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【優待チケット】シューベルト「ピアノ・ソナタ」全曲シリーズを世界各地で展開する/ポール・ルイス インタビュー
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2024.5.31
2024年に、5年ぶりの来日を果たす英国のピアニスト、ポール・ルイスは、当代きってのシューベルト弾きと言っても過言ではないだろう。2024年9月7日(土)、8日(日)にヤマハホールでリサイタルが開催される。
2001年に初めてシューベルトのピアノ・ソナタの全曲演奏(未完のソナタを除く)に取り組んでから20余年、彼は今、人生二度目のソナタ・シリーズを世界各地で展開しており、その技術に裏打ちされた端正かつ実直なアプローチは高い評価を得ている。
「そもそもこうした作曲家のシリーズに取り組んだのはシューベルトが初めてでした。その後、ベートーヴェンやブラームス、ハイドンなど他の作曲家たちのシリーズも行ってきた中で、再びシューベルトに回帰したいと思ったのです。それはシューベルトの音楽を愛しているからであり、そして自分の演奏がどう変わったかに興味があったからです。実際、以前にくらべてシューベルトの音楽をより直感的にとらえるようになり、音楽のなかにある深い闇も強く感じますね」
ルイスは、ビートルズの故郷リヴァプールの出身。家族に音楽家はいなかったが、初めはチェロを習い、やがてピアノに転じてからは、図書館でレコードを借りたり、地元のオーケストラのコンサートに通ったりして、クラシック音楽にのめりこんでいった。十代の頃は、若者らしく、後期ロマン派やロシア音楽などヴィルトゥオーゾ系の曲に魅了されていたそうだが、そんな彼がウィーン古典派をはじめとするドイツやオーストリアのレパートリーに向かうようになった大きなきっかけは、20代初めに名手アルフレート・ブレンデルの薫陶を受けるようになったことであろう。
「ブレンデル先生からはシューベルトの解釈について本当に多くのことを教わりました。実は2024年3月に久しぶりに先生のご自宅にうかがい、変ロ長調のソナタ第21番をお聴かせしたのですが、とても有益なコメントをくださって昔に戻ったような気分になりました」
9月のヤマハホールでのシューベルト・シリーズでは、2日間にわたって初期のピアノ・ソナタ(第4番、第9番)や“幻想”の愛称で親しまれているソナタ第18番、最高峰に位置する「後期三大ソナタ」(第19〜21番)など、6作のソナタを弾く。
「イ短調のソナタ第4番は後期作品にみられるドラマや緊張感もありますが、全体としては穏やかで、第2楽章の美しい主題はのちのイ長調のソナタ第20番でも用いられています。一方、ロ長調のソナタ第9番は和声の扱いが斬新で、驚くような和声進行や転調が特徴です。ソナタ第18番はこれまでに書かれたもっとも偉大なピアノ曲のひとつですが、この曲でのシューベルトの時間と空間のあつかいは驚異的で、第1楽章ではまるで時が静止しているかのようです」
「後期三大ソナタ」は1828年、シューベルトが亡くなる2か月前に作曲されたもの。彼自身、3作をセットとして構想していたと考えられており、死期を悟った彼の心の変化がたどれると語る。
「ハ短調のソナタ第19番では、運命への恐怖や追い詰められた心境が綴られますが、次のソナタ第20番では彼はもはや運命を受け入れ、寛容な気持ちになっています。そして最後の変ロ長調のソナタでは、特に第2楽章において、この世の生を終えてあの世へと旅立つさまが表現されているように弾いていて感じます。
私がシューベルトに惹かれ続けているのは、こうした彼の音楽のもつ脆さや弱さ、すなわち人間の心をありのままに反映している点だと言えます。そこにはベートーヴェンのような明確な解答はありませんが、だからこそ人間味あふれる作曲家だと思うのです」
今回、東京で演奏するヤマハコンサートグランドピアノCFXについてはどのような印象を持っているのだろうか。
「これまで数々のホールで弾いたCFXは、それぞれ音の個性がありましたので、ヤマハホールで弾くCFXがどんな響きなのかとても楽しみにしています。タッチやアクションに関してはどのCFXもつねに完璧に調整されていて、舞台上の良き友と言えます」
このソナタ・シリーズを通して、「シューベルトの音楽の持つ誠実さ、その感情の襞(ひだ)を皆さんと共有できたら」と語るルイス。彼のシューベルトとの「旅」がどこへ向かっているのか、現在進行形で体験できるまたとない機会である。
日時:2024年9月7日(土)、8(日)いずれも14:00開演(13:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:6,000 円(税込・全席指定)
出演:ポール・ルイス(ピアノ)
曲目:9月7日(土):ピアノ・ソナタ第4番 イ短調 D.537、第19番 ハ短調 D.958、第18番 ト長調 D.894
9月7日(土)の詳細はこちら
9月8日(日):ピアノ・ソナタ 第9番 ロ長調 D.575、第20番 イ長調 D.959、 第21番 変ロ長調 D.960
9月8日(日)の詳細はこちら
本公演の優待チケット(一般:定価6,000円/優待価格5,000円)を計20枚ご用意いたしました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
応募期間:2024年6月28日(金)23:59
応募はこちら
文/ 後藤菜穂子
photo/ Kaupo Kikkas
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tagged: ヤマハホール, CFX, シューベルト, ポール・ルイス
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