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“もう一度観たい”の声に応えて。ミュージカル『ピピン』この夏再演!/Crystal Kayインタビュー
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2022.7.11
tagged: ピピン, Crystal Kay, インタビュー, ミュージカル
2019年の日本語版公演が大好評を博したブロードウェイミュージカル『ピピン』。「もう一度観たい」という声にも後押しされ、2022年8月~9月に待望の再演が東京・大阪で実現する。日本語版『ピピン』で、ストーリーのキーを握る重要な役どころ、リーディングプレイヤーを演じているCrystal Kayに抱負を聞いた。
『ピピン』は、鬼才ボブ・フォッシーの演出・振り付けにより1972年に初演され大きな話題となった作品。若き王子ピピンが人生の目的を模索し、“本当の幸せ”を見つける旅に出る物語である。2013年にダイアン・パウルスのスペクタクル感あふれる新演出でリバイバル上演されて大ヒットし、トニー賞4部門を受賞している。
2019年の日本語版公演でもダイアン・パウルスが演出を手掛け、ブロードウェイ版にひけを取らない素晴らしい舞台が展開されたが、その際の主役・ピピン(城田優)とならぶ重要な役どころに抜擢されたのがミュージカル初出演のCrystal Kayだった。
「実は私、トニー賞を受賞した時の『ピピン』をブロードウェイで観ていたんです。2013年から1年半くらい、無名シンガーとしてレコード会社との契約を目指してチャレンジしにニューヨークに行っていた時期に、ちょうどブロードウェイの近くに住んでいたので、勉強のためにミュージカルをよく観ていました。たまたま『ピピン』を観て、すごいショーだなと思っていたんです」
この時の公演でリーディングプレイヤーを演じていたのがパティナ・ミラー。トニー賞・主演女優賞を受賞した名演だった。
それから数年後、帰国した彼女に、城田優から「一緒にミュージカルをやらない?」とLINEメッセージが来た。「演目は何?」と返すと「『ピピン』」という返事。しかも、Crystal Kayがオファーされたのは、まさにパティナ・ミラーが演じていたリーディングプレイヤーの役だったのだ。
「その時、すごいご縁だなあと思いました」
ミュージカル初体験で、何をすればいいのかもわからない状態だったが、とにかくベストを尽くすしかないと、彼女はすべてに全力で取り組んだ。歌はもちろんのこと、ダンス、演技からアクロバットまで、まさに勉強しながら走り抜けた初演だったという。
「本当にドキドキ、でも“楽しい”が勝っていました。公演中は毎回、本当に緊張していたんですけど、すごく初心に戻れたと言うか。キャストの皆さんが素晴らしくて、一緒にひとつの作品を毎日作っているという楽しさと、みんなの心がひとつになっている強いパワーを感じていました。もちろん不安もありましたけど、“楽しい”“幸せ”というピュアな感情が強かったんです」
『ピピン』のリーディングプレイヤーは、アクロバットサーカス一座のリーダーとして舞台に登場。ストーリーの進行役を務めたり、主人公のピピンなど出演者と絡んだりする重要な役どころ。ミュージカル初体験ながら、Crystal Kayのリーディングプレイヤーは高く評価され、2019年の読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した。
「賞にノミネートされたと聞いた時もびっくりしましたが、きっと受賞できないんだろうなと思っていたんです。だから実際に受賞してもっとびっくりでした。メインキャストの皆さんはもちろん、アクロバット担当の方やダンサー、大切なスタッフ全員で作っているショーだから、これは“みんなで獲った”賞だね、という感じでした」
初演の手ごたえが大きかったからこそ、今回の再演にかける意気込みも並々ならぬものがある。とくに初演の時には「全部覚えなければというのでいっぱいいっぱい。共演の前田美波里さんや中尾ミエさんにもいろいろ教えてもらいながら演っていました」ということで、リーディングプレイヤーの役作りまでは考える余裕もなかったと言う。
「再演では、もっとリーディングプレイヤーのパーソナルな部分を作ってみたいなと思っています。彼女がどういう人なのかを、ちょっとだけ出せるように。今までの『ピピン』ではどうだったのかとか、彼女の生い立ちとかを掘り下げてみて、自分なりのリーディングプレイヤーを作ってみたいなと思います。でも、リーディングプレイヤーの存在自体、何かわからない。男でも女でもないかもしれないし、人間じゃないかもしれない……みたいな部分があると思うんです。だから本当に好き放題というか、自分が思うリーディングプレイヤーでいいと思えて、そこがすごく楽しみです」
今回の再演ではほとんどのキャストは初演と替わっていない。しかし、主人公のピピンが初演の城田から森崎ウィンに交代する。森崎がピピンを演じることによって、舞台の印象がどう変わるかも今回の見どころの一つだろう。
「ウィン君はすごく初々しいし、(城田)優君よりもっと少年っぽい感じだから初演とはまた違う、さらにイノセントなピピンという感じで楽しみです。たぶんお客さんにとってもそこが楽しみなんだと思います」
再演が実現したのは、初演を観たファンからの要望も大きかったという。けれど、まだ『ピピン』を観たことがないという人も多いはず。そんな人へのアドバイスを聞いてみた。
「本当にびっくり箱みたいで、次に何が来るかわからない。全部が見どころです。だから“ダマされたと思って来て”というか。一般的なミュージカルの感覚で来ていただいていいと思いますが、良い意味で裏切られるし、驚くと思いますよ。『ピピン』にはサーカスの要素もあれば、イリュージョンの要素もあって、ダンスもアクロバットも、もちろんお芝居もある。だから、何も考えないで来てほしいです。期待だけを持ってお越しください、という感じですね」
2022年7月6日(水)にはDaichi Yamamotoと共作した話題の新曲『Gimme Some』を配信リリース。音楽、ミュージカルとさまざまなフィールドで活躍しつづける彼女から、今後も目が離せない。
2022年8月30日(火)~9月19日(月・祝)東急シアターオーブ(東京)
2022年9月23日(金・祝)~9月27日(火)オリックス劇場(大阪)
オフィシャルサイトはこちら
配信元:ユニバーサル ミュージック合同会社
配信開始日:2022年7月6日(水)
詳細はこちら
文/ 前田祥丈
photo/ 阿部吉泰
スタイリスト/NARUMI OKAMURA
ヘアメイク/KIYO IGARASHI (SIGNO)
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