Web音遊人(みゅーじん)

ハママツ・ジャズ・ウィーク

スチューデント・バンドから世界の重鎮までが出演、 浜松をジャズ色に染める「ハママツ・ジャズ・ウィーク」

2023年で31回目の開催となる「ハママツ・ジャズ・ウィーク」。それに先駆けてヤマハ銀座店とのコラボ・イベント「スチューデントジャズステージ in GINZA」が行われ、スチューデント・バンドが多数出演した。

銀座にフレッシュな演奏が響く

ようやく秋らしい風が感じられるようになった2023年9月30日(土)と10月1日(日)、ヤマハ銀座店1階のイベントスペースで、高校生のビッグバンドがプロのミュージシャンとのセッションを披露する「スチューデントジャズステージ in GINZA」が開催された。
取材スタッフが観覧したのは、10月1日の午後に行われた茨城県立水戸工業高校「BLUE BEGINNERS」のメンバーたちによるステージ。演奏が始まる前から多くのオーディエンスが集まっていたが、一曲目のハービー・ハンコック『Watermelon Man』のグルーヴィーなイントロが響きだすと、歩行者天国になっていた街中を行き交う人たちも次々と店内に入ってきて、高校生たちのフレッシュな演奏を楽しんだ。
彼らの演奏をサポートしたのは、守屋純子(ピアノ)、納浩一(ベース)、高橋徹(ドラム)の3人。当日は、彼らによるクリニックも開催された。
「技術的なことはもちろん、音楽を通して観客に気持ちを伝えることの大切さを学べたのが大きかったです」と話すのは、BLUE BEGINNERSの部長を務める村上大輝さん。「クリニックで教えていただいたことは、今日の演奏にも活かすことができました」。
ステージではボビー・ティモンズによるファンキー・ジャズの代名詞的ナンバー『Moanin’』、そしてデューク・エリントンの『Take the A Train』の3曲を披露した。演奏が進むにつれてメンバーたちの身体もほぐれてきたのか、どんどん熱が入ってきた。そして演奏後は、観客からの大きな拍手が鳴りやまなかった。銀座らしく、外国からの観光客の姿が目立ったのも印象的だった。

スチューデント・バンド

ステージ前に開催されたクリニック(上)と「スチューデントジャズステージ in GINZA」の様子(下)

そして舞台は浜松へ

「BLUE BEGINNERS」のほか、演奏を披露した開成ジュニアアンサンブル「Super Blue Birds」と千葉県立富里高等学校「THE MAD HATTERS」も、来たる10月14日(土)、浜松市で行われる「ハママツ・ジャズ・ウィーク」のイベント「スチューデント ジャズ フェスティバル」にも出場することが決まっている。
「ハママツ・ジャズ・ウィーク」は、10月の9日間、浜松の街をジャズ一色に染める音楽フェスティバル。アクトシティ浜松のように、世界中から一流の音楽家が集まるホールはもちろん、駅前の広場をはじめ街のいたるところに設けられた特設会場やカフェ、ギャラリーまでがライブ会場となり、プロやアマチュア、世代といったあらゆる枠を超え、ジャズの楽しさを謳歌する。1992年、浜松市の音楽を中核とした都市づくり「音楽のまちづくり」事業のひとつとしてスタートし、31回目となる2023年は10月14日(土)から22日(日)まで開催。最終日にアクトシティ浜松・大ホールで行われる「ヤマハ ジャズ フェスティバル」には、ニューヨークを拠点に活躍するピアニスト、海野雅威が自らのレギュラー・トリオを率いて参加するほか、荻野目洋子がジャンルを超えて活躍するミュージシャンたちとともに一夜限りのスペシャルなステージを展開する。トリは日本ジャズ界最大のリビング・レジェンドといえる渡辺貞夫が率いるビッグバンド「渡辺貞夫オーケストラ」が務め、円熟味に溢れる演奏を披露する予定だ。
ハママツ・ジャズ・ウィーク

左から、海野雅威、荻野目洋子

ハママツ・ジャズ・ウィーク

渡辺貞夫

2001年、ハママツ・ジャズ・ウィーク開催10周年を記念してスタートしたスチューデントジャズ フェスティバルが行われるのは、14日(土)。つまりウィークの初日である。会場はアクトシティ浜松・中ホール。それから始まるジャズに彩られた9日間の扉を開ける重要な役目なのだ。

ハママツ・ジャズ・ウィーク

スチューデントジャズ フェスティバル

ステージの終盤には参加団体の代表者によるスペシャルバンドを結成するなど、参加者同士の交流を促進する企画も予定されている。
「日本中から熱のあるスチューデント・バンドが集まるので、みんながお互いを高め合えるようなステージにしたいですね」と前出の村上さんはフェスティバルに期待を寄せる。
新たな出会いが生まれる舞台は整った。あとは彼らがすべてを出しきって演奏するだけ。浜松に新しいジャズの風が吹くまでもう少しだ。

■第31回 ハママツ・ジャズ・ウィーク

日時:2023年10月14日(土)〜22(日)
会場:アクトシティ浜松、かじまちヤマハホール 、クリエート浜松、珈琲紅茶専門店トゥルネラパージュ、サザシティ浜松 中央広場、キタラ(JR浜松駅北口広場)、ソラモ(浜松市ギャラリーモール)、ステージONE、新川モール、葵広場@浜松出世パーク ほか
詳細はこちら

オフィシャルFacebook オフィシャルTwitter オフィシャルInstagram

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:西村由紀江さん「誰かに寄り添い、心の救いになる。音楽には“力”があります」

8056views

音楽ライターの眼

ベートーヴェンの苦闘からシューマンの夢幻へ。仲道郁代 スペシャル・コンサート~フォルクハルト・シュトイデ(バイオリン)を迎えて~

3721views

クラビノーバ「CSPシリーズ」

楽器探訪 Anothertake

これまでピアノを諦めていた多くの人を救う楽器。楽譜作成・鍵盤ガイド機能が付いた電子ピアノ/クラビノーバ「CSPシリーズ」

21567views

楽器上達の心強い味方「サイレント™シリーズ」&「サイレントブラス™」

楽器のあれこれQ&A

楽器上達の心強い味方「サイレント™シリーズ」&「サイレントブラス™」

38402views

大人の楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

11410views

トーマス・ルービッツ

オトノ仕事人

アーティストに寄り添い、ともに楽器の開発やカスタマイズを行うスペシャリスト/金管楽器マイスターの仕事

1502views

アクトシティ浜松 中ホール

ホール自慢を聞きましょう

生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール

14361views

こどもと楽しむMusicナビ

サービス精神いっぱいの手作りフェスティバル/日本フィル 春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」

9215views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

22414views

if~

われら音遊人

われら音遊人:まだまだ現在進行形!多くの人に曲を届けたい

1092views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は人前で演奏してこそ、上達していくものなのだろう

8092views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

25128views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

10143views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

22414views

音楽ライターの眼

【ジャズの“名盤”ってナンだ?】#024 ジャズを“復古”させた圧倒的な才能の歌声~サラ・ヴォーン『枯葉』編

741views

オトノ仕事人

歌、芝居、踊りを音楽でひとつに束ねる司令塔/ミュージカル指揮者・音楽監督の仕事

2892views

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

われら音遊人

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

10604views

reface

楽器探訪 Anothertake

個性が異なる4機種の特徴、その楽しみ方とは?

7543views

ホール自慢を聞きましょう

地域に愛される豊かな音楽体験の場として京葉エリアに誕生した室内楽ホール/浦安音楽ホール

10385views

山口正介さん

パイドパイパー・ダイアリー

「自転車を漕ぐように」。これが長時間の演奏に耐える秘訣らしい

6059views

楽器のあれこれQ&A

エレキギター初心者を脱したい!ステップアップ練習法と2本目購入時のアドバイス

4715views

ズーラシアン・フィル・ハーモニー

こどもと楽しむMusicナビ

スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス

13734views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

9944views