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見えているようで見えていない薄く膜がかかった世界で、心を満たしてくれるアルバム『sheer』/伊藤千晃インタビュー
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2021.6.23
2021年6月23日、伊藤千晃が約1年半ぶりとなるミニアルバムをリリース。タイトルは『sheer』。
ファッション好きなら、シアーと聞いて透け感のある薄い素材を思い浮かべるだろうが、「ごく薄い」といった意味。彼女はそこに、どんな思いを込めたのか。
思い浮かんだ言葉やフレーズを、伊藤はノートに書き留めている。その日、彼女が書いたのは「心の穴」。
2020年もがんばるぞ!と意気込んでいた矢先、世界中を襲ったコロナ禍。ライブやイベントはことごとく中止になり、伊藤は心にぽっかりと穴が開いたような感覚を抱いていた。しかし、ある記事によれば、心の穴は決して埋めることはできないという。けれど、満たすことならば可能だ、とも。
「おうち時間が増えて、SNSやさまざまな情報を見る機会が多くなりましたよね。見えているけれど、本当に大切なことや真実はちょっと見えづらい世の中なのかもしれないと思ったとき、sheerという言葉にたどり着きました。見えているようで見えていない薄く膜がかかった世界で、誰もが孤独に感じる瞬間があるかもしれない。そんな心の穴を“満たす”には、どうしたらいいんだろうって考えたんです」
彼女のそんな思いが結実したのが、ニューアルバム『sheer』だ。
新作には伊藤が構想から携わった。『sheer』に込めた思いをクリエーターたちに伝え、それぞれの解釈のもとにつくられた新曲4曲、そして既配信曲3曲を加えた全7曲が収録されている。
参加クリエーターはいずれも伊藤とつながりがあり、才能と個性あふれる面々だ。
Sonar Pocketら数多くのアーティストを手がける作曲・編曲家のKAY。
伊藤のバンドマスターでもあり、「音楽に対してより素直になれて、自信をもつことができるようになったきっかけの人」だという宮田“レフティ”リョウ。
唯一無二のオリジナルサウンドを次々と生み出すバンドI Don’t Like Mondays.。
「みなさんに私の思いを同じ言葉で伝えて、思い描いたことを作品にしてくれるようお願いました。それぞれのsheerがあって、まったく違う楽曲が出来上がりました」
オープニングの『リトル・ミー』は、ストリングスが印象的な疾走感あるアーバンポップ。伊藤自身が作詞を手がけ、宮田“レフティ”リョウとともに作り上げた。
リード曲『Merry Go Round』は、KAYによるファンクポップとディスコポップが融合したサウンドにポジティブなメッセージが込められた一曲だ。
「実はこの曲は、ちょっと避けていたジャンルなんです。というのも、もっと大人にならなければというプレッシャーを自分でかけていたのに、元気で明るいポップな曲を歌うことでまた子どもっぽくなってしまうんじゃないかという葛藤があったから。でも、今回歌ってみて、自分が思っているより成長しているところもあるんだって思えました。伊藤千晃の今がわかりやすく出ていると思います」
また、“内面的葛藤”をテーマにした異質のラブソング『アンドロイド』は、I Don’t Like Mondays.のボーカルYUが作詞し、I Don’t Like Mondays.が作曲と演奏を手がけた。
こんな時代だから、自分の想像で現実逃避してみたらハッピーになれるかも?そんな視点から宮田“レフティ”リョウが作曲した『きらり』は、ファンタジーの世界へと誘うバラード。
これらの新曲4曲に、KAYが手がけた『summer memories』、YUと宮田“レフティ”リョウによる『真夜中の処方箋』の既配信曲2曲、さらにボーナストラックにはファンからも人気の高い『ツキミキミ』のリアレンジバージョンが収録されている。
「『ツキミキミ』は壮大で世界観が広がったようなリアレンジになっています。おうち時間が増えた今、目を閉じて想像で楽しんでもらえる曲になっているのではないかと思います」
今回のアルバムでは、伊藤の新たな音楽性にも注目したい。
ここ数年、バンドの音に深く興味を惹かれ、熱中しているという彼女は、サウンドづくりの新機軸にも挑んできた。
「やりたいことが自分のなかで明確になった音が集まっています。これがやりたいからやっています!これぞ今の私です!と自信をもって言えるミニアルバムになりました」
その自信作を引っ提げ、7月からは自身初のZeppツアーも始まる。
「今からわくわくドキドキしているのですが、どうなるかわからない世の中なので柔軟に考えて楽しめる内容にしたいと思っています。マスク着用で声を出すこともできないかもしれませんが、その分ライブ作品としての世界観をつくり上げることに力を入れたいです。これまでとは違ったライブに期待していてください」
薄く膜がかかったような世界で、あなたは心を何で満たす?その答えを伊藤の新境地のアルバムで、ライブで、ぜひ見つけてほしい。
発売元:avex trax
発売日:2021年6月23日
価格:2,200円(CD)/5,500円(CD+DVD)※いずれも税込
詳細はこちら
Zepp Namba(大阪):7月4日(日)15:00、18:30開演
Zepp Nagoya(名古屋):7月31日(土)15:00、18:30開演
Zepp Fukuoka(福岡):8月14日(土)15:00、18:30開演
KT Zepp Yokohama(横浜):9月20日(月・祝)15:00、18:30開演
詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。
詳細はこちら
文/ 福田素子
photo/ 坂本ようこ
tagged: インタビュー, アルバム, 伊藤千晃, sheer
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