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ライヴ・スペクタクルを音楽で彩る映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』が2025年7月公開

ライヴ・スペクタクルを音楽で彩る映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』が2025年7月公開

映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』が2025年7月11日(金)から全国順次公開となる。

『グラディエーター』、『DUNE/デューン 砂の惑星』、『マン・オブ・スティール』、『ダークナイト三部作』、『インターステラー』、『インセプション』、『ワンダーウーマン』など数々の超大作や名作で音楽を手がけてきたジマーは、自らバンド&オーケストラを率いてそれらの曲をステージで披露するライヴを行ってきた。2025年5月には来日公演を行い、大観衆を沸かせたことも記憶に新しい。

『ダイアモンド・イン・ザ・デザート』は彼のライヴの興奮と感動を映画館の大スクリーンで蘇らせるシネマティック・エクスペリエンスだ。

日本公演とほぼ同様のハンス・ジマー・クラシックスの数々

この映画の舞台となるのは2024年5月31日・6月1日、アラブ首長国連邦ドバイの“コカコーラ・アリーナ”だ。2023年1月27・28日の同所での公演(初の中近東でのライヴ)が大成功に終わったことで、約1年4か月ぶりに再び同じ会場のステージに上がることになった。1万7千人収容の会場はほぼ満員で、観衆は着席こそしているが、砂漠の真っ只中を思わせる熱気を放っている。

演奏されるのは日本公演とほぼ同様のハンス・ジマー・クラシックスの数々。『DUNE/デューン 砂の惑星』『パイレーツ・オブ・カリビアン』などから『ライオン・キング』、『インセプション』の『タイム』まで、次々と代表作のテーマ曲が披露される。『X-MEN:ダーク・フェニックス』は日本公演のステージで「あえて名前は挙げないが好きではない作品」と紹介されたが、音楽的にはお気に入りらしく、ドバイでも演奏されており、大きな歓声で迎えられている。

それらの楽曲をプレイする19人編成のバンドのミュージシャン達も実力派揃いだ。ジマー自身もキーボード、ギター、ベースを弾くなどパフォーマーとしても活躍しているが、バンドで最も名前が知られているのがギタリストのガスリー・ゴーヴァンだろう。現代ロック・ギタリストの最高峰といわれるテクニックを誇る彼は自ら率いるジ・アリストクラッツに加えエイジア、スティーヴン・ウィルソンらとも共演するなど常に引っ張りだこだ。ドバイのライヴでも彼はたっぷりフィーチュアされており、『インセプション』でのタッピング、『ワンダーウーマン』『マン・オブ・スティール』でのメロディ・センスとテクニックを兼ね備えたリード・プレイなど、要のポイントでは指先がクローズアップされているので、彼のギターが目当てのファンも満足できるだろう。

それぞれのメンバーが実力を発揮しながら、プリマドンナ気取りの個人プレイはない。全員がひとつの音楽に向かっていく一体感が、コンサートをさらに高めていく。興味深いのは、ジマー自身がミュージシャンのファンであることだ。最前列より前、ステージ上でゴーヴァンやリサ・ジェラルドのライヴ・パフォーマンスに見入る姿が映し出されるのが微笑ましい。

「自分のコンサートは映画本編から音楽が解き放たれるイベント」と語るように、映画からのシーンをスクリーンに映し出したりはせず、主役はあくまで音楽であることを強調している。実際、映画と切り離しても、演奏される楽曲は光り輝くものばかりだ。

ただ、ステージでは色彩豊かなライティングやスクリーンのイメージ映像、ミュージシャン達のコスチュームなど、ヴィジュアル面も魅力溢れるものだ。さらにコンサート会場を飛び出して、CGによるヴァーチャルな仮想空間で行われるライヴ・フッテージも『ダイアモンド・イン・ザ・デザート』をコンサート・ムービー以上のものに昇華させている。

豪華ゲスト陣とのトーク

さらに本作ではジマーが音楽を提供してきた作品に関わる豪華ゲスト陣とのトークも収録。ジョニー・マー、ファレル・ウィリアムズ、ビリー・アイリッシュ、ティモシー・シャラメ、ゼンデイヤ、クリストファー・ノーラン、ドゥニ・ヴィルヌーヴらとの対話を通じて、彼の世界観と哲学が浮き彫りになってくる。

ジョニー・マーは彼にライヴをやることを勧めたミュージシャンで、息子ナイルが現在ジマーのバンドのギタリストだが、「あなたはロックミュージシャンの魂を持っている。ジュピターやモーグ・シンセを弾くのが本来の姿だ」と主張する。ビリー・アイリッシュは「“作曲家”や“識者”はわざとらしくて嫌いだが、ハンスはそういう人達とは違う」と語っているし、ジマー本人も「“ドリス”という女性を脳内でイメージしているんだ。一週間働いて、金曜の夜にパブで飲むか、映画を見に行くか……彼女は映画を見に行くことを選ぶ。そんな彼女のために音楽を書いている」と説明するなど、多角的にその音楽観を知ることが可能だ。

迫力のライヴ・スペクタクルと人間を掘り下げるドラマ、映像を彩る壮大な音楽。『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』は、それ自体が一篇のアドベンチャー・ムービーである。


予告編『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』

■インフォメーション
映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』

映画『ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート』

2025年7月11日(金)から全国順次公開

詳細はこちら

山崎智之〔やまざき・ともゆき〕
1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検第1級、TOEIC 945点取得
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