今月の音遊人
今月の音遊人:伊藤千晃さん「浜崎あゆみさんの『SURREAL』は私の青春曲。今聴くとそのころの記憶があふれ出ます」
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先頃、5年ぶりとなる新作『ヴァガボンド』をリリースしたエディ・リーダー。オリジナル曲やカバー曲など、本人いわく「今の自分を表現する曲を集めた」この作品は、スムーズに耳に馴染んでから、じわじわと深い味わいがやってくる。フェアグラウンド・アトラクションのシンガーとしてデビューして四半世紀以上、その伸びやかで美しく、ときに崇高な響きをもたらす歌声は、多くの人を魅了し、幸せを与えてきた。それは、彼女自身が音楽によって幸せを与えられてきたからだ。
「歌い始めたのは5歳のときだから、もうどれくらいになるかしら。12歳の頃は新聞の『ミュージシャン求む』みたいな募集を見つけてはきっかけをつかむための研究をしたり、老人ホームで歌うボランティア・グループに参加したり。13歳で初めて故郷のグラスゴーでコンサートをやったときは、親戚一同が集まった。子どもの頃から歌いたいという強い気持ちがあったの。みんなの前で歌うことによって人生が好転すると信じていたわ。貧困や犯罪率が高い地域に住んでいて、セクト主義、ドメスティック・バイオレンスが激しくて……、部屋の窓から(DVの様子が)見えたわ。週末の夜、酔って暴力を振るう男たちの怒鳴り声が聞こえてきた。我が家はそんなことはなかったけど。9人家族で、両親はとても仲が良かったのよ。もちろん夫婦喧嘩もあったけれど、家庭内暴力はなかった。私は両親同様、音楽で気持ちをハッピーにしていた。父はエルヴィス・プレスリー、母はペギー・リーやナット・キング・コールを歌っていたわ」
そんな彼女が今、リスナーに望むのは“理解”ではないという。
「とにかく“何か”を感じてもらいたいの。それがなんであろうとね。新作『ヴァガボンド』は、旅についてのアルバムだと私は解釈しているわ。そんな私の想いを知らない人からも『あのアルバムを聴いているとパリにいる気分になる』、『アイルランドにいるみたいだわ』などと言われたりするのよ(笑)。アルバムを聴いてくれた人に、私の想いが知らず知らずのうちに伝わっていて嬉しいの。だって言葉や言語を使わずにコミュニケーションが図れるってことでしょ? だから日本でもライブができるのだと思う。つまり、言葉以上のものでリスナーとコミュニケーションをしているってことね」
そう語る彼女は、私たちとのコミュニケーションを楽しみに、間もなく日本にやって来る。過去何度も来日経験のあるエディは親日家でもある。
「日本の好きなところはたくさんあるのよ。日本庭園とか。日本の子どもはお行儀がいいわね。礼儀正しくて、とてもやさしくて謙虚な人たちの国。アイルランドと似ている気がするわ。アイルランドはカソリックのコミュニティだから相手をとても気遣うの。日本人もそういうところがあるわよね。お菓子の箱などには開けやすいように切り込みが入っている、そんな小さいところから気遣いを感じる。イギリス人は包装を開けられないから歯でちぎったりして大変よ(笑)。それから、日本人は清潔好き。私は逆に片付けが苦手だから整理整頓されているきれいな環境が好きなの。また日本に行けることを楽しみにしてるわ。梅雨のシーズンなら傘を持っていかなくちゃね!」
<作品紹介>
『ヴァガボンド』エディ・リーダー
発売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
価格:2,600円(税抜)
発売日:2014年5月21日
<ライブスケジュール>
[大阪公演]6月28日(土) Umeda CLUB QUATTRO
[名古屋公演]6月29日(日) Nagoya CLUB QUATTRO
[東京公演]7月1日(火) Shibuya CLUB QUATTRO
文/ 赤尾美香
tagged: エディ・リーダー, ヴォーカル, CDレビュー
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