今月の音遊人
今月の音遊人:小野リサさん「ブラジルの人たちは、まさに『音で遊ぶ人』だと思います」
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たったひとりで聴かせる驚異のオーケストラマジックに、聴衆は釘づけ!/神保彰 ワンマンオーケストラ2017 ~GINZA DE JIMBO~
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2017.8.2
tagged: ドラム, ヤマハ銀座スタジオ, DTX, 神保彰, ワンマンオーケストラ
世界的ドラマーの神保彰がMIDIドラムトリガーシステムを駆使し、ドラムを叩きながらドラム以外のサウンドも同時に奏でるワンマンオーケストラ。その驚異的パフォーマンスを楽しめるライヴが、ヤマハ銀座スタジオで開催された。映画音楽から1970~80年代の洋楽ヒット曲、Jフュージョンの名曲も飛び出す多彩なステージとなった。
ライヴは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のテーマ曲でスタート。壮大なオーケストラと重厚なドラムで観客の耳を引きつけると、続くアース・ウィンド&ファイアーのメドレーでは、キャッチーなメロディとグルーヴィーなリズムで、観客の身体を揺さぶる。早くも客席は、神保のオーケストラマジックに釘付けだ。
「1月にツアーが始まって、全国およそ70都市を回ってきました。このツアーのひとつの完成形をお聞かせしたいと思います」というMCに続いて演奏されたのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの新旧アトラクションのテーマ曲メドレー。『E.T.』『ジュラシック・パーク』『ハリー・ポッター』など、ストリングスがたっぷり響く演奏はいずれも優雅で、『E.T.』の後半ではそんなオーケストラのバックでドラムが激しく乱舞。驚異の同時演奏で圧倒した。
そしてスティーヴィー・ワンダーのメドレーでは、途中で華麗なドラムソロを披露。ラテンパーカッションも交え万華鏡のように変化していくリズムは、まるでひとつの物語を奏でているようだった。
第一部の最後は、T-SQUARE「TRUTH」とCASIOPEA「ASAYAKE」を演奏。観客は「TRUTH」では拳を突き上げ、「ASAYAKE」ではギターの軽快なカッティングに合わせて手拍子をしながら、今も胸をときめかすJフュージョンの名曲を楽しんでいた。
休憩を挟んで第二部では、神保のセンスが大炸裂。ベートーヴェン「交響曲第9番」の第4楽章「歓喜の歌」をラテンリズムで奏で、映画『バットマン』の楽曲からはプリンスの「Batdance」をチョイス。その後にマイケル・ジャクソンのメドレーを続けて、1980年代ポップスターのライバル対決を再現し、彼らと同い年の神保が荒れ狂うドラムソロで締めるという、見事な展開を披露したのだ。
ワンマンオーケストラ定番の「マンボ・メドレー」では、「Tequila」の掛け声を“アキーラ!”に、「Mambo」は“ジンボ!”に替えて、観客と一緒にシャウト。卓越した演奏テクニックはもちろん、観客を巻き込むエンターテインメント性も神保の魅力だ。
ライヴは、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』のテーマ曲で幕を下ろしたが、熱烈なアンコールに応え、映画『ミッション:インポッシブル』のテーマ曲もプレイ。淡々としたビートの上でスリリングな管楽器が響くサウンドは次第に熱を帯び、最後は神保の手が何本にも見えるような派手なドラミングで観客を圧倒。見事に“任務終了”したのだった。
飯島健一〔いいじま・けんいち〕
音楽ライター、編集者。1970年埼玉県生まれ。書店勤務、レコード会社のアルバイトを経て、音楽雑誌『音楽と人』で編集に従事。フリーに転向してからは、Jポップを中心にジャズやクラシック、アニメ音楽のアーティストのインタビューやライヴレポートを執筆。映画や舞台、アートなどの分野の記事執筆も手掛けている。
文/ 飯島健一
photo/ 森島興一
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