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バッキンガム宮殿の近衛軍楽隊「コールドストリーム・ガーズ・バンド」の輝かしいステージ
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2022.12.20
tagged: コールドストリーム・ガーズ・バンド, 吹奏楽部
真っ赤な礼装と熊皮の黒い帽子がイギリスの歴史と伝統、格式を感じさせる「コールドストリーム・ガーズ・バンド」。その2O22年日本ツアーから、東京公演をリポートしよう。
「コールドストリーム」とは、イングランドとスコットランドの境にある小さな村の名前。この地で編成された連隊が、その功績によって近衛連隊に任命され今日に至っているという。
イギリス王室を守る近衛連隊は5つあり、コールドストリーム・ガーズは第2近衛連隊。その軍楽隊であるコールドストリーム・ガーズ・バンドは、世界最古の吹奏楽団のひとつ。国家の公務のほかに、世界各国で演奏活動を行う親善大使の重責も担っている。
コールドストリーム・ガーズの名誉隊長は王妃が務めるならわしで、歴代最長の期間、名誉隊長を務めたのがエリザベス女王だった。そのため、コールドストリーム・ガーズ・バンドは女王の国葬でも常に中心を行進し、バッキンガム宮殿に向かう棺を守り、演奏を捧げた。
2021年からの延期を経て開催された今回の日本ツアーでは、各地で地元を代表する市民吹奏楽団や吹奏楽部と共演。東京オペラシティの公演(2022年11月21日)では、東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部が共演した。
礼装をまとったメンバーが、舞台の両サイドから1列で静かに登場するところからコンサートは始まった。伝統的な行進のスタイルは2022年9月に世界に中継された映像そのもので、とてもおごそか。メンバーが静止すると、ピンと張りつめた空気とともに、礼装に映える楽器の輝きが、ステージの華やかさを際立たせた。
バンドの音楽監督であるスチュワート・ジョン・ハリデイ少佐の指揮によって演奏が始まると、ブレンドされた柔らかいサウンドがホールの隅々に響く。コールドストリーム・ガーズ・バンドならではの秘伝のレシピ、とも言えるようなブレンド感だ。
ステージ幅を最大限に使っての行進が披露される中、小さくバグパイプの音色が聴こえてきた。音はしだいに近づき、2人のバグパイプ奏者が姿を現すと、圧倒的な存在感を放つ音色が会場全体を包んだ。本場のバグパイプの音を、生で聴ける機会はそうそうない。
東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部の単独ステージを挟み、後半はコールドストリーム・ガーズ・バンドの演奏をたっぷり堪能。『ボンド007』をはじめ、イギリスならではナンバーを取り入れたメドレーが続く。吹奏楽の演奏をバックに、フルートやトランペットがソロを聴かせたり、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の『夢やぶれて』では、トランペット奏者が楽器を置いて前に出て甘い歌声を聴かせたりと、エンターテインメントとしての見どころ、聴きどころが満載だ。『君が代』や『さくらさくら』など、日本にちなんだメロディもところどころに織り込まれている。「音楽は世界の共通語。音楽でコミュニケーションするために、私たちはいろいろな国を訪問する活動をしています」というハリデイ少佐の言葉を象徴するようなプログラムだった。
最後にアンコールとして、コールドストリーム・ガーズ・バンドと高校生たちがともに演奏。ソプラノ歌手のファン・ユンジョンも加わり、壮大に『威風堂々』が演奏された。途中から会場のお客さんも手拍子で演奏を盛り上げ、一体感に満ちたクライマックスを迎えた。
ハリデイ少佐は日本のアマチュア吹奏楽団の演奏について、「表現力がとても豊かで演奏レベルが高く、よいミュージシャンシップをもっている。皆がひとつになって音楽を作る姿勢がすばらしいですね」と語る。
「私たちも日本の曲を演奏して、心をひとつにすることができました。こうしたコンサートを機に、これからも音楽による文化交流ができることを願っています」
文/ 芹澤一美
photo/ 宮地たか子
公演主催/ベルカントジャパン合同会社
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