Web音遊人(みゅーじん)

ドイツ・グラモフォン ベスト・オブ・ベスト

2018年に創立120年を迎えるドイツ・グラモフォンの歴史を俯瞰する名演集

クラシックのアーティストが口をそろえて「イエロー・レーベルで録音したい」と語る、歴史と伝統を誇るドイツ・グラモフォン。創立は1898年のドイツ・ハノーファー。円盤レコードの発明者、エミール・ベルリナー(1851~1929)によって設立された世界最古のクラシック専門レーベルである。

その後、ふたつの大戦や大恐慌などを乗り越え、1947年には古楽専門レーベル「アルヒーフ」が発足し、1949年にはイエロー・レーベルの黄色のマークが導入された。1959年に指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤンがEMIから帰還し、その後30年間で330枚以上のレコードを製作することになる。

ドイツ・グラモフォンの録音リストには、指揮のカール・ベーム、レナード・バーンスタイン、クラウディオ・アバド、小澤征爾、カルロス・クライバー、ピアノのエミール・ギレリス、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ、マルタ・アルゲリッチ、マウリツィオ・ポリーニ、マリア・ジョアン・ピリス、クリスチャン・ツィメルマン、ヴァイオリンのギドン・クレーメル、アンネ=ゾフィー・ムター、チェロのミッシャ・マイスキーをはじめ、クラシック界を代表する実力と人気を兼ね備えたアーティストの名前がずらりと並ぶ。

最近も指揮のグスターヴォ・ドゥダメル、ヤニック・ネゼ=セガン、アンドリス・ネルソンス、ピアノのラファウ・ブレハッチ、アリス=紗良・オット、ダニール・トリフォノフ、チョ・ソンジンら若手演奏家が契約し、勢いに満ちた録音を次々にリリースしている。

そんなレーベルの120年の歴史を俯瞰する2枚組のCDが登場した。ここにはカラヤン、バーンスタインから現在国際舞台の第一線で活躍しているアーティストまで、さまざまな名演奏家の得意とする作品が収録され、ひとつのレーベルの歴史を超えてクラシックの演奏史をたどるような組み立てになっている。

まず、クライバー&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の第1楽章で幕開け。そして2枚目の最後はカラヤン&ベルリン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第9番「合唱」の第4楽章で終幕を迎えるという趣向である。

なお、2018年は20世紀のクラシック界を彩ったふたりの巨匠、カラヤン(生誕110年)とバーンスタイン(生誕100年)のメモリアルイヤーに当たる。2018年は両巨匠に関するさまざまな録音や催しが登場するだろうが、今回はそれに先駆ける形でベスト盤が世に送り出された。

これからクリスマス・シーズン、ニューイヤーと、友人や家族の集まる機会が増える。そんなときに名手たちの名演奏がバックに流れていれば、心身が癒され、知的好奇心が促され、食卓も彩りを増すに違いない。

伊熊 よし子〔いくま・よしこ〕
音楽ジャーナリスト、音楽評論家。東京音楽大学卒業。レコード会社、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経て、フリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌だけでなく、新聞、一般誌、情報誌、WEBなどにも記事を執筆。著書に「クラシック貴人変人」(エー・ジー出版)、「ヴェンゲーロフの奇跡 百年にひとりのヴァイオリニスト」(共同通信社)、「ショパンに愛されたピアニスト ダン・タイ・ソン物語」(ヤマハミュージックメディア)、「魂のチェリスト ミッシャ・マイスキー《わが真実》」(小学館)、「イラストオペラブック トゥーランドット」(ショパン)、「北欧の音の詩人 グリーグを愛す」(ショパン)など。2010年のショパン生誕200年を記念し、2月に「図説 ショパン」(河出書房新社)を出版。近著「伊熊よし子のおいしい音楽案内 パリに魅せられ、グラナダに酔う」(PHP新書 電子書籍有り)、「リトル・ピアニスト 牛田智大」(扶桑社)、「クラシックはおいしい アーティスト・レシピ」(芸術新聞社)、「たどりつく力 フジコ・ヘミング」(幻冬舎)。共著多数。
伊熊よし子の ークラシックはおいしいー

■アルバムインフォメーション

『ドイツ・グラモフォン ベスト・オブ・ベスト(2枚組)』
ドイツ・グラモフォン ベスト・オブ・ベスト
発売元:ユニバーサル ミュージック合同会社
発売日:2017年12月6日
価格:2,000円(税抜)
詳細はこちら

 

特集

山下洋輔さん

今月の音遊人

今月の音遊人:山下洋輔さん「演奏は“PLAY”ですから、真剣に“遊び”ます」

2725views

斎藤雅広「ナゼルの夜会」

音楽ライターの眼

デビュー40周年を迎えた斎藤雅広が世に送り出す、舞踊の空気ただようアルバム

2116views

豊かで自然な音と響きを再現するサイレントバイオリン「YSV104」

楽器探訪 Anothertake

アコースティックの豊かで自然な音色に極限まで迫る、サイレントバイオリン™「YSV104」

4682views

楽器のあれこれQ&A

モチベーションがアップ!ピアノを楽しく効率的に練習するコツ

5644views

注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

2837views

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

オーケストラのステージの“演奏以外のすべて”を支える/オーケストラのステージマネージャーの仕事(前編)

28296views

音の粒までクリアに聴こえる音響空間で、新時代へ発信する刺激的なコンテンツを/東京芸術劇場 コンサートホール

ホール自慢を聞きましょう

音の粒までクリアに聴こえる音響空間で、刺激的なコンテンツを発信/東京芸術劇場 コンサートホール

5580views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

1279views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

13930views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:音楽は和!ひとつになったときの達成感がいい

2288views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォン教室の新しいクラスメイト、勝手に募集中!

1925views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

3162views

脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

5052views

上野学園大学 楽器展示室

楽器博物館探訪

日本に一台しかない初期のピアノ、タンゲンテンフリューゲルを所有する「上野学園 楽器展示室」

9758views

ジャズが“距離感”を重視すべき音楽であることを考えさせたあるデュオのトラウマ

音楽ライターの眼

ジャズが“距離感”を重視すべき音楽であることを考えさせたあるデュオのトラウマ

1339views

オトノ仕事人

コンサートの音の責任者/サウンドデザイナーの仕事

3373views

スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラのメンバー

われら音遊人

われら音遊人:震災の年に結成したビッグバンド、ボランティア演奏もおまかせあれ!

1024views

変えるべきもの、変えざるべきものを見極める

楽器探訪 Anothertake

変えるべきもの、変えざるべきものを見極める

9291views

サントリーホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

クラシック音楽の殿堂として憧れのホールであり続ける/サントリーホール 大ホール

11223views

山口正介さん

パイドパイパー・ダイアリー

「自転車を漕ぐように」。これが長時間の演奏に耐える秘訣らしい

2124views

乾燥が気になる季節、暖房を入れた室内でのピアノの注意点や対策

楽器のあれこれQ&A

ピアノを最適な状態に保つには?暖房を入れた室内での注意点や対策

28109views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

1279views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

3162views