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今月の音遊人:西村由紀江さん「誰かに寄り添い、心の救いになる。音楽には“力”があります」
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五感で“みる”ことの素晴らしさを多くの方と共感したい/メニコン シアターAoi
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2023.7.26
tagged: ホール自慢を聞きましょう, ホール, 名古屋, メニコン, シアターAoi
名古屋の中心地にも近いJR・地下鉄東山線の千種駅から徒歩5分、東西に延びるメインストリートのひとつである広小路通り沿いに「メニコン シアターAoi」はある。2023年4月6日に誕生したばかりの総合芸術劇場だ。
株式会社メニコンは、サッカーやボーイズリーグ(野球)といったスポーツ活動に対する支援をはじめ、クラシック音楽をメインとした「スーパーコンサート」の開催といった文化・教育の振興に長年携わりサポートを続けてきた実績を持ち、2012年には音楽の演奏会などを行う多目的ホール「HITOMIホール」をオープンさせている。
「1951年に創業し、日本初の角膜コンタクトレンズを開発して以来、我々は“視力”に注力してきました。けれど、人間は視覚だけではなく五感ですべてのものを“みて”います。聞いてみる、嗅いでみる、触れてみるなど、五感で“みる”ことの素晴らしさを多くの方と共感したい──。そんな想いから、シアターAoiは生まれました」(公益財団法人メニコン芸術文化記念財団代表理事・田中英成さん)
メニコンのオフィスも兼ねるビルのシアターロビーへ入ると、明るいカフェスペースにアップライトピアノが置かれた「miru-on cafe(みるオンカフェ)」が迎えてくれる。オープンからまだ数か月だが、ランチタイムなどにはすでに地元の人や社員が集う憩いの場所になっているそうだ。
「シアターAoiを作ったもうひとつの目的が街の活性化です。この地域に劇場ができることによって人々が行き交うようになります。そうした場では自ずと文化が生まれ、経済活動が起こり、人材が育つ。そうやって街を活性化することが、地元企業として在る大きな意味だと考えていますし、文化醸成の基盤にもなり得ると思っています」
シアター内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは「光の切り絵」と名付けられた色鮮やかな緞帳だ。愛知県在住の切り絵作家・酒井敦美によるオリジナルデザインで、5つのカラフルな丸い輪は五感をイメージしたもの。また、この緞帳をスクリーンにプロジェクションマッピングを組み合わせた音と光の演出が、プログラム開演5分前から行われる※。四季の移ろいと自然の奏でるさまざまな音が織りなす「光の切り絵ショー」は、シアターAoiを訪れた人のみが味わえる特別な楽しみになりそうだ。
※演出の有無は、プログラムによります
「総席数は301席とコンパクトですが、シアターAoiの最大の魅力は客席と舞台が近く、より臨場感を持ってステージを体感できることです」(田中さん)
取り外し可能な客席によってオーケストラピットが設営でき、併せて客席への舞台張り出しや花道設置などにも対応できる。また、舞台中央にはセリが設けられており、より柔軟な演出も可能である。
音響面ではヤマハの音場支援システム「AFC Enhance」を採用しており、空間固有の音響特性を生かしながら、劇場内に広がる音の残響感や音量感をコントロールし、演目に適した音の響きを生み出す。
「当劇場にはピアニストの小曽根真さんに選定していただいた、ヤマハのコンサートグランドピアノCFXを備えていますし、今後の公演プログラムにもピアノやバイオリンなどのコンサートが予定されています。演劇をメインに行う劇場ではありますが、音楽ファンの方にも音響面で満足していただけるようAFCを導入しました」
グランドオープンとなる2023年7月19日からのこけら落とし公演では、作曲家・宮川彬良が初めて手がけた歌劇『あしたの瞳』を上演した。本作は、メニコン創業者である田中恭一の半生をモチーフに描いた作品で、作詞・脚本は作家の響敏也。2013年の東京芸術劇場での初演以降、さまざまな形態で上演されてきた。“みることの真実”を問い直しながら明るい明日(未来)を生きるためのエッセンスを織り込んだ、メニコンの想いがこもったオペラでシアターAoiの幕が上がった。
「将来的には『この場所で行われることが名古屋の文化なんだ』と言われるようになれば本望です」
街の活性化と芸術文化の育成を目指して誕生したシアターAoi。この場所から作品やアーティストが育ち、広い世界へと羽ばたく未来を楽しみにしたい。
所在地:愛知県名古屋市中区葵3-21-19 Menicon Theater Aoi Bldg. 内
TEL:052-938-7185(受付時間:10:00~17:00)
ホール形式:シューボックス型
席数:301席(車椅子2席含む)
詳細はこちら
文/ 高内優
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