今月の音遊人
今月の音遊人:甲田まひるさん「すべての活動の土台は音楽。それなしでは表現にはなりません」
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新緑の季節、思わず散歩がしたくなるおすすめの3曲
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2015.5.15
tagged: カラヤン, ウィントン・ケリー, オン・グリーン・ドルフィン・ストリート, ケリー・ブルー+2, マリーナ・ショウ, フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?, フィール・ライク・メイキン・ラヴ, シベリウス:交響曲第5番, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
『オン・グリーン・ドルフィン・ストリート』
数え切れない録音があるこの曲ですが、アップテンポで軽快にスイングするピアノが印象的なウィントン・ケリーのバージョンがおすすめ。『ケリー・ブルー+2』というアルバムに収録されているこの曲はABAB構成で、Aの部分はアフロキューバンのようなラテンのリズムで演奏されることも多く、ここをどうアレンジするかはミュージシャンのセンスが表れるところ。ウィントン・ケリーのバージョンではポール・チェンバースのベースだけでリズム感の変化を出していて、シンプルに楽曲のよさとケリーのピアノを引き立てています。そしてBの部分ではチェンバースお得意のウォーキング・ベースがウキウキ感を盛りたててくれます。
そもそも「ウォーキング」というくらいだから、歩きたくなるような軽快なリズム。もともとの歌は「過ぎた恋を想い出すたびに、その舞台だったグリーン・ドルフィン通りにキスをする」というちょっぴり切ない歌詞なのですが、外に出て街を歩けば、自分にとっての「グリーン・ドルフィン通り」ではありませんが、新たな出会いがありそうな、そんな気分にさせてくれるのです。
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『フィール・ライク・メイキン・ラヴ』
ソウル音楽の金字塔ともいうべき1974年の曲。ふわりと宙に浮くようなリズムに乗って、「公園を歩いていて春の訪れを感じる」という出だしの一節が流れてくるのを聴くたびに、不思議といつも公園に行きたくなります。
オリジナルのロバータ・フラックと同じくらい、ひょっとしたらそれ以上に有名なのが、マリーナ・ショウによるカヴァー。ブルーノートで制作されたアルバム『フー・イズ・ジス・ビッチ、エニウェイ?』に収められ、ラリー・カールトン(ギター)、デヴィッド・T・ウォーカー(ギター)、チャック・レイニー(ベース)、ハーヴィー・メイソン(ドラム)といった当時のトップ・ミュージシャンが参加しています。このメンバーが編み出すグルーヴに包まれていると、たとえ落ち込んでいても、「何かいいことがある!」と思えてくる、力を与えてくれる曲です。
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『シベリウス 交響曲第5番』
今年生誕150年を迎えたシベリウス。彼の作品は、北欧フィンランドの印象からか、冬の厳しい寒さと結び付けられて語られるものが多いですが、交響曲第5番は、長い冬を覆っていた雲が姿を消し、青空のもと草木が新たな生命を広げていくような、清々しさや喜びを感じます。
第一楽章は、雪がとけて緑の大地が顔を出し花々が辺りを彩り、最終楽章では、その大地を一歩一歩力強く歩いて行くイメージです。北欧の春は遅く、短い。だからこそめいっぱい楽しみたい。そんな人々の気持ちが曲を通じて伝わってくる、なんていったら大げさでしょうか。
野原を思いっきり駆け回りたい、そんな気持ちになります。