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ベートーヴェンの室内楽を語り、奏でる大プロジェクト第2弾/仲道郁代インタビュー
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2023.3.16
日本を代表するピアニスト、仲道郁代が常に自身の演奏活動の核に据えてきた作曲家、ベートーヴェン。彼の室内楽作品を全曲演奏するという一大プロジェクトが2022年8月からスタートしている。ベートーヴェンの没後200年と自身の演奏活動40周年が重なる2027年に向けた壮大なプロジェクトだ。
「これまでベートーヴェンのピアノソナタの全曲リサイタルシリーズを何度か行い、作品間における思考の連なりというものを感じ取ってきました。彼はモチーフを巧みに扱い、その変容や展開によって思考を発展させていく作曲家で、それはピアノソナタだけでなく、他のジャンルでも貫かれています。このプロジェクトでは、作品番号順に通してたどっていくことで、ベートーヴェンの思考に新たに触れることができるのではと期待しています」
前回は、作品1のピアノ三重奏曲第1番から第3番までを演奏しており、今後も作品番号順に演奏を行っていくという。第2回はチェロやバイオリンのためのソナタに、四手のためのピアノソナタや、ピアノ三重奏曲における初期作品が並ぶボリュームのあるプログラムだ。共演者は2013年ティボール・ヴァルガ・シオン国際バイオリン・コンクールで優勝した郷古廉(バイオリン)と、2019年ミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人初優勝を果たした佐藤晴真(チェロ)、スウェーデン国際デュオコンクールで第1位を獲得した原嶋唯(ピアノ)という注目の若手が揃っている。
「前回、作品1を演奏してみて、後のベートーヴェンの作品に活かされているものが多いと、あらためて気が付きました。また、チェロの複雑さなど、すでに先輩であるハイドンを凌駕するようなものも見受けられます。第2回ではバイオリン、チェロそれぞれのソナタの第1番を演奏することで、各楽器の扱いの巧みさや個々の楽器に対する想いも感じてもらえることでしょう。共演は曲ごとに“この人”という方にお願いをしています。郷古さんと佐藤さんとは、2022年に七ヶ浜で共演をしています。とても素晴らしい音色に感銘を受け、またぜひご一緒したいと思っていました。原嶋さんは私の生徒なのですが、とても丁寧な音楽づくりをする方です」
共演者はすべて仲道自身がオファーをしている。前回、今回共に若い奏者が選ばれているが、それには理由があった。
「若い方たちとの演奏はとても楽しいのです。リハーサルではお互いに忌憚なく色々な意見を交わすことができ、年齢を超えて一緒に音楽をする仲間であるという感覚があります。今回ご一緒する皆さんは強い信念をもった演奏家。一つひとつの音について語り合いながら音楽を探求していけることは、この上ない喜びです」
本プロジェクトでは、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭や、出演者が語る時間も設けているという。
「平野先生は、作品における時代背景や、ベートーヴェンの人生などを解説してくださいます。私たち演奏者は、作品への想いをお伝えしたいと考えています。そのようななかから、また新たな発見をしていただけるとうれしいです」
この企画は仲道の中であたため続けていたものであり、それを実現する上で重要なのが会場となるヤマハホール、そしてヤマハのコンサートグランドピアノ「CFX」だ。
「ヤマハホールは室内楽にとってとても素晴らしい環境です。楽器同士の奏でる音が鮮やかに聞こえることで、それぞれがどのような役割を果たし、展開していくかをつぶさに聴くことができます。そして今回も大好きなピアノ、『CFX』が力を貸してくれます。CFXは、楽器のパワーはもちろん、ダイナミクスの幅が広く、より細やかで繊細なニュアンスを表現できるので、ベートーヴェンの魅力を、より実感していただけると思います」
第5回までヤマハホールで予定されているこのシリーズ。名演奏家たちが奏で、語るベートーヴェンの世界。ぜひ会場で、作品の新たな一面に触れてほしい。
日時:2023年4月26日(水)19:00開演(18:30開場)
会場:ヤマハホール(東京・銀座)
料金(全席指定):公演チケット6,000円、ドリンクセット6,400円(限定数)、アルコールドリンクセット6,800円(限定数)
出演:仲道郁代(ピアノ)、郷古廉(バイオリン)、佐藤晴真(チェロ)、原嶋唯(ピアノ)、平野昭(音楽学者)
曲目:L.v.ベートーヴェン/チェロ・ソナタ 第1番 へ長調 Op.5-1、チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.5-2、4手のためのピアノ・ソナタ ニ長調 Op.6、ピアノ三重奏曲 第4番 変ロ長調 Op.11 「街の歌」、バイオリン・ソナタ 第1番 ニ長調 Op.12-1
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