今月の音遊人
今月の音遊人:亀井聖矢さん「音楽は感情を具現化したもの。だからこそ嘘をつけません」
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本場ニューヨークの第一線で活躍するミュージシャンによるスペシャルライブ「ヤマハ銀座サマージャズライブ」
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2023.7.28
tagged: ジャズ, レッスン, Seiko Summer Jazz Camp, ヤマハ銀座サマージャズライブ, サマージャズライブ
今や日本ジャズ界の真夏の風物詩となった「Seiko Summer Jazz Camp」。2022年に行われ好評を博した講師陣によるヤマハ銀座サマージャズライブが2023年も開催される。プロデューサー/事務局長の佐々智樹さんにライブのみどころを聞いた。
「2022年は、3年ぶりにサマージャズライブが開催されて、しかもジャズの本場ニューヨークの第一線で活躍するミュージシャンたちが集結したとあって、一般のお客様はもちろんのこと、評論家の皆さんやプロのミュージシャンからも『耳に突き刺さるような生のジャズを聴くことができて感激した』という声をいただきました。嬉しかったですね」
佐々さんは顔をほころばせてこう語る。2016年にスタートした「Seiko Summer Jazz Camp」は、プロのジャズ・ミュージシャンを目指す若者たちが、アメリカより招聘した講師たちから演奏をはじめ作曲/編曲、理論について集中的に指導を受ける学びの場。最終日にはガラ・コンサートを開催したり、また「東京JAZZ」のイベントにも参加したりするなど、着実に活動の幅を広げてきた。
「参加者の皆さんが日に日に上達していくのを目の当たりにするのは、私にとって至上の喜びで、それがこのキャンプを続ける原動力になっています」
そして、2022年のサマージャズライブでは、講師たちから指導時とは違うミュージシャンとしてのエネルギッシュな一面を堪能できたのも嬉しかったという。
「キャンプの間は毎日、朝から夕方まで絶え間なく講義をして、夜は講師同士のミーティング。そんな過密スケジュールを終えた彼らからは、ジャズを演奏できることの喜びが、音となって溢れ出てくるようでした」
マイケル・ディーズ(Tb)をリーダーに、ロドニー・ウィテカー(B)、大林武司(P)など、講師陣はプレーヤーとしてもシーンの最前線で活躍する精鋭たち。2022年の公演では、総勢8人の講師に加え、ゲストの馬場智章(Ts)という豪華な布陣(※)で、『ストールン・モーメンツ』や『モーニン』、『ボディ・アンド・ソウル』といったスタンダード・ナンバーの数々を、トリオやデュオを含む様々なフォーマットで披露し、ジャズの楽しさを見せつけた。
「2023年も演奏される曲は、皆さんも聴きなれたスタンダードが中心になると思います。メロディを大切にして、丁寧に歌い上げるのが彼らのスタイルなのですが、決してノスタルジックにはならないのがポイントです。彼らならではのセンスで料理された、現在進行形のジャズとして披露されるんですよね。まるでニューヨークのジャズクラブにいるような雰囲気が味わえると思いますよ」
※2022年マイケル・ディーズに代わってマーシャル・ギルクス(Tb)が参加した。
「Jazz is the Rhythm of the Earth!/ジャズは大地のリズムだ!」
これは、2023年の「Seiko Summer Jazz Camp」のテーマである。ジャズの「本質」という表現すら生ぬるく感じるような、音楽の原点に迫る深淵なテーマなのだが、佐々さんが講師リーダーのマイケル・ディーズに提案して実現したものだという。
「2022年テーマにしたブルースもそうですが、リズムはジャズの基本中の基本ですよね。たとえ、都会風にソフィスティケイトされたジャズでも、その根底には大地に根差した強靭なリズムが必ず宿っている。ベーシストやドラマーはもちろん、ほかの楽器のプレーヤーやボーカリストだって、リズムには一家言あるはずです。2023年はリズムが持つ奥深さを追求できるようなキャンプになれば、と思っています」
さて、こうしたディープなテーマでの講義を経た後に開催されるライブなので、リズムを特に気にして聴いてみたら面白そうだ。
「彼らはメロディを大切にすると言いましたが、同時にリズムの強さも持ち併せています。まるで、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(※)が現代にいたらこんな演奏をするんだろうな、と思わせるような躍動感がある。そこが演奏の熱さにつながっていると思うのですが、そのあたりを意識して聴いてみたら面白いかもしれませんね。決して楽譜では表すことのできない“ノリ”を感じてください」
※ドラマーのアート・ブレイキー(1919~1990)がリーダーを務めたバンド。若手奏者を積極的に起用し、リー・モーガン(Tp)やウィントン・マルサリス(Tp)をはじめ、長い活動期間の中で多くのスターを輩出した。
サマージャズライブは、東京以外でも開催される。「ヤマハ銀座スタジオでの公演の後、札幌芸術の森 アートホール、次にビルボードライブ大阪、そしてビルボ―ドライブ横浜で講師たちの演奏を披露します。いずれもジャズが盛んな街なので、今から本当に楽しみです。札幌では地元のビッグバンドがオープニングアクトを務めてくれるほか、クリニックも行います」
将来的には、より多くの街で講師たちのライブを開催し、『Seiko Summer Jazz Camp』が掲げるジャズの熱さを届けていきたいという佐々さん。全国のジャズファンにとっては、最先端の音楽を体験するチャンスである。
「ひとりでも多くの人にジャズの楽しさを伝えたいですね。また、キャンプの参加者は全国から募集しています。講師たちのライブを観た若いファンが将来、ジャズを始めたり、キャンプに応募してくれたりするようになったら、私たちにとってこれほど嬉しいことはありません」
~Seiko Summer Jazz Camp All Stars~
日時:2023年8月19日(土)15:00開演(14:30開場)
会場:ヤマハ銀座スタジオ(東京都中央区銀座7-9-14 地下2F)
料金:4,500円(税込)
出演:ベニー・べナック・III(Tp)/マイケル・ディーズ(Tb)/ディエゴ・リベラ(Ts)/クインシー・デイビス(Dr)/ロドニー・ウィテカー(B)/大林武司(P)/ヨタム・シルバースタイン(G)/シェネル・ジョンズ(Vo)
ヤマハ銀座サマージャズライブチラシ(PDF)
チケットの購入(チケットぴあ)
サマージャズライブの詳細はこちら(Seiko Summer Jazz Campサイト)
文/ 山崎隆一
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