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浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル

世界と浜松が管楽器によってつながる夏の一大イベント/浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル

世界の最前線で活躍する管楽器奏者を浜松に招聘し、若い奏者に知識と技術を伝授する。そして、みんなで管楽器による音楽を楽しむ。誰もが管楽器色に染まる真夏の一週間。2025年も開催される「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル」について、2007年から企画担当を務めるヤマハの堀場信明さんに話を聞いた。

“音楽のまち”浜松で行われる管楽器の祭典

シーンの第一線で活躍する奏者たちが世界中から浜松に集い、若い奏者たちを指導する。そして育った若者たちが今度は世界に羽ばたいていく。
“楽器のまち”である浜松が、より発信力を高め、“音楽のまち”として発展すべく始まった「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル」。
「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル」は、その名のとおり、世界のトップ・アーティストが講師となって音楽を志す若者たちを指導する「アカデミー」と、講師たちが一般の観客にも演奏を披露する「フェスティヴァル」の2つが大きな柱となっている。講師陣は全員がヤマハ管楽器のユーザー。2024年は、オール・ヤマハのスペシャルなアンサンブル「ワールドドリーム・ウインドオーケストラ」を結成して公演を行った。原田慶太楼の指揮により、アクトシティ浜松で行われたオープニングコンサートに加え、ミューザ川崎で開催された「フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2024」でも同じプログラムが披露され喝采を浴びたのは記憶に新しいところだ。

浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル

2024年オープニングコンサートの様子。

「以前は講師たちによるコンサートが東京でも行われていました。本当に豪華なメンバーで、彼らに憧れていた私は仲間と一緒に足繁く通っては、演奏に興奮していたんです」と、堀場さんは語る。
音楽大学でユーフォニアムを学び、アカデミーを受講した校友もいたという。
「当時は、自分がヤマハに入社し、『浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル』の担当になるなんて思ってもいませんでした」

意識が高い者同士の熱く密度の濃いレッスン

「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル」の内容について、堀場さんに伺っていこう。まずは「アカデミー」だが、豪華な講師陣はどのように選定しているのだろうか。
「ヤマハは日本のほか、アメリカやヨーロッパの主要都市に管楽器アーティストとの関係を築くための“アトリエ”を構えています。各国のアトリエと連携を取りながら、演奏においても、また教育においても意識の高いアーティストを招聘するようにしています」
対して、彼らのレッスンを受講するのは、オーディションによって選ばれた若き奏者たち。将来プロを目指している人、海外留学を視野に入れている音大生や、すでにプロオーケストラに入って活動している奏者も、あらためてその講師の指導を受けたいがために応募し、受講することがあるそうだ。
「受講者はみんな、憧れの講師から直接指導を受けたいという方ですね。この場を留学への足がかりにする音大生もいますし、実際に留学して講師の弟子となり、現地でそのままプロのオーケストラに入団して活躍している方もいますよ」

ミシェル・モラゲス(フランス国立管弦楽団第二ソリスト/フルート)、写真左:須川展也(東京藝術大学招聘教授/サクソフォン)いずれも、2024年のアカデミーの様子

写真左:ミシェル・モラゲス(フランス国立管弦楽団第二ソリスト/フルート)、写真右:須川展也(東京藝術大学招聘教授/サクソフォン)。いずれも2024年アカデミーの様子。

そんな、講師も参加者も意識が高い場所だからこそ、レッスンはいやがうえにも濃密なものになり、堀場さんも白熱するシーンを何度も目の当たりにしているという。
「今年も参加するトロンボーンのラーシュ・カーリンさん(デンマーク国立交響楽団ソロトロンボーン奏者)のレッスンは特に印象的でしたね。一日中レッスンしていて、お互い疲れているはずなのに、『まだできる、君ならもっとできるはずだ』とラーシュさんは受講者を鼓舞し続けるんです。そのように極限まで集中した数日間のレッスンで受講生は見違えるほど上達するのが、傍で見ていてもすごくわかるんです。そして、最後は感情が爆発して泣きながらお別れすることもしばしば。そういう場面を見ると、言葉を超えた心のつながりを感じて、胸が熱くなりますね」

ラーシュ・カーリン(2024年のアカデミーの様子)

ラーシュ・カーリン(2024年アカデミーの様子)。

楽器を“作る人”と最前線で“使う人”が同じステージに

2025年のスケジュールは、応募期間が6月13日(金)まで。
「応募に際しては、特に資格を設けることはしていません。以前は中高生も音大生も分け隔てなく募集していましたが、現在は中学・高校生コースを設けているので、音楽大学への進学を考えている方はぜひ応募してほしいな、と思います。国籍も問いません。近年はアジア圏をはじめ、海外から参加される受講生も増えてきているんですよ」

アカデミーの第一日目はヤマハ管楽器工場の見学から始まる。

アカデミーの一日目はヤマハ管楽器工場の見学から始まる。

また、毎年オリジナリティのある企画を実現している「フェスティヴァル」の内容については、演奏者のみならずクラシック音楽ファンや吹奏楽愛好者にとっても気になるところ。
「ヤマハ吹奏楽団と講師陣が共演するコンサートを企画しています。ヤマハの従業員、つまり楽器を作っているスタッフたちで構成されるヤマハ吹奏楽団と、彼らが作った楽器を愛用するアーティストたちが一緒に演奏するんです。2024年と同様、全員がヤマハの楽器を使っているのですが、また違った化学反応が起きるのではないかと、企画している私たちもワクワクしています」
もうひとつ、チューバ講師として参加するジーン・ポコーニー氏による講演会も目玉のイベント。30年以上の長きにわたりシカゴ交響楽団の首席奏者を務める氏による音楽哲学を語ってもらう場にするのだという。
「金管楽器奏者にとっては世界最高峰のオーケストラだといえるシカゴ響で、長年活躍するポコーニーさんの経験に裏付けされた話は、若い奏者にとってきっと役立つはず。彼らが世界に羽ばたくために、視野を広げるきっかけになるような講演会にできたら、と思います。一般の方も参加できますよ」
技術を磨き、講師や仲間との絆を深める「アカデミー」と、みんなで音楽を楽しみ、見聞を広める「フェスティヴァル」。世界と浜松が管楽器によってつながる夏の一大イベントに、要注目だ。

浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル

アカデミー講師陣。上左から、ミシェル・モラゲス(フルート)、リッカルド・クロッシーラ(クラリネット)、須川展也(サクソフォン)。下左から、イエルーン・ベルワルツ(トランペット)、ラーシュ・カーリン(トロンボーン)、ジーン・ポコーニー(チューバ)。

■浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル

【アカデミー】
日時:2025年8月4日(月)〜8月9日(土)
会場:アクトシティ浜松 コングレスセンター
募集コース:フルート、クラリネット、サクソフォン、トランペット、トロンボーン、チューバ

●演奏家コース:学生および演奏家 5日間(8/5~8/9)65,000円(税込)定員各7名
●中学・高校生コース:中学、高校生 2日間(8/5~8/6)20,000円(税込)定員各1名
募集締切:2025年6月13日(金)
●聴講クラス:大学生・一般:1日:4,000円/全日程:16,000円(いずれも税込)
小・中・高校生:2,000円/全日程:8,000円(いずれも税込)
※定員100名(先着)全楽器の聴講が可

【フェスティヴァル】
●オープニングコンサート
日時:2025年8月4日(月)19:00開演
会場:アクトシティ浜松 中ホール
料金:一般 4,000円/高校生以下 1,500円(いずれも税込)
●G.ポコーニー氏特別講座
日時:2025年8月7日(木)19:00開演
会場:アクトシティ浜松 コングレスセンター
料金:一般 1,000円(税込)/学生以下無料(要整理券)・全席自由
●教授陣および受講生によるアンサンブルコンサート
日時:2025年8月8日(金)18:30開演
会場:クリエート浜松ホール
料金:無料(要整理券)・全席自由
応募方法などオフィシャルサイトでご確認ください

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