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ピアノメーカーだから実現できたリアルな音とタッチ~ヤマハ電子ピアノ「クラビノーバ」の進化の軌跡
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2023.9.29
ピアノの表現力に重きを置いた「CLPシリーズ」、多機能性にこだわった「CVPシリーズ」、アプリとの連携で楽しむ「CSPシリーズ」を三本柱に、幅広いモデルが揃うクラビノーバ。2023年に40周年を迎えたクラビノーバが、ヤマハ電子ピアノの中核ブランドとしてどのように進化してきたのか、ヤマハミュージックジャパンの山内友貴さんに聞いた。
クラビノーバの初代モデル「YP-20/30」が発売されたのは1983年。当時は団地住まいの人が増え、習い事としてピアノの需要が高まった時代。音量調節ができて場所を取らず、アコースティックピアノに比べて手の出しやすい価格のクラビノーバは一躍人気となった。
「初期のころのモデルはヤマハ独自のFM音源を搭載し、音色の切り替えや打鍵の強弱で音色・音量に変化をつけるタッチコントロール機能が画期的でした。今からすると簡易的な機能ですが、当時のチラシなどを見ると、電子ピアノのエンターテインメント性を前面に打ち出していたようです」(山内さん)。
その後、1985年にCVPシリーズの初代モデル「CVP-7」、1986年にCLPシリーズの初代モデル「CLP-50」が登場。長きにわたってCVP/CLPシリーズの二本柱で進化を遂げていった。
「技術の進化とともにモデルチェンジを重ねてきたクラビノーバですが、ひとつターニングポイントを挙げるならば、2017年に登場した『CSPシリーズ』です。ガイドランプで打鍵の位置とタイミングを示す機能『ストリームライツ』を搭載し、クラビノーバとして初めて“ピアノ未経験者”にスポットを当てたのは大きな出来事といえます」(山内さん)
クラビノーバが支持されてきた理由は、本格的な音とタッチ。特に音については、ピアノメーカーとしてヤマハが最もこだわってきたところだ。
「サンプリング技術が進化しても、“いい音”がなんたるかを知らなければ音の良し悪しの判断はできません。アコースティックピアノづくりのノウハウがあり、かつ音響・オーディオ部門も備えるヤマハだからこそ、最適な音づくりをしてこられたのだと思います。また、各分野のひとつひとつの技術が高いだけでなく、それらをマッチングさせることで、ピアノを弾く奏者に心地良い音が届くように開発してきたのもヤマハのこだわりです」(山内さん)。
CLP/CVP/CSPの最新シリーズでは、単に音が良いだけでなく、奏者のタッチに合わせてグランドピアノのハンマーの動きや弦の響き・共鳴までもが再現されるようになっている。
「最新のクラビノーバは、タッチの細かいところまで音に反映されるため、主にクラシック音楽の演奏で求められる繊細な感情表現も可能です。上級者ほど、多彩な音色変化を楽しめると思います。また同時に、うまく弾けないところはそのとおりの音が鳴ります。私も趣味でピアノを弾くので実感しますが、実力どおりの音が返ってくるので、弾いていて改善すべきポイントに気付きやすく、効率的に練習できます」(山内さん)
録音機能で自身の演奏を聴き返したり、内蔵されているレッスン曲を片手パートずつ再生することができたり、Bluetoothで手持ちのスマホ・タブレットとつなげて楽しさを広げたり、デジタルならではの機能もクラビノーバの魅力だ。
「全てのモデルにおいて、ヤマハ『CFX』とベーゼンドルファー『インペリアル』という、ふたつのコンサートグランドピアノの音を内蔵しています。また、CLP-700シリーズでは歴史的なフォルテピアノの音を使って、モーツァルトやショパンの意図を汲み取るような表現を楽しむことができます。通常ならば触れられないピアノの音を、ボタンひとつで鳴らせるのはクラビノーバならではです」(山内さん)
2023年6月にはCVP-900シリーズ(CVP-909/CVP-905)、8月にはCSPシリーズの新モデル、「CSP-275」「CSP-255」が登場。モデルチェンジした両シリーズともに、さらに磨きをかけたヤマハ「CFX」とベーゼンドルファー「インペリアル」の新音源を搭載。CVP-900シリーズはペダルの機能が向上したことに加え、操作ボタンのLEDもよりスタイリッシュな色使いとなり、使いやすくなった。
「ピアノといっても楽しみ方は人それぞれで、時代によって楽器に求めるものも変化してきています。これからもピアノの表現力は追求していきますが、スマートデバイスやアプリが当たり前となった時代にCSPシリーズが生まれたように、ピアノや音楽の楽しみ方に合わせてクラビノーバは進化し続けていきます」(山内さん)
ピアノ演奏の目的や好みに合わせて、CLP/CVP/CSPシリーズの中から自分に合ったモデルを見つけることができるクラビノーバ。これからもピアノづくりのノウハウと最新技術を取り入れ、世界中の人をワクワクさせるシリーズ・モデルが生み出されていくだろう。