今月の音遊人
今月の音遊人:清塚信也さん「音楽はあやふやで不安定な世界。だからこそ、インテリジェンスを感じることもあります」
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音楽は人々を幸せにする最高のマジック/檀れい主演、水谷豊監督・脚本作品、映画『太陽とボレロ』
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2022.5.16
クラシック音楽をモチーフに、市民オーケストラをとりまく人間ドラマをユニークに描いた映画『太陽とボレロ』がいよいよ公開を迎える。監督は国民的人気を誇るエンターテイナー、水谷豊。監督として3作目となる本作でも、前作に続き、脚本、監督、出演の3役を担っている。
物語の舞台は、豊かな自然に恵まれた、ある地方都市・弥生市の市民オーケストラ、弥生交響楽団。年4回の演奏会を軸に活動を続けてきたのだが、運営が苦境に立たされ、ついに解散が現実的となる。メンバーの気持ちはしだいにバラバラになり、楽団内での小さな対立が起きたり、メンバーの個人的事情が浮き彫りとなったり……。実際のアマチュアオーケストラにも起きそうなさまざまな問題が、ときにシリアスに、ときにユーモラスに描かれ、共感したりクスッと笑ったりするうちに、しだいにストーリーに引き込まれていく。
楽団をなんとか存続させようと必死に奔走する弥生交響楽団の主宰者・理子を演じるのは、水谷監督直々のオファーを受けたという、映画初主演の檀れい。音楽を愛する健気なヒロインをチャーミングに演じている。また、理子を支える幼ななじみ役にミュージカル俳優の石丸幹二、個性豊かなオーケストラ団員には、町田啓太、森マリア、藤吉久美子、原田龍二、六平直政らが、さらに河相我聞、檀ふみ、カンニング竹山と、にぎやかなキャスティングが味わい深いハーモニーを生み出す。
さらに、劇中、さまざまなクラシックの有名曲が迫力あるサウンドで楽しめるのも魅力のひとつ。タイトルにもなっているラヴェルの『ボレロ』をはじめ、『ファランドール』『白鳥の湖』『タイスの瞑想曲』など、聴き覚えのある名曲のメロディが、シーンと溶け合うように次々と登場する。アニメをきっかけにブームにもなった、ベートーヴェンの交響曲第7番も効果的に使われている。
コロナ禍で撮影が延期になった間も、楽団メンバー役の俳優陣は楽器練習に励み、吹き替えなしでプロのオーケストラと『ボレロ』を演奏した(クライマックス・シーンは本作の白眉)。世界を舞台に活躍する指揮者・西本智実と、彼女が主宰するイルミナートフィルハーモニーオーケストラも参加し、映画をいっそう輝かせる。軽井沢大賀ホールや横須賀芸術劇場といったクラシック専用ホールで撮影されたコンサートシーンも見応え充分。どのシーンに、どんな曲が登場するかをチェックしてみるのも楽しい。
あたりまえに続くと思われていた活動や演奏の場が失われるという映画のストーリーは、プロ・アマを問わず、コロナ禍によって思うように活動できなくなった昨今の状況とも重なる。本当に大切なものは、失って初めて、その価値に気づくのかもしれない。弥生交響楽団のメンバーたちも、解散の危機が迫ったとき、音楽を奏でる意味や仲間の大切さ、ともに演奏できることへの感謝を改めて実感していく。
楽団を見守り続ける指揮者・藤堂謙(水谷)が、次のように語りかけるシーンがある。
「みなさん、音楽を止めないでください。そして、これだけは信じてください。音楽は神様がこの世に与えた、人々を幸せにする最高のマジックだということを」
このメッセージは、音楽の文化を次代へと継承していくことの尊さを、作品をとおして私たちにも呼びかけているようにも感じられる。
さて、弥生交響楽団の行く末はいったいどうなるのか。音楽とともに味わう洒脱なエンターテインメント『太陽とボレロ』は、本当に大切なものに気づかせてくれる作品でもある。演奏シーンでの楽器は、ヤマハが協力しているので、楽器にも注目しながら楽しんでほしい。
監督・脚本:水谷 豊
主演:檀れい
出演:石丸幹二 森マリア 町田啓太
田口浩正 永岡 佑 梅舟惟永 田中要次 木越 明 高瀬哲朗 藤吉久美子
小市慢太郎 カンニング竹山 HideboH 渋谷謙人 松金よね子
六平直政 山中崇史/檀 ふみ/河相我聞 原田龍二
水谷 豊
マエストロ オブ オーケストラ:西本智実
2022年6月3日(金)全国ロードショー
公式サイトはこちら
映画『太陽とボレロ』の劇場鑑賞券(ペア)を抽選で10名様にプレゼントします。
応募締切:2022年5月27日(金)午前11時
当選発表:チケットの発送をもって代えさせていただきますので、予めご了承ください。
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