今月の音遊人
今月の音遊人:伊藤千晃さん「浜崎あゆみさんの『SURREAL』は私の青春曲。今聴くとそのころの記憶があふれ出ます」
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バイオリンとエレクトーンが響き合うとき、どんな世界が紡ぎだされるのだろう。
2016年秋、日本を代表するバイオリニスト、徳永二男とエレクトーン界注目のアーティスト、渡辺睦樹によるこの上なく豪華な共演が実現する。
プロデビュー50周年を迎え、その経験と才能で日本クラシック界を牽引し続ける徳永。かたや渡辺は、確かな音楽性と感性、そして豊かな表現力や作品解釈でファンの心を魅了してやまない。
「エレクトーンの魅力は、生身のひとりの人間がたくさんの音色をその場限りの呼吸感や環境で繰り出し、音楽をつくっていくという臨場性」。そう語る渡辺は、クラシック演奏家の第一人者として、エレクトーンの可能性を拓いてきた。これまでもピアニストやヴォーカリストなどとのコラボレーションを行っている。
「オーケストラが入れないような狭い会場でも、ひとりの奏者がオーケストラサウンドを届けることができる。それが、エレクトーンでクラシックを演奏することのひとつの大きな意義なのではないかと思っています。そして、別の楽器や演奏者と一緒に演奏することは、エレクトーンが他の楽器とともにクラシックをつくり上げていくことができる楽器だと提示するきっかけにもなります」
さらに自身も、もっと表現の幅を広げて取り組んでいいことに気付かされたという。
今回の共演は、渡辺からのオファーを、エレクトーンという楽器および渡辺の演奏の表現力に惹かれた徳永が、受け入れる形で実現した。
「徳永さんは子どものころからテレビや雑誌で拝見している方で、夢のような話。同時に、この共演はエレクトーンという楽器の将来にもつながると思うのです」
スピーカーを通して音を鳴らすエレクトーン。対して、アコースティックなバイオリンは大きさでもエレクトーンとは雲泥の差がある。だからこそ、渡辺は敢えてバイオリンとの共演に挑んだ。
「実は、そんなことはないんですけれどね。最初は遠慮しなくちゃいけないと思っていたのですが、アコースティックの楽器は思った以上によく響く。ふだんの2割増しぐらいの勢いでやらないと太刀打ちできないぐらいです」
プログラムは、三大バイオリン協奏曲のひとつ、チャイコフスキーを中心にヴィヴァルディの『四季』、そして渡辺のソロ演奏までが盛り込まれる。なかでも渡辺にとってチャレンジングなのが『四季』。全12曲をストリングスだけで演奏。豊かな音色が最大の特徴のエレクトーンにあって、限られた音色のみで音楽を紡ぐ。
「ふだんエレクトーンを聴かれている方には新鮮だと思います。エレクトーンにはこんなアプローチもあるんだということをわかってもらえたら嬉しいですね」
渡辺のアレンジによるオーケストラサウンドと徳永の奏でるバイオリン。それぞれの楽器のファンはもとより、多くの聴き手の心を揺さぶる珠玉の公演になるだろう。
出演:徳永二男(バイオリン)、渡辺睦樹(エレクトーン)
日時:2016年9月6日(火)19:00開演(18:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14 ヤマハ銀座ビル7F)
料金:前売5,000円、当日5,500円(税込・全席指定)
曲目: A.ヴィヴァルディ/バイオリン協奏曲集『四季』Op.8、P.I.チャイコフスキー/バイオリン協奏曲 ニ長調Op.35、渡辺睦樹ソロ曲