今月の音遊人
今月の音遊人:曽根麻央さん 「音楽は、目に見えないからこそ、立体的なのだと思います」
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海外ブランド製品からノベルティまで、日本の市場に出る前に必ず行われる「品質管理」とは?
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2022.6.23
tagged: カスタマーサポート通信, CS・品質企画課
総合楽器メーカーとして、さまざまな楽器やオーディオ製品などを製造しているヤマハ。一方で、日本国内では自社製品だけでなく、世界の著名ブランド製品の取り扱いも行い、音楽シーンの多様なニーズに応えています。
そうした海外ブランド製品を日本の市場に送り出す際に欠かせないのが品質管理。その役割を担うカスタマーサポート部「CS・品質企画課」の伊藤晃範さん、鈴木雄貴さん、水戸瑞季さんに業務内容を伺いました。
「ベーゼンドルファー」や赤いステージピアノで有名なスウェーデンの「ノード」、アメリカの注目ギターブランド「ブリードラブ」、イギリスのギターアンプメーカー「マーシャル」など、ヤマハが取り扱っている海外ブランドは40社以上。その製品は、鍵盤楽器から弦楽器、ドラム・パーカッションなどの楽器からプロオーディオ、譜面台やスタンドにいたるまで多岐にわたります。
こうした製品は輸入してすぐに販売されるわけではなく、「CS・品質企画課」による厳しいチェックを経なければなりません。
「海外にはそれぞれの法規制などがありますが、さらに日本の法令や社内基準をクリアするためのチェックを行っています。一連のプロセスを踏んだものだけが出荷されています」
主にアコースティック楽器を担当する鈴木さんは、そう話します。
品質管理とひと言でいっても、機能・操作性、耐久性、そして安全・衛生面、環境面などさまざまな視点からの管理が必要。法律や規制など必ず満たさなければならない条件は大前提ですが、ほかにもトータルで約70にもおよぶ細かな項目において厳しいチェックを実施しています。
「対象となるのは製品本体だけでなく、容器包装から保証書、取り扱い説明書まで製品に関わるすべてです」(鈴木さん)
例えば、容器包装に記載されたリサイクルのための識別マークは、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。そうしたマーク表示の管理も「CS・品質企画課」の役目です。また、アフターサービスに関わるパーツ供給や修理の実施方法、顧客サポートの実施手順が決まっているかなども出荷前の重要な検査事項です。
さらに、電子楽器やオーディオ製品では、電気用品安全法や電波法の順法が必須。輸入業者であるヤマハミュージックジャパンは定められた手続きを履行し、適切な技術基準への適合確認をしなければなりません。遵法性の確認ができたうえで、電気用品安全法に関わる「PSEマーク」や電波を使う機器に対して電波法に適合していることを証明する「技適マーク」を表示する必要があります。
「電気用品安全法では基準適合確認が義務づけられていますが、製造元が提供するさまざまなレポートを精査し、電気的安全が担保されているかを確認。その基準も頻繁に更新されるため、その都度改訂に応じてチェックする必要があります」
そう話すのは、電気系製品を担当する伊藤さん。海外とのやり取りでは、お国柄もあって調整に苦労するケースもあるそう。いわば、日本に流通する“お墨付き”を与えているのが「CS・品質企画課」なのです。
もうひとつの重要な業務は、イベントなどで配布されるヤマハのノベルティの品質管理です。ヤマハのロゴが入ったクリアファイルやボールペン、カップといったノベルティグッズのほか、コンクールで贈られるメダルなど、扱う製品は多種多様です。
これらについても輸入製品同様、約70項目におよぶ厳密なチェックを行っています。例えばお客様が口にするカップでは、食品衛生法に基づき、有害物質が溶け出さないかといった安全性を確認する溶出検査を外部に委託し、実施。クリアファイルに使用される印刷用インクなどについても、ヤマハの基準を満たしているかを確認しています。
「製品によって、求められることや状況は異なります。使用するお客様やシーンを考え、必要項目以外の試験を独自に考えて行ったりもしています」
ノベルティ担当の水戸さんの、そんなきめ細やかな配慮も品質を支えています。
輸入品、ノベルティともに、サンプル品、もしくは製造元が提出したさまざまな資料をもとに最初のチェックが行われます。その後、初ロットで国際基準の品質規格にのっとった抜き取り検査を実施。二段階のプロセスを踏み、徹底チェックしています。
「業務は、営業部門とも連携して進めています。製品を早く世に送り出したい気持ちは営業も我々も同じですが、何よりも安全が第一」(鈴木さん)
品質管理とは安全基準や規格をクリアするだけでなく、お客様の期待に見合うかどうかの精査まで含めたもの。だから、お客様の満足のため、決して妥協を許さない──。それが「CS・品質企画課」の基本であり、矜持でもあるのです。
文/ 福田素子
photo/ 澤島宏明
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