今月の音遊人
今月の音遊人:櫻井哲夫さん「聴いてくれる人が楽しんでくれると、自分たちの楽しさも倍増しますね」
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今月の音遊人:五条院凌さん「言葉で表現するのが苦手な私でも、ピアノなら自分の感情を、音を通して表現できる」
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2024.1.5
2021年にTikTokに登場して話題となり、そのテクニックとともに豪華絢爛なビジュアルでも注目されるピアニスト、五条院凌さん。今回のインタビューでは、切ない昭和の歌謡曲をカバーしたアルバム『お愛集』を発表した彼女の音楽的ルーツや、音に対する考え方をうかがいました。
一番多く聴いた曲……なんでしょうか。一番演奏している曲を挙げるとおショパン様の『幻想即興曲』ですね。やっぱり皆様の聴きたいというお声が多いので。自分のルーツの一つでもあるのは、わたしの肉体が生まれた地、青森県弘前市にある「ねぷた」というお祭りの「ねぷた音楽」です。太鼓の重いビートと軽やかなお囃子の笛の音が組み合わさって、それを演奏しながら道を練り歩くものなんですけど、私のオリジナルジャンル「ピアノビートミュージック」の原点が、そんな「ねぷた音楽」と言えるかもしれません。駅に行けば必ず津軽三味線の音が流れていますし。もとはといえば和の音に影響されているのです。オリジナル曲で奏でるフレーズも日本の伝統的な音階である五音階(ペンタトニック・スケール)やエキゾチックな音階を奏でることが多いです。
あとは、バレエ音楽を多く聴いてきました。特に、チャイコフスキーの『白鳥の湖』の第2幕『黒鳥と王子のグラン・パ・ド・ドゥ』ですね。黒鳥はオディールという役名なんですが、麗しく勇ましい黒鳥のたたずまい、存在が好きで、いつもパワーをいただいております。戦いに行くときに自分をかき立てるお守りのような曲です。
私は音を奏でる人ですから、音は自分そのものなんです。また、音楽は私の逃げ道であり、コンサートも一種の自分の癒しの場だと思っておりますね。聴く立場としてはロックやHIPHOPが多くて、一番好きなバンドが、ブリング・ミー・ザ・ホライズンというイギリスのロックバンドです。エレクトロニックな同期音源を使いながら、バンドサウンドを響かせるミクスチャーな音楽で、来日公演にも行きました。
クラシック音楽はバレエとかオペラは観に行くことはあっても、ピアノのコンサートには行きません。自分のピアノで満たされているから。できれば、ピアノ以外のサウンドから刺激を受けたいと思っています。
私自身が音遊人だと感じております。ピアノを弾くことを、「ピアノと戯れる」とコンサートやSNSでよく言っておりますが、自分が思うがまま自由でいられるのが、ピアノの前。私自身、これが仕事だと思っていませんし、やらなきゃいけないことだとも思っていません。ただただ、自分の魂のままで生きられる場所が音の世界だから、音遊人は私自身です。おTikTokも私にとって遊ぶ場かもしれませんね。私がいつも心がけていることは、おTikTokは次々に動画が流れてきて1秒でスワイプされる世界。瞬時に皆様の心を射止めるような、衝撃を与えるような音だったりビジュアルだったりを意識しています。クラシックは、なかなか浅はかには自分の演奏を出せない世界だという思いがあり、私は息苦しく感じておりました。もっと自由を求め、自由に憧れ、おTikTokの世界に降り立った時は、魂のままに表現していこうと思いました。真面目だけが全てじゃないから、ちょっとクスッと笑う要素も入れて、人間らしさも表現の一部として皆さんにお見せできれば、私自身、音楽家として深まるのではないかと思っております。
言葉を発するよりピアノを奏でている方が、自分らしくいられると思っております。私は人前でお話しすることが本当に苦手だったんです。でもピアノを弾く時は、感情を自分の肉体で自分の音を通して表現できるのですごく快適です。素直な状態で、すとんとした心のままで音を奏でられる。ノーストレス。弾いている時は、はつらつとしていますよね。心から楽しいのです。遊び場のような感覚でいつもステージに上がっております。ピアノを弾いている時は無敵状態だと感じます。ステージに立つとやっぱりテンションが上がりますし、血は騒ぎますし、戦闘のスイッチも入りますね。
五条院凌〔ごじょういん・りょう〕
麗しいピアノの音色を世に届けるため、2021年4月にTikTokという表現世界に降り立ったニューヒロイン。オリジナルからカバーまであらゆる楽曲を壮絶なピアノアレンジで麗しく披露する動画が大きな話題となり、最近では情報番組やバラエティなどのテレビ番組に取り上げられまたたく間に人気が拡大。個性的で表情豊かなキャラクターと持ち前の圧倒的で美しい演奏パフォーマンスは、聴くものを虜にし、毎度大きな反響を呼んでいる。さまざまなフィールドで五条院ワールドを繰り広げ、音楽界で最も熱い注目を集めている ピアノアイコンである。
オフィシャルサイト
■〜弘前市凱旋初コンサート〜 So Fabulous Concert 2024『生』
1/28(日)青森 弘前市民会館 大ホール
■So Fabulous Concert 2024
2/10(土)東京 武蔵村山市民会館(さくらホール)
3/30(土)神奈川 クアーズテック秦野カルチャーホール(秦野市文化会館)
■GojoIn Ryo Concert 2024〜GLAMOROUS TONE〜
6/8(土)山形テルサホール
6/25(火)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
※チケットは2/20(火)10:00から発売
文/ マメタ・オサム
photo/ 坂本ようこ
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