Web音遊人(みゅーじん)

今月の音遊人:マキタスポーツさん「オトネタ作りも、音楽に関わるようになったのも、佐野元春さんに出会ったことから始まっています」

“音楽”と“笑い”を融合させた「オトネタ」を提唱し、自らがボーカルとギターを担当するロックバンド、マキタ学級でライブ活動をし、執筆にも力を注ぐなどジャンルの枠を越えて精力的に活動するマキタスポーツさん。自身の根底を流れ、形成している音楽について聞きました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

一番多く聴いた曲といわれても、これだ!と明確には思い出せないけど、たぶん佐野元春さんの「サムデイ」だと思います。ただし中学生の頃に聴いて、その後になっても聴き続けて……というのではなく、中学生の時にそれしか聴かなかったという曲です。365日、毎日聴いているくらいの勢いでしたね。LPレコードは中学生にとっては高価なものでしたから丁重に扱っていました。傷がついたらおしまいですからね。だからLPで聴くことはなく、カセットテープにダビングしたものを聴いていました。 LPは眺めるためにある(笑)。カセットテープも安いものしか買えないから、何度も聴くうちに伸びちゃって、だから何度もダビングし直していましたね。
山梨の片田舎で育ったので娯楽といえばテレビとラジオ。当時は歌番組が全盛の時代。その歌番組に出てこない佐野さんのようなミュージシャンがいることも希少なことで、それがまた格好いいと思っていました。佐野さんはその頃、芸能界のど真ん中にいた沢田研二さんに曲を提供していたりして、自らも歌っている。それも格好よかったですね。最先端で活躍する人を支える仕事、コンポーザーというかそういう存在の人としても憧れていました。

Q2.マキタスポーツさんにとって「音」や「音楽」とは?

料理を食べるようなものでしょうか。僕にとって食べるということは、自分を活性化させる源。音を摂取するのも生きる活力に直接繋がっているように感じるんですよね。食べ物のことを話したり、聞いたり、見たりするのが好きなんですが、それと全く同じ感じで音楽を聴いたり、音楽の仕掛けのことなどを聞いたり話したりするのは楽しいですね。音楽ってとてもロジカルな面もあって、例えば山下達郎さんの曲も同じ設計にすれば達郎さん風の曲はできますけど、一方、それだけでは表現しきれないものがありますよね。超魔術としか思えないものがあるんですよ。料理を食べてこの美味しさって何だろう、そっくり作り方を真似ても再現できないような味、そういうものが音楽にもあるんです。食べることと同じで、僕が生きていくうえでずっと関わり続けて楽しむものが音楽でしょう。
いろんな音楽を聴いているのも食べることと同じで、同じものだけ、同じ系統のものだけ食べているとつまらない。高級店に行くだけではダメだし、リーズナブルな店にだけ通い続けるのも違うと思います。安い値段でごく安定した音楽状況を提供してくれるサブスクリプションで聞けるファミレス的なものもあれば、ミュージカルやオペラ、クラシックコンサートなど、生の音を聞くためには数万円レベルでないと体験できない音楽もある。いろんな音楽を聴くことはオトネタに影響し、芝居で演ずることや文章を書くことにもつながっていると感じています。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人を想像しますか?

あまたいるミュージシャンは、みんな音で遊んでいる人だと思います。遊び方はそれぞれ違いますが。ミュージシャンのほとんどは技術者のようでもありますね。バンドのメンバーとか見ていると、飲み会の時にも機材やテクニックのことばっかり話していますね。ギアに興味がある人、それは職人の特性なので、そういう意味で「音で遊んでいる人たち」と言えるんじゃないかな。
僕も「音の遊び人」ですけど、ギアには興味がないです。音楽のおおまかなストーリーというか、トリックというか、ディレクションというか、そういうものに関心がある。佐野元春さんという人は偉大なる音楽エディターだと思うんです。いいものといいものをうまく折衷させて、独自の世界観を作り出していく。中学生のときは気づきませんでしたが、当時流行っていたものとか、子供の頃に影響を受けたものとかをミックスして編集することで作品を作り上げていたんですね。
僕がやっているオトネタも編集には凝ります。でも1+1が2になるわけじゃなくて、ただ足すことで見栄えのするものになるかというと、そうじゃない。そうした技術面はすごく気になるし、音楽や演奏についてあれこれやっているときは、音で遊んでいるなあと思いますね。

 

マキタスポーツ〔まきたすぽーつ〕
ミュージシャン、芸人、文筆家、俳優。山梨県出身。1998年にデビュー。「オトネタ」を披露するライブを精力的に開催。俳優としても活躍し、2012年公開の映画『苦役列車』で第55回ブルーリボン賞新人賞、第22回東スポ映画大賞新人賞を受賞。テレビ、ラジオのレギュラー番組も多数抱えている。
オフィシャルサイトはこちら

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:石丸幹二さん「ジェシー・ノーマンのような表現者になりたい!という思いで歌の世界へ」

10389views

エリック・ホープリッチ&ロンドン・ハイドン弦楽四重奏団

音楽ライターの眼

その夜、バセット・クラリネットは“歌った”|エリック・ホープリッチ&ロンドン・ハイドン弦楽四重奏団~バセット・クラリネットで聴く、モーツァルト『クラリネット五重奏曲』

6299views

楽器探訪 - ステージア「ELC-02」

楽器探訪 Anothertake

持ち運び可能なエレクトーン「ELC-02」、自由な発想でカジュアルに遊ぶ

29612views

楽器のあれこれQ&A

いつも清潔にしておきたい!ピアニカのお手入れ、お掃除方法

258986views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

7944views

カッティング・エンジニア

オトノ仕事人

レコードの生命線である音溝を刻む専門家/カッティング・エンジニアの仕事

1469views

札幌コンサートホールKitara - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

あたたかみのあるデザインと音響を両立した、北海道を代表する音楽の殿堂/札幌コンサートホールKitara 大ホール

17178views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

6557views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

専門家の解説と楽器の音色が楽しめるガイドツアー

8085views

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

われら音遊人

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

10055views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

8083views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

24498views

大人の楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:バイオリニスト岡部磨知がエレキギターを体験レッスン

18929views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

世界中の珍しい楽器が一堂に集まった「浜松市楽器博物館」

29283views

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase18)シベリウス「交響曲第2番」、凱歌をもたらす悲歌の働き、クイーンのヒット曲にも

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase18)シベリウス「交響曲第2番」、凱歌をもたらす悲歌の働き、クイーンのヒット曲にも

484views

梶望さん

オトノ仕事人

アーティストの宣伝や販売促進など戦略を企画して指揮する/プロモーターの仕事

10712views

みどりの森保育園ママさんブラス

われら音遊人

われら音遊人:子育て中のママさんたちの 音楽活動を応援!

6504views

【楽器探訪 Another Take】人気のカスタムサクソフォンが13年ぶりにモデルチェンジ

楽器探訪 Anothertake

人気のカスタムサクソフォンが13年ぶりにモデルチェンジ

11016views

HAKUJU HALL(白寿ホール)

ホール自慢を聞きましょう

心身ともにリラックスできる贅沢な音楽空間/Hakuju Hall(ハクジュホール)

21663views

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい 山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

『チュニジアの夜』は相当に難しいが、次回のレッスンが待ち遠しい

5234views

楽器のあれこれQ&A

ドの音が出ない!?リコーダーを上手に吹くためのアドバイスとお手入れ方法

173774views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

7059views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

24498views