今月の音遊人
今月の音遊人:岡本真夜さん「親や友達に言えない思いも、ピアノに聴いてもらっていました」
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2000年に初代モデルを発売して以来、多くのプレイヤーの支持を得てきたヤマハのサイレントベース™。2020年1月に発売された「SLB300」は、サイレントベースの機能性はそのままに、音や響き、演奏性がアコースティックベースにより近づいたモデルとなっています。
「開発にあたって設定したゴールは、手に取ってみたい、そしてずっと弾いていたいと思える楽器にすることです。そのために“見た目の美しさ”“サウンド”“弾き心地”にこだわって開発を進めました」と、開発設計を担当したヤマハ株式会社B&O事業部の田村晋也さん。
まず、“見た目の美しさ”から見ていきましょう。天然の木材を使ったボディとフレームは、アンティーク調の木目塗装を施すことで、木材の質感を際立たせた外観に。サイレントベースならではのシャープさと、木材のアコースティック感が融合したデザインは、手に取ってみたいと思わせます。
“サウンド”については、ボディ内部の空洞を広げたり、スリット(切れ目)の長さを変えたりすることで、楽器本体からの生音がより豊かな響きに。また幅広の駒を採用することで、低音域がより太く、迫力のあるサウンドになっています。
また最大のポイントが、音に自然な胴共鳴を付加するデジタル技術「SRT(Studio Response Technology)パワードシステム」を搭載していること。
「高品位なマイクでスタジオ録音した音をこの楽器から出せないかと考え、エレクトリックアコースティックギターに採用されていたSRT技術を応用して生まれたのが『SRTパワードシステム』です。これはサンプリング音源を鳴らすのではなく、楽器本体に搭載されたピックアップからのアナログ出力に響きを加えることで、奏者なりの表現を再現するものです。開発ではトライ&エラーを延々と繰り返し、試作品でも小さいジャズクラブでドラム、ピアノ、管楽器などの生音と合わせてみたり、大きめの会場でPAを通して演奏してみたりといろいろ試し、音を完成させました」
さらにSRTパワードシステムで生まれた響きや音質は、3種類のマイクタイプの選択と、本体のピックアップからの信号とマイク信号のブレンドの調整、「SLB300」に特化した周波数特性をもつイコライザー(バス・トレブル)のコントロールによって、奏者の思い通りの音づくりをすることができます。
“弾き心地”については、楽器本体の音質・響きがより自然に、豊かになったことで、奏者の手に返ってくるフィードバックがアコースティックベースに近づきました。また楽器が回転しにくい重心設定や、駒、指板、ネックなどのパーツをアコースティックベースと同じ位置に配置した構造は、前モデルからそのまま引き継がれています。
加えて、サイレントベースならではの可動性に優れたコンパクトボディや、楽器に最適なピックアップシステム&プリアンプを搭載し、ライブハウスやスタジオで細かい調整なく機材に接続できるところは奏者にとって嬉しいポイント。
「練習用の楽器として使っていただくのも嬉しいですが、ライブステージや、宅録も含めた音楽制作などにもぜひ使ってほしいですね」と田村さん。
音質や演奏性の向上で、ピチカート奏法はもちろん、弓弾きでも奏者のイメージする表現に応えてくれる「SLB300」。ジャズ奏者の方はもちろん、クラシック奏者の方も一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
自然な音と響きを実現した、全く新しいタイプのエレクトリックアップライトベース。