や民族文化、アニミズムまで、存分に語っていただきます。お楽しみに!
こちらのPDFファイルをご覧ください。
日時:2015年7月29日(水)開場16:30/開演17:00
場所:ヤマハ銀座ビル1F“ポータル”(東京都中央区銀座7-9-14 )
観覧:無料※座席は事前予約制
席数:予約席35名(抽選)※立ち見フリースペースあり(当日先着順)
文/ 唐沢耕
photo/ 森島興一
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