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美しい音楽は世界にまだまだあふれている~指揮者として初の自主公演を開催!/茂木大輔インタビュー
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2024.9.13
tagged: 茂木大輔, 髙木凜々子, 東京音楽史管弦楽団, ルイ・シュポア, ヘンリク・ヴィエニャフスキ
元N響の首席オーボエ奏者で、現在は指揮者として活動する茂木大輔が、“最も忙しい若手バイオリニスト”髙木凜々子を迎えるコンサート「百花繚乱 19世紀の隠れた名曲に光をあてる」を2024年11月16日(土)に開催。公演への思いを聞いた。
茂木大輔──30年にわたってNHK交響楽団で首席オーボエ奏者を務めるかたわら、東京音楽大学および大学院にて指揮実技を学び、自ら話して指揮する解説付きコンサーなどでも全国的に活躍、N響退団後は専業指揮者としての活動をスタートさせた。それと並行して、二ノ宮知子のコミック作品『のだめカンタービレ』の原作に取材協力し、同作品のドラマ、アニメ、映画各作品ではクラシック監修や演奏演技指導などを担当。活動は作曲や執筆、コンサート企画など多岐にわたる。『Web音遊人』読者の方には、本誌『音遊人』で連載中の「オーケストラ鑑賞塾」でおなじみかもしれない。
「とにかく、やりたいことがいっぱいある」と笑う茂木大輔による、初の「企画・指揮・プロデュース」公演である「百花繚乱 19世紀の隠れた名曲に光をあてる」の開催が2024年11月16日(土)に決定した。記念すべき第1回のテーマに選んだのは、バイオリンの歴史的名手と言われるふたりの音楽家だ。ひとりは19世紀にバイオリニストかつ作曲家として名を馳せ、当時のベートーヴェンをしのぐほどの人気を誇ったルイ・シュポア。もうひとりはシュポアの孫弟子にあたり、その超絶技巧で「パガニーニの再来」と呼ばれ、哀愁を帯びた旋律から「バイオリンのショパン」とも称されたヘンリク・ヴィエニャフスキ。いずれもその名を冠した国際コンクールがあるほど、バイオリン演奏史と音楽史には欠かせない存在である。
「コンサートを決めた理由は、まず僕自身が『シュポアの曲をみなさんに聴いてほしい!』と思ったから、というのが正直なところかもしれません。彼は決して有名とは言えない、いわゆる傍流作曲家です。けれど、こんなにも美しく、楽しく、ぐうの音も出ないほど、隙のない作品を作れる人はそうそういない。もう大好きになっちゃってね」
確かに、今回のコンサートの人物紹介では「端正」と記されるほど、シュポアの作品はドラマティックで起承転結のメリハリが効いている。方やヴィエニャフスキの人物紹介は「抒情」。情感と歌心あふれるメロディが印象的で、聴く者をその世界へと誘うようだ。
「彼らの作品を聴いていると、洗練された美しい音楽はこの世界にまだまだあふれるほど存在しているんだな……とあらためて思い知らされます。だから、ある種のリバイバルというか、今は忘れ去られてしまった作曲家が作った素晴らしい音楽を、もう一度みんなで聴いて楽しもうよ!という気持ちかな。初めて聴く方の心にもまっすぐ届く、良質な音楽だと思います」
出演は、本公演が初お披露目となる「東京音楽史管弦楽団」。コンサートマスターに葵トリオのバイオリニストとしても活動している小川響子を迎え、ベテランから20代の若手までの精鋭を揃えた。
「僕自身がぜひ一緒にやってみたいと願っていた人たちが集まってくれました。N響時代の同期であり、現在首席奏者を務める吉田秀(コントラバス)が来てくれることも本当にありがたい。まさに、今の自分が理想とするオーケストラで演奏できることが何よりの喜びです」
加えて、スペシャルゲストとして、国内外のコンクールで数々の賞に輝き、目覚ましい活躍を続ける髙木凜々子(バイオリン)の独奏も決定している。
「彼女が以前、ヴィエニャフスキの『バイオリン協奏曲第2番』をもっと演奏したい!と言っていたのを思い出して、これはうちでぜひ弾いてもらわなくちゃと。今回はプロのオーケストラ奏者である彼女のご両親もメンバーとして参加してくださるので、そうしたアットホームな雰囲気も楽しみです」
また、当日は本公演とタイアップするYouTubeチャンネル「クラシック音楽奇譚」の管理人Hana(バイオリン奏者・音楽史研究者)との特別トークを実施。作曲家の人生と名曲に秘められたドラマを紐解き、シュポア、ヴィエニャフスキそれぞれの人物像に迫る。そして、指揮を務めるのはもちろん茂木自身だ。
「指揮者として初めての自主公演、デビューコンサートみたいなものかな。贅沢な演奏者たちに囲まれて大好きな曲を指揮する僕の幸せをみなさんにも感じていただければ(笑)。というのは冗談としても、まずは生で聴いていただきたいですね。そうすれば作品の素晴らしさがわかっていただけるはず。普段は聴かない作曲家であっても、『この曲いいね』と楽しんでいただけたら、その方の世界が少し広がるかもしれない。そうやって新しい好奇心や興味の窓を開けるきっかけになれたなら嬉しいし大満足です」
東京音楽史管弦楽団のメンバーは、今後のコンサートごとに変わる予定とのこと。この日、この時にしか得られない一期一会の感動をあなたにもぜひ体験してほしい。
日時:2024年11月16日(土)開演13:30(会場12:30)
会場:Hakuju Hall(東京・渋谷区)
料金:SS席12,000円 S席8,500円 A席4,500円(税込)
演奏曲目:ルイ・シュポア:歌劇『ファウスト』op.60序曲/歌劇『イエソンダ』op.63序曲、シュポア:『バイオリン協奏曲第8番イ短調』op.47「オペラの様式による」、ヘンリク・ヴィエニャフスキ:『バイオリンと管弦楽のための「伝説」』op.17、ヴィエニャフスキ:『バイオリン協奏曲第2番二短調』op.22 ※特別トークコーナー:Hana(YouTubeチャンネル「クラシック音楽奇譚」:管理人)+茂木大輔
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特別企画インタビューを順次公開予定!
●第1弾 2024/9/26 19時公開予定
「【特別企画インタビュー】元N響首席オーボエ奏者・指揮者 茂木大輔 音楽とともに歩んだ半生」
●第2弾 2024/10/3 19時公開予定
「【特別企画インタビュー】元N響首席オーボエ奏者・指揮者 茂木大輔が語る傍流作曲家への思い」
特設ウェブサイトはこちら
文/ 髙内優
photo/ 宮地たか子
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