今月の音遊人
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世界的ドラマー・デイヴ・ウェックルのドラムクリニックに、ピアニストYouTuberのよみぃが潜入!
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2024.10.3
2024年9月8日にスパイラルホール(東京・青山)で行われた、ジャズ・フュージョン界のトップドラマー、デイヴ・ウェックルによるドラムクリニック。そこにピアニストでYouTuberのよみぃさんが潜入するという情報を入手!クリニックをとおして感じたこと、発見したことなどについて、『太鼓の達人』神業チャレンジ成功者でもあるよみぃさんに聞いてみた。
デイヴ・ウェックルは、40年以上にわたり第一線で活躍し、ポール・サイモン、チック・コリアをはじめとする多くの著名アーティストと共演。チック・コリアが率いる「チック・コリア・アコースティック・バンド」では、1989年にグラミー賞のBest Jazz Instrumental Performance, Group賞を受賞するなど、デビュー以来常にジャズ・フュージョン界の中心にいるスーパードラマーなのだ。ヤマハドラムとの付き合いは40年にもおよび、そのキャリアの大半をともに過ごしている。
今回のドラムクリニックのチケットは発売後早々に完売。彼の人気ぶりをあらためて印象付け、当日の会場は若いドラマーたちでおおいに賑わった。
そんな中、デイヴさんの一挙手一投足に熱い視線を送っていたひとりが、ピアニストのよみぃさんだ。ピアノYouTuberの代表格であるよみぃさんは音楽ゲームにも精通し、特に『太鼓の達人』の腕前は名人級。いわば“太鼓マスター”ともいえる存在なのだ。
「僕はピアノだけに興味があるわけではありませんし、なんていったって“ジャパニーズ・ドラムマスター”ですから。“世界のドラムマスター”がやってくると聞いたら、観に来ないわけにはいかないでしょう!と意気込んでいたものの、いざクリニックが始まったら、もう“すごい”なんてものではなかったですよね。異次元でした」(よみぃさん)
クリニックでデイヴさんが使用したドラムセットは「Absolute Hybrid Maple」で、スネアは自身のシグネチャーモデルを含め2つ。メインで使用するシグネイチャースネアドラムと、ドラミングのアクセントで使用するサイドスネアにAbsolute Hybrid Mapleをセット。
「これは私が“フュージョン・ジャズ・セットアップ”と呼んでいるセットアップです。まずは、PAシステムを落として、ドラムそのものの音を聴いてください」
そうして始まった演奏は、なんと15分にもおよぶ長大なもの。ただ長いだけでなく、その中には起承転結のドラマがあり、決してオーディエンスを飽きさせることはない。これだけでよみぃさんもすっかり脱帽の様子。
「以前、プロのドラマーのレッスンを受けたことがあるのですが(その時の動画はこちら)、そのときの感覚からすると、僕みたいな初心者が今日のデイヴさんみたいな演奏をするのはもう絶対に無理です。ずっと一定のテンポを保ちながら、あれだけの音数を敷き詰めるなんて……それでご本人は全然疲れていない。本当に“すごい”としかいいようがないですね。え? 『太鼓の達人』との共通点? いやいや、最初の一音からそんなレベルは軽く超えていましたよ(笑) ただ、限られた小節数の中にどのようなパターンでリズムを組み込んでいくか、そんな複雑さを極めていくようなところに、デイヴさんのドラムと音楽ゲームとの親和性を感じましたね」
演奏の後は、クリニック参加者からの質問に答えた。
「テンポを崩さずに滑らかなソロを叩くには?」「フレーズの引き出しを増やすには?」。時間をかけて丁寧に答える。
「いつも両手両足が自分の意のままに動かせる状態でいられるよう、トレーニングを欠かさないように」「いろんな音楽を聴いて多くのスタイルに対応できるようにしよう」「ドラマーに限らず、自分に影響を与えたミュージシャンのプレイをフレーズにしてみたら?」「右手でフレーズを奏でるとしたら、左手でリズムを補うとグルーヴィーになるよ」と、さまざまなアドバイスを、ときには実演を交えながらわかりやすく解説していった。
よみぃさんが特に印象に残ったのは、デイヴさんが師匠であるフレディ・グルーバーに言われたという言葉だったそうだ。「『次は何を演奏しようか』ではなく『自分はこれを言いたい!』という気持ちが大事なんだ、自分が言いたいことを強く出せ、と彼はよく口にしていました」(デイヴさん)
「この言葉は楽器やジャンルを超えて伝わってくるものがありましたね。ものすごく響きました。また、いろんな音楽やスタイルを、もっとたくさん聴いて引き出しを多くするのは大事だな、とあらためて思いました」(よみぃさん)
クリニック終了後はツーショットの記念撮影も行うなど、すっかりデイヴさんのすごさにハマってしまったよみぃさん。最後にあらためて感想を訊ねてみた。
「テンポを正確にキープするための練習はピアニストにとっても必要かな、と思いました。演奏中にテンポが揺れてしまうことって結構ありますので。そして、デイヴさんはドラマーの中でも音数を敷き詰めるほうのタイプで、そのようなテクニカルなことをピアノで表現してみるのも面白いかな、とひらめきました。そのためには、どんなに音数を出しても疲れないような身体の使い方を学ぶ必要がありますね」
今後は共演もしてみたい?
「あのパフォーマンスを観たら、誰だって一緒に演奏してみたくなりますよね。僕も当然、思いました。普通に打楽器で戦っても絶対に勝てないから、さっきも言いましたけど、デイヴさんのドラムは音楽ゲームと親和性があるので、ここは音ゲーでスコア対決というのはいかがでしょう?かなり強いと思いますけど。こっちも音ゲーマーとして負けられませんよ(笑)
文/ 山﨑隆一
photo/ 宮地たか子(1、4~7枚目)
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