今月の音遊人
今月の音遊人:松井秀太郎さん「言葉にできない感情や想いがあっても、音楽が関わることで向き合える」
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佐野史郎と伊東ゆかりが語りつくす「ガールズポップ」に酔いしれた青春時代
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2016.6.27
俳優の佐野史朗さんをナビゲーターに、日本の音楽史を振り返りつつ語り明かすという『音座銀座(On The Ginza)』。
第10回となる今回のテーマは「ガールズポップに酔いしれて」。佐野さんがいつかは取り上げねばと思っていた「ガールズポップ」。少年時代に憧れた、愛しのお姉さん歌手への思いが強すぎたせいなのか、そっと大事にあたためていたせいなのか、ようやく登場したジャンルである。リストアップしてきた曲は、なんと160曲。そしてそんな胸キュンのテーマにふさわしく、スペシャルゲストとしてお迎えしたのは、歌手の伊東ゆかりさん。トークショーは初めてという伊東さんだが、二人が語り始めると会場はゆるゆると昭和の雰囲気に包まれてきた。
「『小指の想い出』が出たのが1967年でしたね」と伊東さんが語り出せば、すかさず「中2でした。どきどきしちゃいました」と佐野さん。小学校6年で歌手デビュー、中尾ミエさん、園まりさんとともに「スパーク三人娘」として活躍した中学生当時を振り返りながら、ビング・クロスビー、パティ・ペイジなどアメリカンポップスの話題がしばらく続く。ベーシストのお父様の影響で、家庭では洋楽しか聴いていなかったそうで、当時のポップスには思い出がいっぱいの様子。コニー・フランシスの『ボーイ・ハント』がかかると「やだ、これ大好き!泣いちゃう」と伊東さん。
「学校に行きたかったのに、仕事で歌わなくてはいけなくて。テレビで歌えば、校長先生やPTAの会長さんから『腰を振って踊るとは何事!(ツイストのこと)』と叱られ、仕事に行けば『歌手なのだから学生服で来るな!』とか『タレントなのだからもっと派手な格好をしなさい!』と言われて、ホントに嫌になっていたの」。そういうときはコニー・フランシスを聞いて、思いっきり泣いていたそうだ。
佐野さんらしく、「ガールズポップ」の起源を古事記のアメノウズメノミコトに求め、平安時代の白拍子(今様や朗詠を歌いながら舞った芸人)、明治時代に尋常ではない人気を呼んだという女浄瑠璃の曲も紹介されて、いよいよ佳境に。「この人こそ、元祖ジャパニーズガールズポップスターですよね」と佐野さんが笠置シズ子を取り上げるあたりで、まだまだリストアップした曲の一部分にしかならない。二人の思い出話は尽きることなく、結局2時間を軽くオーバーして閉幕となった。
この日は伊東さんのファンが多く詰め掛け、皆さん終了予定時間を超えても、トークショーに大満足の様子だった。ファンのひとりは「ショーのときは歌うのがメインですからね、こんなに長い時間ゆかりさんのお話が聞けて、ホントに楽しかった」と満面の笑顔で話してくれた。伊東さんのヒット曲をはじめ、その時代の曲が流れると、会場のお客様が一緒に口ずさんでいたのも、今回のテーマならでは。ガールズポップに酔いしれた青春時代は、今もずっと同じ思いで続いているのである。
トークショーの中で紹介された曲の一覧表です。こちらのPDFファイルをご覧ください。
文/ 唐沢耕
photo/ 森島興一
tagged: 佐野史郎, ヤマハ銀座, 音座銀座, On The Gin Za, 伊東ゆかり, ガールズポップ
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