今月の音遊人
今月の音遊人:上野通明さん「ステージで弾いているときが、とにかく幸せです」
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多彩な活動の源は、音楽に対する尽きることのない探究心/伊藤ゴロー インタビュー
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2015.1.23
tagged: ギター, ボサノヴァ, 伊藤ゴロー, naomi & goro, ランデヴー・イン・トーキョー
ギタリスト、作曲家、そしてプロデューサーとして活動する伊藤ゴロー。ボサノヴァ・デュオのnaomi & goroやクラシカルな薫りも漂うソロ・プロジェクト、そして、原田知世をはじめとするアーティストたちへのポップセンスを全開させたプロデュースワーク。そしてテレビ番組や映画への楽曲提供と、多方面で活躍している。
彼が初めてギターを手にしたのは中学生の時で、実は全くの独学なのだという。
「最初は、おじさんからもらったフォークギターを見よう見まねでいじっていました。当時好きだったビートルズとかを弾いてみたいなと思って。父は音楽好きだったけれど、なぜかギターは習わせてもらえなかった。だから最初は何をどうすればいいのか…。自分は左利きなのですがギターは右利き用なので、まずは右手で弦を弾けるようにするところから始めました。そこでいきなり曲も作ってみたんですよ。今から思えばチューニングも自分仕様だったけど、どこかブルージーな曲ができたのを憶えています(笑)」
ギターに関する情報は、友人と交換し合った。特に小学校からの友人がクラシックギターを習っていて、いろいろ教えてもらったとか。「彼はいまもギターを弾いていて、アマチュアのコンクールで入賞もしているんですよ。先日、帰郷した時にすごく久しぶりに会って、一緒に演奏もしました。嬉しかったですね」
ボサノヴァは幼い頃から興味を持って聴いていたけれど、ギタリストとして本腰を入れて取り組んだのは20代の後半になってからだという。
「当時はまだYouTubeのようなものもなくて、どうやって弾いているのかも分からない。だからとにかく音源を聴いては音を探っていく。その繰り返しでした。『いまカサって弦がこすれる音がしたから、こんな感じで手が動いているんじゃないか』なんて考えながらやっていましたね」
ブラジルでの録音を体験したのは2009年。naomi & goroでリオに飛んだ。
「現地の人たちが自分の音楽をどう評価するのか知りたかったし、彼らがどうレコーディングをしているのかも興味があって、とにかく行ってみようと思いました」
そこで出会ったのが、チェリストのジャキス・モレレンバウム。アントニオ・カルロス・ジョビン、カエターノ・ヴェローゾや坂本龍一との共演で知られる彼は、同じくレコーディングに参加していた坂本の紹介で伊藤らと共演することになったのだ。「ジャキスはブラジル音楽界のマエストロで、自分もすごく尊敬する音楽家。もう一緒に演奏するだけで感激でした」
その後も2人は2012年に東京の草月会館でデュオコンサートを、2014年8月にはブルーノート東京で、ジャキスの妻でボーカリストのパウラ・モレレンバウムも加えた3人でスペシャルライブを行った。伊藤とモレレンバウムの名義で発表された最新アルバム『ランデヴー・イン・トーキョー』は、そのライブの後、改めてレコーディングされたものである。
2015年3月21日(土)にはヤマハ銀座ビルで〈伊藤ゴローBOSSA NOVA ギターワークショップ in GINZA Vol.3〉を開催予定。そして、2015年4月29日(水・祝)(19:30~20:43)に放映されるNHK特集ドラマ『紅雲町珈琲屋こよみ』では劇伴音楽を担当する。と同時に現在、原田知世の新しいアルバムの制作中でもあり、その活動内容は実に多彩だ。
「ボサノヴァは本当に大好きな音楽で、多くのことを教えてもらったけれど、ボサノヴァを弾くことだけが自分の最終形では決してないと思っているんです」
彼の音楽に対する探究心は尽きることがない。
「好きなことはとことん徹底する。自分がいいなと思う方向に全力で取り組むことがいい結果につながると信じてやっています」
これからも伊藤ゴローの創りだす音楽には要注目だ。
『ランデヴー・イン・トーキョー』
伊藤ゴロー+ジャキス・モレレンバウム
発売元:ユニバーサル ミュージック
価格:3,000円(税抜) 発売中
日時:2015年3月21日(土)※時間はコースによって異なります
場所:ヤマハ銀座コンサートサロン(東京都中央区銀座7-9-14 ヤマハ銀座ビル6F)
料金:各3,000円(税込)
受講コース:初級・中級・上級
詳しい内容やお申し込みはこちら
文/ 日暮尚実
tagged: ギター, ボサノヴァ, 伊藤ゴロー, naomi & goro, ランデヴー・イン・トーキョー
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