Web音遊人(みゅーじん)

母親になった目線で歌いたい世界がある『虫のつぶやき』/荻野目洋子インタビュー

荻野目洋子自らが作詞作曲を手がけた新曲『虫のつぶやき』。2020年8月~9月に「NHKみんなのうた」で放送されるとともに、配信シングルがリリースされて話題を呼んでいる。
『ダンシング・ヒーロー』のリバイバルヒットでも、変わらぬ高い歌唱力とキレのあるダンスを見せてくれた荻野目だが、今回の楽曲はほのぼのとしていてキュート。新たな魅力を存分に感じさせてくれる。

虫の目線で描いたユーモラスで深い作品

『虫のつぶやき』は、虫の生態を虫の視点から描いたユーモラスな作品だ。軽快なウクレレの音色にのせた歌詞とメロディー。すっと耳になじみ、明るく楽しい気分にさせてくれる。しかし、そこには命の輝きとともに儚さや切なさも宿る。だから、心に響くのだろう。

荻野目の歌が「NHKみんなのうた」で放送されるのは、1988年の『ジャングル・ダンス』(作詞:森正和/作曲:小室哲哉)以来、32年ぶり。今回オファーがあった際に確定していたのは荻野目が歌うということのみであり、まっさらな状態からのスタートだった。
「最初の打ち合わせが終わったあと、アイデアがどんどんわいてきて。前回とはまったく違う、母親になった目線で歌いたい世界があります、と自分からプレゼンしたんです」
数時間で曲ができたと荻野目は笑う。それにしても、なぜ虫?
「幼いころから、虫の観察が好きだったんです。本も読んだりして、虫の世界の厳しさや長い年月をかけて進化してきた生き様にロマンを感じていました。子どもながらに、生きるということをたくさん教えてもらいました」
母親になってからは、娘たちとバッタやトンボを捕まえては一緒に観察。しかし最近では子どもばかりか親までも“虫離れ”しているという話を耳にして、何とも切ない気持ちに。
「子どものころに自分が虫を見ながら感じていたことを、今なら歌詞やメロディーにできると思いました」
唯一無二の世界観を紡ぐ歌詞のなかでも、とくにお気に入りのフレーズは「この世で一番美しいのは 新しい朝を生きることさ」だとか。
「私はずっと第一線で活動し続けてきたわけではないのに、再びスポットライトを浴びさせてもらっていて、そこには何らかの意味があるはずだと思ったんです。生きているものは必ず死ぬわけですが、死ぬまでにどんなふうに生きていきたいのか。子どものころからそんなことを考えていました。この歌を通して、そうしたことを伝えるのが自分の役割のような気がしています」

ウクレレとの出合いで音楽に対する考え方にも変化が

『虫のつぶやき』は、ウクレレ弾き語りであることも魅力のひとつだ。ウクレレ歴約15年の荻野目はライブでウクレレを披露したり、ウクレレ雑誌の表紙を飾ったりとウクレレ奏者としても注目される。
「20代でギターを始めたのですが、コードを押さえるのが難しくて挫折してしまいました。3人の子育て中に 短い時間で気分転換したり、自分を癒したりできる楽器をやろうと思ったんです。ウクレレは大きさも手ごろで、音もすぐに出せますし」
ウクレレを始めたことで、音楽に対する考えも変わっていったという。
「弾き語りができるようになったことが一番大きかったと思います。それまでの私は歌うことばかり考えていたのですが、楽器が奏でるリズムやメロディーとかみ合ってこそ歌が生きてくることを再発見しましたね」
今回の弾き語りで使っているのは、アメリカのブランド「ロメロ・クリエイションズ」のウクレレだ。
「ライブツアーでは、 ずっとロメロを愛用しています。音がまろやかで深く、包み込んでくれるような温かさを感じます。いまは特別にペイントした 世界でたった1台のウクレレを使っていて、すごく気に入っています」

ウクレレは楽曲づくりでも大活躍。曲づくりは、はかどっているそう 。
「これからも自然体で、自分の言葉で作品を出していきたいと思っています」
コロナ禍でライブ活動がままならない今、SNSなどでも積極的に発信している。YouTubeでは、弾き語り完奏への道の動画も公開されているので、こちらも要チェック!


荻野目洋子「虫のつぶやき」ウクレレ完奏への道

■インフォメーション

『虫のつぶやき』(配信限定)

配信元:ビクターエンタテインメント
発売日:2020年8月5日
詳細はこちら
オフィシャルサイトはこちら

オフィシャルFacebook YouTube公式チャンネル オフィシャルTwitter オフィシャルInstagram

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:家入レオさん「言葉に入りきらない気持ちを相手に伝えてくれるのが音楽です」

8005views

音楽ライターの眼

連載13[多様性とジャズ]デビューの危機に救いの手を差し伸べたアトランティックとの“見えない絆”

1478views

楽器探訪 Anothertake

改めて考える エレクトーンってどんな楽器?

134232views

楽器のあれこれQ&A

いつも清潔にしておきたい!ピアニカのお手入れ、お掃除方法

315352views

今、注目の若き才能 ピアニスト實川風が ドラム体験レッスン!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】今、注目の若き才能 ピアニスト實川風が ドラム体験レッスン!

8861views

江藤裕平

オトノ仕事人

音楽ゲームの要となるリズムノーツをつくる専門家/『太鼓の達人』の譜面制作の仕事

9775views

秋田ミルハス

ホール自慢を聞きましょう

“秋田”の魅力が満載/あきた芸術劇場ミルハス

5507views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

11020views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

12102views

ギグリーマン

われら音遊人

われら音遊人:誰もが聴いたことがあるヒット曲でライブに来たすべての人を笑顔に

2371views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

だから続けられる!サクソフォンレッスン10年目

5019views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

26123views

今、注目の若き才能 ピアニスト實川風が ドラム体験レッスン!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】今、注目の若き才能 ピアニスト實川風が ドラム体験レッスン!

8861views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

24638views

パワーマン5000

音楽ライターの眼

パワーマン5000が新作『Abandon Ship』で訪れる“過去にあった未来”

904views

オトノ仕事人

音楽をやりたい子どもたちの力になりたい/地域音楽コーディネーターの仕事

9421views

スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラのメンバー

われら音遊人

われら音遊人:震災の年に結成したビッグバンド、ボランティア演奏もおまかせあれ!

5956views

楽器探訪 Anothertake

新開発の音響システムが表現力のカナメ。管楽器の可能性を広げる「デジタルサックス」

3780views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

12046views

山口正介 Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

マウスピースの抵抗?音切れ?まだまだ知りたいことが出てくる、そこが面白い

5977views

これからアコースティックギターを始める際のギターの選び方や準備について

楽器のあれこれQ&A

これからアコースティックギターを始める際のギターの選び方や準備について

17304views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

11020views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

26123views