今月の音遊人
今月の音遊人:中川晃教さん「『音遊人』のイメージは、雲を突き抜けて、限りなくキレイな空の中、音で遊んでいる人」
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こだわりの映像と“青春アゲイン”のシューマン、デビュー30年を迎えてますます活動的に/仲道郁代インタビュー
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2017.5.8
デビュー30年のアニバーサリー・シーズンを迎え、2017年も多数のコンサートをはじめとする活動が注目されている仲道郁代。記念リリースのひとつとして2017年3月には、東京のサントリーホールにおけるショパン作品のリサイタルを収録した『ショパン・ライヴ・アット・サントリーホール』(映像DVD、ブルーレイ)を発売した。実はこのリサイタル、ショパンの生誕200年である2010年に収録されていたもので、未発表の映像を蘇らせたのだ。
「私にとっては思い出深いリサイタルで、多くのコンサートを撮影していた小林悟朗さんという名プロデューサーの演出した作品でもありました。小林さんは2012年にお亡くなりになり、そのまま眠っていた映像だったのですが、機会があって見返してみましたら、素晴らしかったのです」
そこに映っていたのは単なるコンサートの記録ではなく、仲道自身がその場で感じ取っていた音楽と見事にリンクし、空気感までを収録したものだった。
「それぞれの曲に対する私の思いも汲んでくださったような映像で、すみずみまで気を配りながら音楽の本質を描き出した作品だと感服しました。私を映し出すアングルや楽器越しの客席、客席からステージにある楽器への視線、曲が終わってステージから去っていくときの見せ方など、すべてが納得できるクオリティだったのです。7年前ですから演奏は変わっていますが、それでもこの素晴らしさは多くの人と共有したいと思い、発売させていただきました」
このリサイタルでは、現代のコンサートグランドピアノだけではなく、ショパン存命時の1840年に製造されたプレイエル社のヒストリカル・ピアノ(古楽器)も演奏。仲道は2016年9月にも、自身が所有する1842年製のプレイエルを弾いた『永遠のショパン』というアルバムをリリースしている。ヒストリカル・ピアノへの関心が世界的にも高まる中、「当時の楽器や奏法を研究した上で、生きた言葉による現代のショパンを演奏したい」という仲道の姿勢は、ますます注目されることだろう。 「これは私が希望したのですが、コンサート映像が終わった後、映画のエンド・クレジットを思わせるテロップが画面に映し出されますから、ぜひそこまでご覧ください」
2017年8月16日には、ショパン、シューマン、そしてブラームスが若い頃に発表した作品を集め、東京オペラシティコンサートホールにおいてコンサートを行う。特にコンサートの後半、松田理奈(バイオリン)、田原綾子(ビオラ)、上村文乃(チェロ)という3人の弦楽器奏者と共演し、20代のブラームスが作曲した『ピアノ四重奏曲第1番』を演奏することに注目が集まるだろう。「若い世代の皆さんと共演して彼女たちのエネルギーを受け止めながら、それぞれの作曲家たちが若い頃に、どういった感情や精神で音楽を作っていったのか。それを探りたいと思います」
さらに2017年の秋以降は、久しぶりにシューマンの曲を演奏する機会が増える。11月5日には、東京文化会館においてオール・シューマン・プログラムによるリサイタルを行い、あわせてシューマンのアルバムもリリース。デビュー30年の記念シーズンを締めくくるのだ。
「以前はよく弾いていたのですが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタを集中して弾く時期があり、なかなか頭がシューマンへ戻れないまま時間がたってしまったのです。ですから今回は、私にとって『シューマンふたたび、青春アゲイン!』という気持ち。でも若い頃に感じた未知の世界への不安などを思い出すのではなく、いろいろな経験をした上での青春ですから、これまでの人生がすべて反映されたものになるでしょうね」
コンサート活動のみならず、機会があれば古楽器の演奏や奏法の研究にも挑戦してみたいという。その一方で音楽を多くの人に広めるためのアウトリーチやワークショップへの関心も高い。そうしたことすべてが「音楽家・仲道郁代」というキャラクターを形成するための軸となり、ますます多彩な活動を支えていくのだろう。おそらく「30年」は通過点でしかないのだ。
『永遠のショパン』(CD+DVD)
発売元:ソニー・ミュージックジャパン インターナショナル
発売日:2016年9月21日
価格:3,000円(税込)
『ショパン・ライヴ・アット・サントリーホール』
発売元:ソニー・ミュージックジャパン インターナショナル
発売日:2017年3月29日
価格: 5,000円(DVD)/6,000円(ブルーレイ)※いずれも税込
「青春の輝き」~若き女神たちとともに~
日時:2017年8月16日(水)13:30開演(13:00開場 )
場所:東京オペラシティコンサートホール
料金:4,800円(税込)
曲目:ショパン:『革命のエチュード』『別れの曲』/シューマン:『トロイメライ』『交響的練習曲』/ブラームス:『ピアノ四重奏曲第1番』ほか
文/ オヤマダアツシ
photo/ 後藤泰宏
tagged: ピアノ, インタビュー, ピアニスト, 仲道郁代
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