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ヨーロッパを活動の拠点にしているヴァイオリニスト佐藤俊介、オランダ・バッハ協会の次期音楽監督に決定
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2017.10.19
tagged: バイオリン, 佐藤俊介, オランダ・バッハ協会
2010年、ヨハン・セバスティアン・バッハ国際コンクールで第2位入賞に輝いたヴァイオリニストの佐藤俊介は、現在ヨーロッパを拠点にモダン奏法と古楽器(オリジナル)奏法の両方で活躍、レパートリーもバロックから現代作品まで幅広く演奏している。
彼は2013年からオランダ・バッハ協会のコンサートマスターを務めているが、同協会の音楽監督に就任することが決まった。現在の音楽監督であるヨス・ファン・フェルツホーフェンの後任として、2018年6月1日に就任することになる。
オランダ・バッハ協会は、国内外の17、18世紀の音楽の演奏を専門とする世界最高峰レベルの演奏者と歌手で構成され、ヨーロッパの古楽演奏を牽引する存在。1921年に創設され、2021/22年シーズンに100周年を迎える歴史と伝統を備えた協会で、来年の就任時に33歳を迎える若き日本人の音楽監督は、奏者たちのなかでともに演奏しながら、音楽をリードしていく方法をとる。
「ぼくはこの4年間、バッハ協会でコンサートマスターとして演奏してきましたから、メンバーとのつながりや協会の音楽作りなどは理解しているつもりです。でも、2月ころから音楽監督の話が持ち上がり、最初は冗談でしょうという感じでした。指揮台に立って指揮をすることもなく、この協会のもうひとつの母体である合唱に関しても専門ではありませんから。ただし、この協会は独特の運営方法や内容、レパートリーなどを維持して長年積み上げてきたものがあり、それらに関してリーダーシップがとれる人はなかなかいなかったようです。そこでぼくのところに話がきて、徐々にまとまり、正式なオファーがきました」
当初はとまどいがあったり、責任の重さを感じたり、さまざまな葛藤があったが、やがてひとつずつ解決策を見出し、正式に音楽監督を引き受ける決意をした。
「合唱に関しては、まわりに専門家や知識のある人たちが大勢いますから、その人たちに助言を仰ぎ、じっくり勉強していこうと思っています。作品に関しても、ぼくよりも長くこの協会で演奏している人がたくさんいますから、意見を聞く。そして《マタイ受難曲》などの大きな宗教作品を指揮するのは、得意な指揮者を見つけて依頼し、それらすべてのまとめ役を担う立場になるという考えで進めることにしました」
オランダ・バッハ協会は、現在「All of Bach」と題するJ.S.バッハの全作品を約10年かけて録音するというプロジェクトが進行中で、佐藤俊介もこれがもっとも楽しみだと熱く語る。さらに、新たな作曲家や作品との出合いが楽しくてたまらず、日々勉強だという。
オランダ・バッハ協会は各地の教会などで演奏を行っているが、本拠地はユトレヒト。佐藤俊介はデンハーグに住みながらユトレヒトに通い、20人強のメンバーたちとともに演奏している。
「ぼくは作品によって楽器を使い分けていますが、パリに移ったばかりのころに当時ベルリン・フィルのコンサートマスターをしていた安永徹さんから紹介された製作家、シュテファン・フォン・ベアのバロックとモダン楽器を使用しています。もう1台、19世紀の作品を演奏するときに使う1846年製のパリで作られた楽器も愛用しています」
まだ音楽監督就任まで時間があるが、すでに佐藤俊介は来シーズンのプログラムを決めたり、協会の新たな可能性を広げるためにレパートリーの開拓を試みたり、さまざまなチャレンジを行っている。
そしてもうすぐ日本に帰国し、コンサートも行う。2017年11月12日(日)川口リリアホール、11月15日(水)野木エニスホール、16日(木)宗次ホール、18日(土)いずみホール。新たな船出を控え、大いなるチャレンジに意欲を燃やしている佐藤俊介の「いま」を聴く絶好の機会となりそうだ。
文/ 伊熊よし子
photo/ Yat Ho Tsang
tagged: バイオリン, 佐藤俊介, オランダ・バッハ協会
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